四話、ホワイトクイーンの魔力
〔森の中の家〕
朝。
レイリックがいつも通り早朝にアリシアにキスをしてから仕事に向かって行った後アリシアは寝室に戻って来た。
「んー…思ってたけど魔力ダダ漏れなのよねぇ…」
アスナは現状暴発させないコントロールは出来ているがその膨大な魔力を漏れさせないコントロールが出来ていない。
漏れていても体内の魔天石の補助もあって大量の魔力が生成されており全く問題ではないが悪魔であるアリシアとしては光属性の魔力がダダ漏れなのか気になるのだ。
「でも光属性なのにいつものアレにはならないのよね」
アリシアは眠るアスナの髪を優しく撫でつつ恥ずかしいのでんぴー!とは言わない。
「この子は邪神だし魔力の性質が何か違うのかしら」
邪神が放つ聖属性と言う時点でそれまでの常識とは違う性質の魔力ではある可能性が高い。
「ララティアが詳しそうだし後で呼んでみましょうか」
ララティアのような聖女は光の魔力の専門家である。
彼女に聞けば何か分かるだろうとアリシアは思った。
「んー?お母さん?」
そうしているとアスナが目を覚ました。
幼い仕草で目を擦りつつ身を起こした少女は甘えた様子で母に抱き付く。
アスナにとってレイリックとアリシアと言う両親は何の気兼ねもなく甘える事が出来る居場所だ。
だからこそこうして甘えるし母であるアリシアの事がアスナは大好きなのである。
「うふふ、もう少ししたら顔を洗いに行きましょうね?」
「顔洗うのやぁ…」
この歳頃の少女らしく顔に水を浴びるのが苦手である。
数日前初めてやった時は大泣きした泣き止ませるまでアリシアは非常に苦労した。
「これから毎日洗う事になるんだから慣れなきゃだぁめ、ほら行くわよ」
「んぅ…」
アスナはベッドを降りて手を差し出すアリシアの手を取ると洗面所に向かう。
この家には水道は来ていないが湖で汲んで来た水を増幅させて循環させるシステムが通っているそのためいつでも水を飲む事が可能だ。
この前アスナをお手伝いとして湖に向かわせたのは増幅させていた水が切れたからである。
「はーい、じゃぶじゃぶしましょう」
「ううー…」
アスナは嫌そうな顔を見せつつも手に水を溜めて暫く水を見つめてから意を決して顔を洗う。
「こらこら目を瞑っちゃ意味がないわよ」
「ええー…」
アスナは母に言われて頑張り今度は目を開けて顔を洗う。
「うふふ、よく出来ました」
アリシアは頑張ったアスナを抱き締めつつ褒める。
こうして頑張ったらたっぷりと愛情を注ぎつつ褒める。
アリシアこうしてアスナをたっぷりと愛情受けた心優しい少女に育てて行くつもりなのだ。
「えへへ、ねっお母さん、朝ご飯作るのお手伝いしたい!」
顔を洗い目が覚めたアスナはお手伝いをしたいと自分から言う。
「あら良いわね、ならあなたが出来る範囲で手伝って貰うわ?」
やりたい!と言ったら出来る範囲でやらせるこれもアリシアの教育方針である。
「やったー!今日の朝ご飯はなぁに?」
「そうねぇ、ホットドックにしましょうか?」
「…ホットドックってなぁに?」
産まれたばかりのアスナがホットドッグなど知っているわけがないのである。
「知らなくても大丈夫、どんな食べ物なのか後で画像を見せてあげるわ」
「はーい」
会話が終わるとアスナは抱っこ!と手を広げた。
アリシアはその仕草も可愛く思いつつアスナを抱き上げチェルシーが待つキッチンに向かって行った。
朝食をやる気満々なアスナと一緒に作り美味し苦労食べた後アリシアはララティアに連絡を入れた。
アスナの魔力について聞くためである。
「アスナ様、魔力を放ってみてくれますか?」
「こう?」
アスナはうぉぉと魔力を放った。
「はい、そんな感じです」
光属性の魔力の専門家であるララティアはアスナの魔力を感じて解析を始めた。
「なるほど、確かに光属性の魔力ですが、確かに性質が違います、アリシア様が考える通り邪神が使う各属性の内の光属性のようです」
人間や魔族が使う各属性の魔力とは別種の魔力と言う事だ。
「ですのでアリシア様も種別としては邪悪な存在ですので」
元魔王なのだ性質的には邪悪なのだ。
悪さは一切せず世界を救うために活動している存在であるが。
「アスナ様の邪神の光属性の魔力を受けても何ともないわけです、寧ろ私の方にピリピリ来てます…」
光属性の魔力なのに聖女の身体の方にピリピリと来るのが面白い所だ。
普段とは立場が逆転している。
「なら今アスナが思いっきり魔力を放ったらあなたがんぴー!ってなるのかしら?」
「恐らく」
それはそれで見たいなとアリシアが思っているとアスナが上を向いた。
「はっ…はっ…くしゅん!」
埃に鼻が刺激されくしゃみをしてしまったアスナ同時に盛大に魔力を放出した。
すると…
「んぴー!?」
普段はアリシア達魔族がんぴー!となっていたがララティアがなると言うレアすぎる光景が見れた。
アリシアはあんな風に見えてるんだな…と苦笑いする。
「はぁはぁ…アスナ様…やりますね…」
邪神の光属性の魔力を浴びたララティアは肩で息をしつつ言った。
「ララティアお姉ちゃん…大丈夫…?」
心優しいアスナは目尻を下げつつ自分の魔力を受けて悲鳴を上げたララティアを心配する。
「大丈夫です、それでは私は聖女の仕事がありますから帰りますね?」
ララティアはアスナを一度抱きしめてから去って行った。
「ララティアお姉ちゃん優しいから好き」
「ふふっそうね、それじゃお勉強を始めましょうか」
「うん!」
アスナは元気良くアスナとチェルシーに勉強を教わり始めた。




