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十二話、エクシーズとアスナ

〔エクシーズ本部〕


司令の予定が空いたためアスナはアリシアに連れられてエクシーズ本部にやって来た。


エクシーズ内を進むとアスナはどうしても注目される。


何故なら産まれたばかりの時点で敵の親玉であるアナスタシアを撃退した事と魔人達のもう一人のクイーンであると言う事は知られているからだ。


「…」


アスナは魔人達のクイーンと言う時点で彼等が自分の存在を不安に思ってしまっているのを察し温和に微笑む。


その心優しい笑顔は警戒するエクシーズの隊員達の心を安心させるものに変わった。


あのような笑い方をする少女が自分達の敵なはずがないとアスナは笑顔だけで思わせることが出来たのである。



「よく来てくれた、アスナ」


司令はアスナの様子をしっかりとみながら話す。


「まずは聞きたい、君が魔人達の最上位個体、クイーンである事を我々は承知している、だからこそだ、君は心から我々人間に仇をなす存在ではないと言えるか?」


ホワイトクイーンを名乗る時点でこれはどうしても聞かなければならない質問なのだ。


「丁度良かったです、私には目的がありますから」


「その目的とは?」


「人と魔族が魔人と共存出来る世界を作る事です」


アスナは自分の目標を迷わずに言った。


「なるほど…しかし魔人は君ではなくアナスタシアに従っている、そんな状態で魔人との共存など出来ると思っているのか?」


既に魔人による多大な被害をこの世界は受けている。


だからこそ司令の口調は厳しくならざるを得ない。


「私なら出来ます、何故なら私はホワイトクイーンですから、そして私の力が増せば必ずアナスタシアから魔瘴石の支配権を奪える、私はそう感じています」


まだアスナは自分の力を全て使えているわけではない。


だからこそアナスタシアが石の改良を行えば支配権の奪取が出来なくなるのだ。


「それに魔人達は魔瘴石に洗脳されています、そして洗脳されていない魔人の姿が私です、あなたが話していて私は普通の人間と違う所はありますか?」


アスナはこう言っている洗脳さえ解ければ魔人達は対話が出来共存出来る存在だと自分が一番証明しているのだと。


「そうだな、君と話していて共存出来ないとは思えない」


そして司令もアスナの力により洗脳さえ解ければ魔人との共存は可能であろうと思えた。


「それなら…」


「あぁ、君の願いに力を貸す存在に我々エクシーズはなろう、ただし、君が敵に奪われるような事があれば…」


「あぁそれは安心してください、私の洗脳や支配はアナスタシアお姉ちゃんでも一切不可能です、少し前までは洗脳をしようと力を送って来ていましたが、私の身体はその全てを近寄らせすらしませんでしたから」


アスナに対しアナスタシアは無力なのだ。


最早どんな方法を使ってもアナスタシアはアスナを手に入れる事は出来ない。


「それに私を諦めたのは確定しています」


「ええ、先日魔怪人アスナにそっくりな個体の魔人が現れたわ、恐らくアナスタシアの娘ね、どうやらこの子は諦めて魔怪人のアスナの再現をする方向に舵を切ったみたい」


「なるほどな、なら君が敵になる事は…」


「必要以上に魔人を殺すなら私はあなた方の敵になります」


人間を殺そうとする魔人を殺すのはアスナは人々を守るために仕方のない事だと思う。


しかし戦闘能力が低く生産などに回すしかない魔人達を殺したりするのならエクシーズとは迷わずに敵対するつもりだ。


「分かった、我々が討つ魔人は戦闘員の魔人のみとしよう」


「はい、ありがとうございます、それでは私も今日からエクシーズに入りますね?」


「あぁよろしく頼む」


司令が手を差し出す。


アスナもその手を取って握手をし温和に微笑んだ。


「さて、アスナ先に出ていなさい」


「うん、お母さん」


アスナは今度はアリシアに向けて微笑むと部屋から出て行った。


「心優しく強いな、よく育ててくれた、彼女は明確に人類と魔族の希望だ」


「ええ…良い子に育ってくれたわ、だからこそよ、あの子と一緒に絶対にアナスタシアに勝つわ」


「そうだな、前回はほぼ負けと言って良い、幼い彼女がアナスタシアに致命傷を与えたから侵攻が今日まで止まっただけだ、これからまた始まるであろう戦争に負けたら我々は今度こそおしまいだろう」


前回はアスナが生まれなければ負けていたそう言う状況だったのだ。


「でも今回はあの子がいる、絶対に負けないわよ、司令」


「そうだな」


絶対に勝つそう誓い合って頷き合った二人は作戦を話し始めた。



「…ん?」


窓から初めて見る未来都市に目をキラキラさせていたアスナは側を行く者に何か感じ取った。


「ねぇ?あなた、魔人だよね?」


「ッ!」


話しかけられたエージェントは焦った顔を見せる。


「やっぱりね…エクシーズ内部にも潜り込ませているんだね…本当に周到なやり方をするね」


アスナは彼女に迫ると魔瘴石の破壊を行う。


「…私にバレたから、一斉に動き始めたか…」


アスナはアナスタシアがエクシーズに魔人を忍ばせていないわけがないと思っていた。


そして忍んでいた魔人はアスナにバレたのを感知したのだろう一斉に動き出しエクシーズ本部内で暴れ始める。


「状況は聞いている、魔人が現れたようだ、くっ…メディカルチェックは行っていたのだがな…」


「魔瘴石は完全に休眠することも出来るの、そうならメディカルチェックをすり抜ける事も可能だと思う」


アスナはそう言いながら迫る魔人を見て剣を引き抜く。


最初の一人は一対一であったため人間に戻せるが目の前から来るエクシーズの服を着た魔人達は数が多く人間に戻す事は出来ない、そんな事をしていたら味方が死んでしまうからだ。


「ごめんね…斬らせてもらうよ!」


だからこそ斬ると心に決めたアスナは駆け出し魔人達との戦闘を開始した。

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