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三話、支配権の奪取

〔ダークローズのアジト〕


目覚めたアナスタシアは全く魔力が使えるようにならない事に苛立ちつつ考えていた。


「どうしたの?あなた」


「やはり試してみる必要があると思ってね」


アナスタシアが試したいのはホワイトクイーンが本当に魔人を人間に戻せるのか?と言う事だ。


「何が言いたいのかは分かったわ、ふふっ何人か中級を送ってみれば良いんじゃないかしら?もしホワイトクイーンが中級を人間に戻せないのならそのまま連れて来させれば良いのよ」


「そうね」


アーリアの言葉に頷いたアナスタシアは中級に指令を出す。


指令を受けた中級の魔人達は転移してアスナの元に向かって行った。


「ただ本当に魔人を人間に戻したら…」


「しばらくは手を出さないのが賢明ね…」


何故ならこの結果を受けてアーリアを差し向けた場合も魔人化を解いてしまう可能性があるからである。





〔森の中の家〕


アスナはレッスンが終わったため家から出て湖の近くで遊んでいる。


今日ご執心なのはこの近くに多く住む鹿だ。


アスナとしては彼等と仲良くなりたいのである。


「ん?」


そうしていると突然鹿達が慌てて逃げて行った。


アスナが振り返るとそこには漆黒のボンデージを着た女達が立っている。


「お姉さん達、だぁれ?」


アスナは中級の魔人達を見て首を傾げる。


「アナスタシア様の命によりあなた様をお迎えに上がりました、クイーン」


魔人達は片膝を着きアスナを迎えに来たと言う。


「やーだよ、私はお母さんの子だもん、他のところには行かないもん!」


アスナはプイッ!とそっぽを向き行かないと言う。


「承知致しました、でしたら無理矢理にでも!」


ボンデージ女達がアスナに一斉に襲いかかる。


普通ならこの光景を見た幼子は怯える筈だがアスナは一切怯えない。


何故なら本能的に自分ならば彼女達を自分の害にならないように出来ると知っているからだ。


「止まって」


赤い粒子が混ざる金色の魔力をその身から放ったアスナは一瞬にして魔人達の魔瘴石の支配権を奪取した。


「なっ…」


女達は戸惑う。


いくらクイーンを名乗る者とは言えこんな幼い姿で何か出来るとは思っていなかったのである。


「よく分かんないけど、出来る気がするからするね?」


まだまだ精神の成長が未熟であるアスナはよく分からないままに力を振るい彼女達の体内にある魔瘴石を一斉に消し去った。


魔瘴石を失った彼女達は白目を剥くと気絶しその場に倒れて行く。


魔人化が解除された衝撃で意識を保っていられなくなったのである。


「わわっ!?お姉さん達が倒れちゃった!?」


まだ幼いが故に自分が何をしたのか全く分かっていないアスナは慌て始める。


「アスナ!」


そこにアリシアが現れアスナを抱き上げた。


「あっお母さん、私のまほーを使ったらこの人達が倒れちゃったの…大丈夫かな?」


「ええ、見た感じ意識を失ってるだけだわ」


「そっか、良かった」


アスナは母の言葉を聞くと疲れていたため眠り始める。


「アスナさん、私が見てたよ」


アスナが眠った直後に魔人達を狙撃しようとしていたアイシアが現れた。


「アスナが中級の魔人達の魔人化を解いたよ、これはアイツに勝つための大きな戦力になるね!」


「そうね、中級だけじゃなくアーリアや幹部達も人に戻せるかもしれないわ」


「うんっ!」


アイシアはアリシアの言葉に嬉しそうに頷く。


「ただアイシア、この事は今は私の仲間達以外には絶対に話さないで、知られるとエクシーズ以外の組織がこの子を狙い始めるかもしれない」


エクシーズはアスナを狙ったりは間違いなくしないが他の国や組織がアスナを狙い始めるかもしれない。


だからこそアスナが成長するまではこの事は秘密にするべきなのだ。


「分かってるよ、アスナの成長のためだもんね」


「ええ」


「それじゃ私は仕事に戻るね」


アイシアはアリシアに手を振ると冒険者としての仕事に戻って行った。


「ふぅ…あなたには驚かされてばかりね?私の可愛い天使さん?」


アリシアは眠る娘の頬にキスをしてから気絶した女達をエクシーズに送って保護してもらい自分達は家に帰って行く。



〔ダークローズ本部〕


アナスタシアとアーリアの間には重苦しい雰囲気が流れている。


何故ならホワイトクイーンの力を目の当たりにしたからである。


「これは現状は手を出せないわね…」


「ええ…殺しに向かってもその前に私すら魔人化を解かれてしまうかも…」


前のアスナに敵対したアイシア更にアスナを攫うか殺しに向かった結果アーリアまで失えばダークローズの最上位戦力は壊滅だ。


そうならないようにするためにもアスナに手を出すべきではない。


「手を出さない代わりに対策をする期間としましょう、ホワイトクイーンの力を受けても魔人化が解かれない新型の魔瘴石を作るのよ」


「ええ、決まりね」


アナスタシアとアーリアはアスナは暫く諦め新型の魔瘴石の開発を始める。


前のアスナがいた時はアリシア達を圧倒していたダークローズであるが。


その前のアスナを失いホワイトクイーンが現れただけでそのホワイトクイーンと直接戦ってすらいないのに圧倒されている。


たった一人力を持った者が現れるだけで状況が一変すると言う好例であろう。

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