六話、誕生ホワイトクイーン3
〔神様空間〕
明日奈は気付くと神の元にいた。
「また会いましたね?明日奈」
「うん…」
明日奈はアナスタシアに利用されて最期には死んだため神の顔を合わせる事が出来ず俯く。
「あなたと話したい事は沢山ありますが悠長にしている暇はありません、アリシア達が今殺されようとしています」
「…っ!」
明日奈はそれを聞いて顔を上げた。
「それを聞きあなたはどうしたいですか?」
「助けたい…沢山酷い事をしたから…」
「あなたならそう言うと思っていました、しかしアナスタシアに操られてした事とは言えあなたの行いは罪深い事、対価なしでは私の力を貸す事は出来ません」
神の言葉に明日奈は考える自分が渡せる対価とは何か?と。
「なら私の記憶と魂を渡すよ」
「良いのですか?それはあなた自身の死を意味します」
「それでお婆ちゃん達を助けられるなら構わない」
「分かりました、ならば最期の瞬間邪神として覚醒していたあなたの身体をここで復元します、その身体に私の力であなたと同じ事を繰り返さないように天使の力を埋め込む、更に必要になるでしょうからあなたの記憶も見れるようにするとしましょう」
アスナの身体と天使の力を合わせ新たな魂を与えた存在を送り込む。
神はこう言っているのだ。
「お願いします…」
「ええ」
明日奈が消えその場に新たな身体が創造される。
五歳児程の姿で見た目はアスナと同じしかし髪の色は桜色で背中には天使の翼が生えている。
その身体の内部には魔堕石が更に進化した物である魔天石が存在する。
これによりもう完全にアナスタシアの影響を受けなくなったのだ。
新たに産まれたこの少女は神の力とアナスタシアの力が掛け合わされた存在…魔天使又の名をホワイトクイーンとなったのである。
「新しいあなたが世界を救うと信じていますよ、さぁお行きなさい、魔天使ホワイトクイーンよ」
ホワイトクイーンがリング1に向けて送り込まれた。
今度こそ世界を救うために。
〔???〕
アスナが転移を繰り返したためどの世界なのかすら分からない世界で今まさにアリシア達がアナスタシアに殺されようとしている。
そこに光が溢れ始めアナスタシアの前に立ちはだかった。
「…まさか」
アナスタシアは目の前に現れたそれを見て歓喜する。
アスナを幼くした姿を持つ少女からは邪神の気配が漂っているからだ。
「ははは!神め!なんて愚かなの!?こんなものを寄越してもまた私に利用されるだけだと言うのに!」
アナスタシアは高笑いをしつつ少女に向けて手を向ける。
目を瞑っている少女に触れた瞬間アナスタシアの右腕が消し飛んだ。
「我が名はホワイトクイーン、お前と対となる者、そしてお前を討つ者、アナスタシア、お前には我を手に入れる事は出来ぬ」
「フン、そんな力達はねじ伏せて…」
「愚か者め」
ホワイトクイーンは目を瞑ったまま攻撃を開始しアナスタシアの全身をビームで刺し貫いた。
「かはっ…」
アナスタシアは大きなダメージを受けて膝を着いた。
「くっ…この私が魔力障害ですって…?やってくれたわね…」
神が仕込んでいた自律攻撃モードがアナスタシアの魔力回路を破壊した。
この影響でアナスタシアは修復が完了するまでは魔法が使えなくなる。
「アーリア…仕方ないわ引くわよ」
「ええ」
夫がこうなっては引くしかないアーリアはアナスタシアを連れて撤退する。
それを見送ったホワイトクイーンはアリシア達の方を向く。
「アリシア、神からの伝言だ、この身体は明日奈が最期にお前達に託した希望、ホワイトクイーン、必ず育て上げアナスタシアを共に討て、との事だ、それでは自律攻撃モードを終了する」
自律攻撃モードが終了するとホワイトクイーンはきょとんとした顔を見せつつ目を開いた。
「お姉さん達だぁれ?」
まっさらな無垢な状態となったホワイトクイーンはアリシア達を見て首を傾げた。
「わぁ!怪我してるよ!?」
そして心優しいホワイトクイーンはアリシア達が怪我をしているのを見ると腕をいっぱいに開く。
「治してあげるからね!」
ホワイトクイーンは癒しの力を放つとアリシア達の怪我を一瞬にして治して見せた。
「凄いわね…」
アリシアはその力に驚きつつもアイシアとフィオの方を向く。
「神はこの子を育てろと言ったわ、だから私がこの子を育てる、構わないかしら?」
「ええ、あなたなら安心だと思うし」
「任せたよ!お婆ちゃん!」
アイシアとフィオはアリシアがホワイトクイーンを育てる事をすぐに認めた。
「ホワイトクイーン?」
「んー?」
アリシアがホワイトクイーンを呼ぶと蝶を無邪気に追いかけていたホワイトクイーンは戻って来てアリシアの前で首を傾げる。
「今日から私があなたのお母さんよ、良いかしら?」
「良いよ!よろしくね!お母さん!」
アリシアの言葉にホワイトクイーンは即決で返事をし抱き着く。
「あなたの名前を決めなきゃね、アスナ・サーストン、どうかしら?」
アスナの名とサーストンの家名をホワイトクイーンにアリシアは付ける。
「良いよ!今日から私はアスナ!」
「うん!よろしくね、アスナ」
「うん!お母さん!」
こうしてホワイトクイーンはアスナの名が与えられアリシアの娘となるのであった。
今章は短くなりましたが終わりです。
次回からはホワイトクイーンこと二人目のアスナの成長を描くホワイトクイーン編が始まります。




