五話、剣を教える
〔森の中の家〕
レッスンが終わった後将来的に剣を握り戦う事になるアスナにアリシアは剣の指導を始めようとしていた。
「アスナ?あなたは将来的にアナスタシアと戦わないといけなくなるわ、分かるわね?」
五歳のアスナにこんな事を分かるか?と聞いても理解出来るかアスナは心配だったがアスナは頷いた。
「お姉ちゃんを倒さないといけないんだよね?私分かるよ」
アスナは本能的に理解しているアナスタシアを自分がホワイトクイーンとして倒さなくてはならない事を。
そして五歳と言う幼さであってもブラッククイーン…アナスタシアの支配下にある大量にいる魔人達を解放したいと思っているのだ。
その思いはアイシアをアナスタシアから解放した行動を見ても見て取れる。
「そう、それならそのためにあなたのその力をちゃんとコントロール出来るようにならないといけないのは分かるわね?」
「うん!」
「良し、良い返事ね、それじゃ剣を教えて行くわ」
このアスナはまっさらな状態で産まれて来たそのため剣技も全く覚えておらず教えて行く必要があるのだ。
「まずは素振りから、見ててごらん?」
アリシアは研ぎ澄まされた振り下ろしをアスナに見せた。
木剣が空を斬る音が静かである長年の鍛錬のおかげで力を込めず高威力の斬撃をアリシアは繰り出す事が出来るのだ。
「お母さんすごーい!」
アスナは目をキラキラとさせて母の剣技を凄いと言った。
「それじゃやってごらん?」
「うん!とりゃ!」
アスナはアリシアの真似をして剣を振り上げると振り下ろした。
「あら…」
その振り下ろしは初めてだと言うのにアリシアでも感心するものであった。
(そっか…前のアスナから受け継いだ身体だから身体が剣技を覚えているのね…)
身体が覚えているのなら後は記憶として覚えさせて行けば幼いながらに一流と言える剣技を身に付けさせる事が出来るかもしれないとアリシアは思う。
出来る限り早く剣技を習熟させて自分がいない時に魔人が現れた場合に切り抜けられるようにしておきたいのだ。
「さぁ!どんどん振っていきましょう!」
「おー!」
アスナは一生懸命にアリシアの隣で剣を振り始めた。
「そこまで、次はあなたが思うように打ってきてごらんなさい」
アリシアは次は思うように剣を振るって見ろとアスナに言う。
「うん!」
アスナはアリシアと向き合ってから駆け出し迫ると剣を振るった。
やはり初めてにしては整った剣技である。
「良いわね!どんどん来なさい!」
「うん!」
振るわれる剣の威力は五歳とは思えないほどにパワフルだ。
「やぁ!!」
振り上げた斬撃をアリシアが止めた所で母は娘を手で制した。
「今日はここまで、どうだった?」
時間はたっぷりとある無理をせず一流の剣士となってくれればそれで良いアリシアは焦る必要はないため一定時間で鍛錬を終えるのだ。
「楽しかった!」
アリシアの教え方が上手くアスナは終始楽しく鍛錬をしていた。
そのため笑顔で楽しかったと言えるのである。
「うふふ、楽しかったのなら良かったわ、さっストレッチをするわよ、しておかないと筋肉痛になったりするからね」
「はーい」
アリシアがやって見せてアスナが後で真似をすると言う方法で二人は柔軟体操をして筋肉痛にならないようにする。
それを終えるとアスナは母に木剣を返した。
「疲れてない?」
「うん!大丈夫!遊んで来て良い?」
しっかりと仲良くなった動物達とアスナは遊びたいのだ。
森の中にある家であるため人間の同年代の友達はまだいないが動物と言う友達が沢山いるためアスナは寂しくないのである。
そして現状で寂しくないと思えているのが地球で暮らしていた明日奈との環境の大きさ差である。
この環境で育つ事が出来る時点でホワイトクイーンは心に闇を抱えず真に世界を救える存在として成長する事が出来るはずだ。
「良いわよ、行ってらっしゃい」
「うん!」
アリシアは優しく微笑みアスナを遊びに送り出す。
アスナは嬉しそうに母に手を振りながら森の中に駆けて行った。




