九話、魔人との初めての戦闘
〔サーラナンデ平原〕
アスナは今日も冒険者として働いている。
今日のお仕事は幼い冒険者らしく薬草集めだ。
「…アンジー、注意して」
ホワイトクイーンとして何か感じ取ったアスナがアンジーに注意するように言った。
「どうなされましたか?お嬢様」
アスナと一緒に薬草を集めていたアンジーが側に寄って来て短剣を構えた。
「あの子達が来る」
アスナがそう言うのと同時に黒光りする衣装を身に纏った魔人達が現れた。
「なるほど」
アンジーは彼女達が現れたのを見てホワイトクイーンであるが故に魔人が現れるのを感知したのだなと思う。
「サーストン家のご令嬢アスナお嬢様に何かご用ですか?」
アンジーはアスナの前に立ちつつ何用か聞く。
「アナスタシア様から最後の通達でございます、クイーン、一緒に来てください、あなたはこちら側に立つべきお方です」
「あなたは魔人の進化系であるホワイトクイーンなのですから」
「人間の側に立つのが間違いなのです」
魔人達はアスナの立ち位置は間違いだと言って来る。
「ごめんね、私は行かない、あなた達を操って戦わせるお姉ちゃんが許せないから、だから私はお姉ちゃんを斬るって決めてるの」
アスナは凛とした顔を見せアナスタシアを斬ると言った。
「左様ですか、ならば我々は次の命令を実行します」
「死んで下さいませ、クイーン」
魔人達が襲いかかって来た。
アスナはそれを見て彼女達の魔瘴石の支配権を奪おうとするが出来ない。
「!?アンジー!魔瘴石の支配権が奪えないよ!」
「…敵も馬鹿ではありません、対策をしたと言うことでしょう」
「なるほどね!でも支配権を奪えなくても私なら魔瘴石の破壊が出来るもん!」
アスナは聖なる魔力を放ち剣を構えると斬りかかって来た魔人と剣を合わせ彼女の胸に手を伸ばすと触れた。
「はぁ!」
一撃必殺。
アスナは簡単に魔瘴石を破壊して見せた。
「流石です!」
アンジーは二人目の攻撃を避けて背後に回ると地面に叩き付けてから拘束する。
「お嬢様!」
「うん!」
アスナはそれを見て走り出し三人目が仲間の解放をしようと迫って行くのを見て手からビームを放って牽制しつつ二人目の胸に触れた。
「はぁ!」
そして二人目の魔瘴石も破壊した。
「最後!」
「くっ!」
三人目は逃げようとするが飛来したアイシアが背中を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた三人目はアスナの方に転がって行き。
彼女を見下ろすアスナはニコリと可愛らしく微笑んだ。
「今解放してあげるからね?」
アスナは最後の一人も人間に戻し戦闘を終えた。
「お見事です、お嬢様」
アンジーは立派に魔人と戦って見せたアスナを褒める。
十歳と言う年齢を考えれば十分な戦いぶりである。
将来が楽しみだかなり強くなるだろう。
「頑張ったねアスナ」
アイシアもアスナの桜色の髪を撫でて褒める。
二十歳になった彼女はこの五年間冒険者として働き沢山の人々と触れ合った事で柔らかい雰囲気を感じさせる女性に成長していた。
「えへへ」
アスナは嬉しそうに微笑み倒れている三人を見る。
「この人達どうするの?」
「サーストン家に保護してもらい目覚めたら解放します」
「分かった」
アスナはサーストン家なら悪い扱いをしないのを知っているため安心した顔を見せた。
「それでは人を呼びますからお待ちを」
「うん」
アンジーがサーストン家の者を呼んでいる間にアスナはアイシアと話し始めた。
「アイシアお姉ちゃん、前の私とお姉ちゃんって結婚してたんだね」
「ええ、愛していたよ、でも…あの子が死ぬことになったのは私が魔怪人にしたからなんだ…」
アイシアはそう言うと俯く。
「アイシアお姉ちゃんは悪くないよ、お姉ちゃんが悪い行動をしてたのはアナスタシアお姉ちゃんの影響があったからだもん」
「そうだとしても、私のせいで死んだんだよ、アスナ、だから私はその罪を背負って生きて前のアスナに報いるためにもお父様を倒すの」
「そっか、なら私も一緒に戦うからね?」
「ええ」
一緒に戦うと言ったアスナは微笑んだ。
アイシアも彼女に微笑み返し去って行った。
「アイシアお姉ちゃんが心配なんだ私、前の私のことに対して思い詰め過ぎて、自分の命を捨てちゃいそうで」
「そうですね、彼女の事よく見ていてあげましょう」
「うん、前の私もアイシアお姉ちゃんに生きていて欲しいって思ってる筈だから」
アスナは知っている前の自分が洗脳が解けてもアイシアに愛していると言った事を。
それを知っているからこそアスナは前のアスナが愛した彼女が命を捨てるような事にならないようにしたいと思うのだ。
「それじゃ帰ろ、薬草はもう十分に集まってるし」
「はいお嬢様」
アスナは天使の翼を広げるとアンジーと共に飛んでサスノリアに帰って行く。




