屋敷の崩壊(修羅場)
ナンシーが去って二日目。
屋敷はもう、すでに“家庭”ではなく“戦場”だった。
◆ 恋人アン、限界を迎えて逃走を決意
アン
「いやああああ!!来ないでえええ!!
この家の姑、怖い!!
なんでオシメ咥えて走り回ってるの!?
ねえあなた、止めてよ!!」
ヘイリー
「母上!!やめ──わっ、来ないで!オシメを顔に押し付けるな!!」
姑(全力で徘徊)
「ナンシー……!ナンシーはどこ……!
ナンシーいないとだめ……!」
アンは、震えながら荷物を抱えた。
「ムリ。ムリですわ!!
あなた、ナンシー様を戻してよ!!
じゃないと、私、この家には……っ!」
泣きわめきながら玄関へ走り去る。
ヘイリーは追いかけようとして──
オシメを振り回す姑に行く手を塞がれた。
ヘイリー
「ちょっ……!母上!!どけ――!!」
姑
「ナンシーを呼んで……どこなの……!」
ヘイリー
「無理なんだよォォォ!!!」
家中に夫の悲鳴が響き渡る。
◆ そこへ――弁護士登場
そこへ、屋敷の扉が重く叩かれた。
執事
「旦那様……弁護士様がお見えですが……」
ヘイリー
「なぜ今!?無理だ、帰ってもらえ!」
しかし──
「失礼いたします」
黒いコートの中年弁護士が、静かに入ってきた。
その後ろには、白衣の女性たちが三名。
医療機器を持つ者、書類を抱える者、測定具を持つ者。
ヘイリー
「……誰ですかその人たちは!?」
弁護士は淡々と告げた。
「介護専門の査定担当者です」
ヘイリー
「は!?なんで介護の人間を連れてきた!?」
弁護士
「離婚にあたり、
今後必要となる介護費用を正確に算定しなければいけませんので」
ヘイリー
「な、なんでそんな……!」
弁護士は一枚の書類を差し出した。
「記録には、こうあります。
・奥様がすべての介護を担っていた
・ご主人は、義母のケアを長期間怠って恋人と遊んでいた。満足な費用は、渡さず、
専門の機関に相談もせず、奥様に、押し付けた。
・医療機関への入所を奥様が複数回提案したが、ご主人が拒否した」
夫の顔が真っ青になっていく。
弁護士
「奥様は既に別邸へ避難され、離婚の意志を明確にされています。
本件、法的には“奥様の完全勝利”となります」
ヘイリー
「ま、待ってくれ……!話し合いを……!」
弁護士は冷たく笑った。
「話し合い?奥様はこう仰っていましたよ」
『もう何もいりませんわ。
ただ、二度とあの家に戻りたくないだけですの』
夫は崩れ落ちる。
◆ 介護査定開始(夫への“現実”)
介護福祉士A(医師)
「まずはお義母様の状態を拝見します」
ヘイリー
「や、やめてくれ!母上は大丈夫だ!ナンシーが少し手伝ってただけで!」
介護福祉士B
「……これは想像以上ですね、奥様が、出て行って2日、誰も、おしめを替えない、奥様に、食事も、与えてないようです。」
介護福祉士C
「おそらく24時間体制の専門施設が必要です」
ヘイリー
「えっ!?24時間!?そんな大げさな……!」
弁護士
「入所金・月額費用は算定済みです。
“この全額をあなた持ち”として請求します」
ヘイリー
「こんな金額、払えるわけないだろ!!」
弁護士
「奥様は五年以上にわたり無償で介護されていた。
その“未払い介護労働分”を換算すると、この程度では済みませんよ」
ヘイリー
「ひぃ……!」
弁護士は淡々と続ける。
ヘイリー
「無理だ……ナンシーが必要だ……!!
ナンシーを戻してくれ!!」
弁護士
「無理ですね。
奥様はもう二度とあなたのところには、戻らないとおっしゃっています」
「そして、申し訳ありませんが、
奥様の新しい居所については守秘義務があり、お伝えできません。」
ヘイリー
「なんでだ!!家族だぞ!?」
弁護士
「奥様は“もう家族ではない”と判断されました。
離婚手続きに入っていますので」
ヘイリー
「そんな……ナンシー……!」
弁護士は淡々と続ける。
「奥様は、
・アンさんとの不貞
・姑との同居強要
・過剰な介護負担
・経済的圧迫
以上を理由に、即時の離婚を申し立てられました」
ヘイリーは座り込み、青ざめる。
姑(オシメを振り回しながら)
「ナンシー!ナンシーどこ!!?」
ヘイリー
「やめてくれ……やめてくれ……!
俺が悪かったから戻ってきてくれナンシィィィ!!」
しかし、その声が届く場所に、ナンシーはいなかった。
介護ケア担当が屋敷に入る(ナンシー不在で崩壊)
介護福祉士
「現状のままではお義母様は危険です。
今後は24時間ケアが必要です」
ヘイリー
「む、無理だ……!俺は仕事がある……!」
介護福祉士
「奥様が介護をしていた期間が長いため、奥様への
“未払いの介護労務費”を鑑定する必要があります」
ヘイリー
「そんな金、払えない!!」
弁護士
「奥様の居場所はお答えできませんが、
離婚に関する請求は、すべてこちらに提出できますよ」
ヘイリー
「ナンシー……戻ってきてくれ……
どこにいるんだ……!!」
弁護士(心の声)
──戻るわけがないでしょう。
◆ 夫「恋人」アン破滅開始
アン
「ねぇ、奥様どこ?
あなたのママ怖いんだけど!?
ナンシーさんがいないと、私たち無理よ!!」
夫
「俺だって知らない!!どこへ行ったんだああ!」
アン
「じゃあ私もう帰る!!あなたとあなたのママなんて無理よ!!」
◆ 姑の徘徊と絶望
姑
「ナンシー……?
ナンシーは……どこ……?」
夫
「もう……誰も……戻らない……」




