二話、お姉ちゃんと呼ばれて
〔森の中の家〕
アスナのレッスンが始まっている。
まずは読み書きから。
現在のアスナは文字を読む事が出来ないのである。
「うふふ、賢いわね、すぐに覚えれるじゃない」
アスナは非常に賢いアリシアが教えたらすぐに覚えてくれる。
アリシアはそんなアスナを褒めつつ教えて行く。
そうする事でやる気を出させているのだ。
そしてアリシアは長く生きた中で自分の子供だけではなく子孫や弟子達を育てているその結果子育ては得意中の得意であり非常に上手いのだ。
「えへへー私賢いのー!」
今日は翼を出したままのアスナは母に褒められて嬉しそうに翼をぱたぱたさせる。
ツノや尻尾がなくなったアスナであるが代わりに生えたこの翼で感情表現をするようになったため可愛らしいポイントである。
「うふふ、お勉強、頑張りましょうね?アスナ」
「うん!」
アスナはアリシアの言葉に可愛らしい笑顔で応えた。
今日のお勉強が終わったためアスナは母とそのメイドが畑を耕す様子を見ている。
この家の食材は近くの街で買って来たりこうして自分達で育てたりして賄っているのだ。
「ねっ!私もやりたい!」
畑を耕す様子を見てアスナはやりたい!とぴょん!と飛んで示した。
「うふふ、良いわよ、やってご覧?」
「うん!」
アスナが道具を渡すと少女は振り上げて振り下ろした。
その結果物凄い地響きを発生させた。
見た目は五歳児だが中身は邪神であるハイパワーなのである。
「アスナ…アスナ…やりすぎ…」
アリシアは抑えて…と娘に言う。
「ごめんなさーい…」
アスナはやり過ぎたと苦笑いを見せてからチェルシーがやってるのを真似して一緒に畑を耕す。
そうしていると転移音がしてアスナが振り返るとそこにはフィオとセシィとアンジーがいた。
「…」
今のアスナにとって大人に見える三人が現れたのを見てアスナは慌てて母の背後に隠れる。
この年齢の子特有の人見知りだ。
「あらら、隠れちゃった」
フィオはそう言いつつしゃがんでアスナに近寄り話しかける。
「お姉ちゃん、前も会ったね、お母さんと一緒に怪我してた」
アスナは母の足にしがみ付きつつ話す。
「うん、私はフィオ、よろしくね?アスナちゃん」
記憶を持たない別人なのをフィオは理解している。
だからこそ姉であったこの少女をこう呼んだ。
「うん!よろしく!フィオお姉ちゃん!」
「お姉ちゃんかぁ…」
微笑みながら自己紹介をするアスナその言葉を聞いて姉であったこの少女にこう呼ばれるのかぁとフィオは思う。
「私はセシィです、よろしくお願いしますね?」
「私はアンジー、これからお仕えさせて頂きます、アスナお嬢様」
セシィとアンジーも自己紹介する。
「お仕え?」
「私はあなたのメイドですので」
アンジーは生涯をかけてアスナに仕えるつもりのメイドだ。
アスナの姿が変わろうとそれは変わらない。
「よく分かんないけど分かった!」
つまり何も分かっていないのである。
「それで?アスナちゃんは今何をしてたの?」
フィオはアスナに何をしていたのか聞く。
「チェルシーと一緒に畑を耕してたの!楽しいんだよ!でももう疲れちゃった…」
「うふふ、終わりにしましょう」
疲れたと言うアスナの言葉を聞きチェルシーは道具を受け取る。
「お嬢様はお三方と遊んでいて下さい」
「うん!遊ぶ!ねっ!何する!?」
遊べると聞いてアスナはテンションが上がる。
「そうだなぁまずは追いかけっこしよう!」
フィオは幼い頃姉と屋敷の中でそうして遊んだなと思いつつ言う。
「はーい!フィオお姉ちゃんが鬼ね!いくよー!」
ギュン!アスナは一瞬で消えた。
「はっ…?」
フィオは消えた…?と思う。
「フィオおねーちゃん?もう始まってるよぉ?」
声がした方向を見るとアスナは何してるの?と首を傾げている。
「え、ええ!」
これは本気でやらなければとフィオはアスナを追いかけ始めた。
「んー…既にとんでもない強さですねぇ…」
「流石に魔怪人だった頃のお嬢様と比べるとかなり劣りますが…」
魔怪人のアスナの実力を100だとすると今のホワイトクイーンとしてのアスナの力は5程だ。
大半の力を失っているとは言えフィオでも速い!?と思わせる速度を既に出せるのである。
「はーいタッチ!」
フィオは速くて小さいアスナにタッチするのに苦戦しなんとかタッチした。
「わー!やられたー!」
タッチされたアスナは悔しそうだが楽しそうに笑う。
フィオはそんなアスナと笑い合った後抱き上げて戻って来る。
「次はセシィお姉ちゃんやアンジーおね…」
「お嬢様、私のことはアンジーとお呼びください」
「う、うん?」
「メイドはご令嬢に呼び捨てされるべきなのです」
「んー、ならアンジーとも遊びたい!」
遊びも学びだ。
フィオ達はアスナの成長に協力するため全力で遊んであげる。
一時間後。
たっぷりと遊んで満足したアスナはベッドで眠っている。
「うふふ、可愛いですね」
「だね」
フィオとセシィはその姿を微笑ましげに見守る。
「お婆ちゃん、やっぱりダークローズの動きはないね」
「ええ、リーダーであるアナスタシアが大ダメージを受けた影響でしょう、ただ動かないと言う確証はないのだから、警戒しておきましょう」
「うん、出来ればアスナちゃんが大きくなるまで動かないでいてくれたら良いんだけど…」
十年動かないでいてくれと皆思う。
「そうだと良いけどそうは行かない気がするわ」
「そうだね…」
もし動き出したらアリシアはアスナを守るためにこの家から離れられない。
つまりフィオ達とエクシーズと各世界の軍で戦う事になる。
フィオ達はまた始まれば厳しい戦いになるだろうそう思った。
「それじゃアスナが起きるのを待って夕飯にしましょう」
「うん」
フィオはその言葉に頷くとアリシアやチェルシーと話してアスナが起きるのを待つのであった。




