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11、

 一体どうしてこんな事になっているのだろう?


(私はどこで判断を間違えた?)


 来た時よりも大分夜の闇が深くなっている。そんな暗闇のなかでも時よりほんの少しだけうす明かりが漏れる所もまだあるのかと、流れる景色に目を向けながらミルティはこっそりとため息を吐いた。


 あの後――


 パーティー会場に設置された休憩室の一室にルシウスが盛大なため息を響き渡らせたあと。


 ルシウスはさらに瞳を曇らせ、ミルティに告げたのだ。



『俺は男を好きになる趣味はない』と――




 一体どういう事かとミルティが頭をこんがらがせば、ルシウスはルシウスで『ミルティの可愛そうな頭を再教育しようね』と言いキスの嵐を降らせてきたのだ。そのせいで余計にこんがらがってしまったのは言うまでもない。


 『再教育』の事を思い出しミルティは顔を赤らめたかと思うと、急にげっそりしたり忙しなく表情筋を稼働させた。


 流石に義理であれ姉弟がこんなことをするのは可笑しいとミルティが必死に抵抗すればする程、ルシウスは執拗にミルティを抱き締め……。


 結局右往左往して、ミルティがルシウスが納得する形の“お願い”と“許しを乞う”事でミルティは事のつまりを知ることが出来、『再教育』からも何とか解放されたのだ。




 チラリとルシウスを見ようとしていた自分に気づき、慌ててミルティは視線を馬車の外に固定する。

 今、ルシウスを見たらきっとミルティは羞恥で憤死してしまう。


 再び赤らむ顔と羞恥心をおさえ、無理矢理思考回路を先程の事のつまりに戻し、そしてまたもげっそりしてしまった。

 全く忙しい感情である。







 ミルティがルシウスから教えてもらえた事。それはかなりの衝撃の連発であった。

 まずルシウスの言うロゼは女の子ではなく、ローゼストの愛称だったということ。


 つまりあの日家で会った少女だと思っていた人物は実は女ではなく……。

 彼女、もとい彼はローゼストの女装した姿だったと聞かされたときミルティは目眩を起こしてしまった。

 世の中には女装しても美しい男性が居たのかと言う敗北感も密かにそこには加わっていたが今はそれは横に置いておこうとミルティは心に蓋をした。


(あんなに可愛く美しく女装されていたら相手が男だなんて気づくわけない)

 しかし、あれがローゼストの変装であったと思えば色々辻褄があう。あの時ルシウスの機嫌が急降下したのはミルティが男と触れ合っていたから。


 それにしてもなぜローゼストは女装してあそこに居たのか。

 そうルシウスに問えば勝手に女装までして来ていたとしか教えてくれなかった。それ以上はルシウスは聞いてくれるなとばかりに再教育が施されていたのでミルティも踏み込む事ができなかった。


(そんなことより……)


 もうひとつの事実の方がミルティにとって最大の衝撃だった。

 それこそ目眩を通り越して、一瞬昇天しかけてしまったのではないかと言うくらいには。


 ミルティは再び小さくため息を吐く。

 それなのに本当に小さなため息だったにもかかわらず、ミルティの体にぴったりと腕を巻き付け自らの膝の上に座らせていたルシウスはすぐに気づいたらしい。


「ミルティどうしたの?さっきもため息をついてたね」


(さっきのまで気づいてたのね……)


 けれどそう問われても、今のミルティにはその問いに答える元気が湧いてこない。


(どうしたも、こうしたもないわよ)


 恨めしそうな目線を一瞬だけルシウスに向けると、今も抱き着いているルシウスに少しでも離れるようにモゾリと動き再び馬車の窓から見える流れる景色に視線を戻した。


 ロゼットが女装していたことだけでも衝撃的だったのに。

 まさかルシウスが本当にロウリー家の養子縁組を断っていたとは。そして、まさか――


「……まだロゼの件気にしてるの?」


 景色を眺めていれば、ルシウスは今度はミルテイの耳に優しく息を吹き掛けるように的はずれな事をささやいてきた。今気にしているのはそこではないのに。


「っ!!ルシウス!そう言う事突然するのはやめて!」

 心臓が止まるから!


 顔を真っ赤に染め上げて耳をあわてて押さえれば、ルシウスはなぜかドロンとした瞳でミルテイを見つめてくる。


「やめないよ。ねぇ、ミルティ。何で俺と一緒に居るのに他の男の事考えるの?」

「え、あ、違……」

(考えてたけど、考えてない!!)

 恥ずかしさで声にならない反論だけが頭によぎるも、ルシウスに伝わるわけもなく。


「違うの?それじゃあ、他の男の事でも考えてたの?ソイツだれ?いつ会ったの?」


 ルシウスの様子に慌てて頭をふるが遅かったようだ。巻き付かれていた腕に力が込められ、ミルティはヒッと小さく悲鳴をあげた。

 まさかずっと天使だと思い続けていたルシウスがこんなにも悪魔な一面があるとは思っても見なかった。


「ミルティ。まだ俺の気持ち分かってくれないの?それとも俺が嫌いになった?ねえ、言ったよね。俺はこんなにも――」

「違う、違うの!ルシウスの事を考えてたの!嫌いになんて、なれ、ない」


 これ以上のルシウスの闇化はやばい。

 本能で察知したミルティは羞恥をかなぐり捨てて、ルシウスにしがみつくもミルティの思考回路などルシウスにはお見通しのようで。


「ねえミルティ?くっついてくれるのは嬉しいし大歓迎だけどね」


 身体に巻き付いたルシウスの手は一旦力が弱まる。その事にミルティがホッため息をつくと、すすすと今度は緩まった手が怪しくミルティの身体を進行し始めた。


「え?あ、ルシウス?」


 手の動きにピクリと身体を揺らしミルティがルシウスを見つめれば――


「ミルティ。そんなことで誤魔化そうとするなんてだめだよ?さっきの“再教育”がまだ足りてなかったみたいだね。ちゃんと理解できるまで、もう一度復習しようね?」


 そこに有るのは目が全く笑っていない美しい天使の微笑みで、ミルティは思わず顔を青ざめ叫びだしていた。

亀更新すいません!!


再教育の内容はいつかきっとムーンで、と思ってムーンの方に投稿準備中でございますが……

語彙力のなさ!!


ひいいい


まあ、それはさておき

すいません、ヤンがうまくデレてないきがする。

でももう少しお付き合いくだされば幸いです。


ブクマ、評価よろしくおねがいします!

土下座

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