一話、アスナのお手伝い
〔森の中の家〕
朝目が覚めると小さな天使がアリシアの服をぎゅっと握って眠っていた。
「ふふっかーわい」
アリシアは愛おしくて仕方がないと言った顔を見せアスナの桜色の髪を優しく撫でる。
するとアスナがあくびをしながら目を覚ました。
「おはよーお母さん」
アスナはにへらと微笑みつつアリシアに抱き着くアリシアは抱き着いて来た可愛い娘を抱きしめ返す。
「…」
そうしているとアスナが眠りそうになるのでアリシアは抱き上げて座らせた。
「はいはいねなーい、服を着替えなさい?」
「はぁい」
起きたアスナはベッドから降りると服を脱ぐ。
服の下から現れた体を見てほんの十年後にはまたKカップボディに戻るんだなと思う。
今のアスナの身体は前のアスナの身体がベースでありその成長過程は全く同じルートを辿る。
そのためスタイルも全く同じになるのだ。
「お母さん?着替えたよー」
「ふふっよく出来ました、それじゃ早速お手伝いしてくれるかしら?」
「うん!する!」
「湖から水を汲んで来てくれる?」
この家には水道が来ていないため近くの湖から水を汲んで来る必要があるのだ。
アリシアはそれを教育としてアスナに任せる。
「はーい!」
すっかりと目が覚めて元気満タンなアスナは意気揚々と家からバケツを持って飛び出して行った。
家の外に出たアスナは森の中を歩いている。
湖はすぐそこにあるため幼いアスナでも安全に向かえる。
「あっ!動物さんだ!なんて名前なんだろ?」
まだ産まれたばかりなアスナは動物の名前などの知識がない。
これからアリシアとチェルシーでレッスンを行って行く予定でサーストン家の立派な令嬢としても育て上げるつもりである。
アスナは楽しげに鹿に近付くすると逃げ出してしまった。
「逃げちゃった…」
しゅんとするアスナはお手伝いをしているのだと思い出すとまた歩き始める。
「そう言えば私って飛べるんだった」
翼の存在を思い出したアスナは背中の翼を広げるとふよふよと飛び始めた。
自分の力の使い方が全く分かっていない少女の飛び方は不安定でありふらふらしている。
「あわわ…」
心配で着いて行っていたアリシアは口に手を当てて大丈夫か?と目で追うが墜落せず無事湖の上まで辿り着いた。
「あっ、お家だ、近くだし飛ばなくて良いね」
幼いながらに自分の飛び方は危ないと思ったのかアスナは帰る時は歩いて行こうと思う。
「水を汲んでー運ぶ!」
湖に辿り着いて水を汲んだアスナはバケツを頭の上に載せ帰ろうとするが誰かいるのに気付く。
そこにはアイシアがいた。
「あっ!アイシアおねーちゃん!」
アイシアを見付けたアスナは水を撒き散らしながら近付いて来るアスナを見て身を引く。
「水!散ってる!水!」
「あー!せっかく汲んだのにぃ!」
アスナは大きな声を出して水が減ってしまった事を嘆く。
「あはは、何やってんの」
アイシアはそれ見てクスクスと笑う。
アイシアもアナスタシアからの干渉が精神に悪影響を与えていたようで今は別人のように明るく笑う。
そして影響から逃れたからこそ前のアスナが洗脳されて最終的には死んだのはアスナを捕らえてダークローズに連れて行った自分のせいであると思っておりそれを悔やんでいる。
(私がやった事のせいで最終的に前のアスナは死んだ、この罪に報いるためにも私は絶対にアナスタシアからこの子を守る)
アイシアは誓う。
前のアスナが人類と魔族に託した希望であるアスナを絶対に守り切ると。
「アイシアお姉ちゃん?どうしたの?」
さっきからジッと見てるのに何も反応がないアイシアに向けてアスナから声を掛けた。
「何でもないよ、さっお母さんに水を汲んで来るように言われてるんでしょ?汲んで帰ろう?」
「うん!」
アスナはわー!と湖に近付くと水を汲み今度はゆっくりと歩いて戻って来る。
「行こっ!」
「ええ」
二人は家まで歩いて行きアイシアはアスナが家に入るのを見送ると帰って行った。
「アイシアお姉ちゃんがいたんだよー」
「家に入ってくれても良いのに」
アイシアがいたのを見て家に引き返したアリシアはそんな事を言いつつ水をタンクに入れる。
ちなみに普段は魔法で水を出しているのだが今回はアスナの教育のために汲ませに行かせた。
「ふふっよく出来ました、さっ朝ご飯にしましょうか」
「うん!」
「そして食べ終わったら剣を教えてあげるからね」
「はーい!」
元気良く返事をしたアスナは椅子に座り母とそのメイドが朝食を作る様子を楽しげに見守り始めた。
「あっそうでしたお嬢様、明日からアンジーもこの家でお勤め致しますので」
「あぁ、アスナのメイドだものね」
「それとフィオ様とセシィ様も一緒に来るようです」
「ふふっそれは楽しみね」
アリシアは明日も楽しみな事があると思いつつ朝食を作り終えアスナが美味しそうに食べる様子を目を細めて愛おしそうに見つめるのであった。




