二話、破壊神フィオ
〔エクシーズ本部〕
戦争が始まってから三日。
ダークローズの侵攻は止まらず追加で三つの世界が滅ぼされ十個の世界がその支配下に置かれ魔人の量産が既に始まっている。
「三日のうちに十三回行われた戦闘での勝利数はゼロ…圧倒されています…」
エージェントの内の一人が司令に向けて暗い顔を見せて言った。
現状エクシーズの切り札は魔人化解除装置であり下級の魔人ならば魔人化と洗脳を解く事が出来るようになっている。
しかし下級などダークローズからすれば捨て駒減った所で問題ではなく強力な力を持つ中級魔人に敗北を続けているのだ。
更にこの十三回の戦いでアスナやアイシアやアーリアが含まれる最上位個体幹部級はそれと思わしき個体が戦場に現れるものの何もせず確認された例の中では談笑をしていたとの話もあった。
つまり現状ダークローズからすれば最上位個体である幹部級すら使う必要がない戦いという事だ。
「しかし、我々も黙ってやられているだけではない」
そうこの危機的な状態を打破すべく人類は団結し始めていた。
各世界が一つになり戦闘員の提供共同で行われる技術開発とダークローズに対抗するための行動が始まっているのだ。
「はい…今は負けていても必ず押し返してみせましょう…」
必ず勝てるそう信じて団結を始めた人類はアナスタシアが率いる使徒達との戦争に挑んで行く。
〔レイアール家〕
レイアール家にてアスナを取り戻すための情報収集が完了していた。
アリシア達が集めた情報はまずは邪神の記録だ。
その中から封印された個体を探しその封印された個体の中から人類と敵対していない個体を割り出した。
その名は破壊神。
かつては人類を滅ぼそうとする側の神であったがある時に人間と恋に落ち人類を愛するようになった神である。
彼女は邪神と言う性質上自分がまた人類を滅ぼそうとする神になる可能性を考え自ら封印されたと言う歴史を持つ。
「みんな、この破壊神の封印を今から解きに行くわ、彼女ならフィオに力を託してくれるかもしれない」
「封印され眠っている間に考えが変わってなければ良いのですが…」
ララティアは封印が解けた途端にダークローズに加担する者にならないか?と心配しているのだ。
「可能性はあるわ…ただ、私達に出来るアスナを取り返す方法が邪神化による魔堕石の支配権の奪取これしかないのよ」
だからこそ破壊神の敵対化と言うリスクを無視して今から封印を解きに向かうのである。
「アスナを取り返すためならどんなリスクも乗り越えて見せる」
セツナの言葉に皆は頷いた。
「行こう」
そして破壊神の力を引き継ぐ予定である少女フィオの言葉でアリシア達は破壊神の封印場所に転移する。
〔破壊神の神殿〕
破壊神の神殿の中にアリシア達は現れた。
中は広い広間になっており中央に棺がある。
「魔神である私なら封印を解く事が出来るわ、みんな覚悟は良い?」
アリシアは邪神の封印を解く覚悟はあるか皆に問う。
するとフィオ達は迷わず頷いた。
「良し…行くわよ!」
アリシアは破壊神の封印を解く。
するとアナスタシアとその使徒達が放つ邪悪な魔力とは性質が違う魔力が噴き出しこの空間を埋め尽くす。
そして中から一人の女性が這い出して来た。
「待っていたぞ、子等よ」
浮遊し地面に降り立った破壊神はフィオの前に立つ。
「よく来たな、妾の後継者よ」
「えっ…?」
フィオはそもそも自分が後継者だと言われて驚いた顔を見せた。
「驚くのも無理はない、お主の魂が作られた瞬間に決まっていたのだからな、お主が妾の後継者になる事が、これはこの世界が決めた事であり、妾でも抗うことは出来ぬのだ」
神の後継者になる者はどんな方法でも生まれた瞬間に後継者になる事が定められる。
つまりフィオを作った組織がフィオの魂を生み出した瞬間にフィオは破壊神となる運命となったと言う事だ。
「それじゃ私はあなたの力を引き継げるのね!」
「うむ、しかし、妾の力を引き継いだからと言ってお主達が望む、アスナと言う少女の中にある魔堕石の権限を奪えるかどうかは分からぬ…何故なら妾よりアナスタシアの方が格が上の邪神だからだ」
格が上の神が作り出した物の権限を奪えるかどうか破壊神でも確証が持てないのである。
「その場合お主達は覚悟せねばならぬ、あのアスナと言う少女を殺すと言う覚悟をな?」
「覚悟はしているわ、ダメならお姉ちゃんがこれ以上罪を重ねる前にお姉ちゃんを…殺して止める、それが家族としての役割だと思うから…」
フィオは胸に手を当てながら言う。
「良かろう、その覚悟気に入った、妾の力お主に託そう…がはっ!?」
破壊神がフィオに触れ力を託そうとしたその瞬間彼女はフィオの目の前で血を吐いた。
「リースランデ、本当に日和ったわね?」
見ればアナスタシアが現れており破壊神の背中を右手で貫いていた。
その背後にはアスナとアイシアがいる。
「アナスタシア…」
「破壊神の力を人間などに託す愚か者には死を、消えなさい」
アナスタシアは破壊神の身体に魔力を打ち込み消し飛ばした。
「くっ…」
アリシアはやられたと俯く。
「残念だったわね?せっかく希望になるかもしれなかったのに」
アナスタシアは希望をへし折ってやったアーリア達をせせら笑う。
しかし…
「残念だったわねと言うのはこちらの方よ」
アリシアがその声に反応して振り返るとフィオが宙に浮かんでいた。
その身からは破壊神と同質の魔力が放たれている。
「まさか…」
アナスタシアは死の間際に破壊神はフィオに力を託したのか?と思う。
「ええ、あなたが殺した破壊神の力がさっき私の足元から湧き上がって来た、私はそれを吸収してその力を受け継いだわ!」
フィオはアナスタシアが手を振るい殺せと命令され襲いかかってくるアスナとアイシアを魔力で弾き返した。
溢れ出していた魔力を収縮されたフィオは静かに地面に降り立つ。
「破壊神フィオ、ここに生誕したわ、アナスタシア、これ以上あなたの好きにはさせないわよ!」
破壊神になったフィオは地面を蹴るとアナスタシアに向けて飛来し回し蹴りを放ってアナスタシアの顔を蹴り飛ばした。
「!!」
その攻撃力に耐え切れなかったアナスタシアは吹き飛ばされ壁に激突する。
「凄い力だわ!フィオ!」
「フィオ姉様、邪神の力による精神の汚染はありませんか?」
セシィは姉の心が邪悪に染まらないか心配している。
そのためこの質問をした。
「問題は一切なし!私は私よ!」
フィオは破壊神の力に適性があるそのため精神は一切汚染されておらずフィオのままでいられているのである。
「良かったです、さぁ、アスナ姉様を!」
「ええ」
破壊神の力を手に入れたフィオはアスナと向き合う。
「お姉ちゃん、私と戦ってくれるわよね?今度はあの時みたいに私がお姉ちゃんを救うわ!」
「…アナスタシアを蹴り飛ばした罪は重いよ?フィオ、絶対に殺してやる」
「だねぇ、消し炭にしてあげるよ」
アスナとアイシアと破壊神フィオの戦いが始まった。
アナスタシアに対する逆襲の始まりです。
ただアスナを救えるかどうかは…




