十話、次のターゲット
〔デトロア王国〕
アスナは玉座に腰掛けてのんびりと次の作戦を考えていた。
既にダークローズは85%の国を支配しており後数日もあればこの世界の侵攻は完了する。
侵攻を終えればご褒美を貰えるはずなため早る気持ちも少しはあるが焦る事はない。
何故なら今回の侵攻の成功はもうほとんど確定しているからだ。
「アスナ?今日はのんびりしているんだね?」
アイシアはアスナの元にやって来ると質問する。
「うん、たまには休みも良いでしょう?」
「えー?どこかの国攻めて遊ぼうよぉ?」
「んーなら新しい手駒でも増やす?」
「おー!良いね!でも残ってる国少ないし私達の手駒にするに相応しい子なんているのかなぁ?」
アイシアの言葉を聞いていたエレノアが近付いて来て二人の側で片膝を着いた。
「何?エレノア」
アスナは頬杖を着いたままエレノアに何か言いたいのか聞く。
「進言させて頂いてもよろしいでしょうか?アスナ様」
「構わないよ、話して?」
アスナが若干イラついているのを感じアイシアは苦笑いする。
アスナはエレノアがアイシアの上半身を消し飛ばしたことをまだ許していないようで進言をして来ることにイラついているようだ。
「ミスラ王国にこの世界唯一の聖女が存在します、その者なら私と並ぶ魔神と慣れる筈、アスナ様とアイシア様の手駒にするに相応しいかと」
「ふぅん聖女か」
アスナは聖女と言われて本来は世界を守るはずの勇者と聖女がこの世界を手に入れようとしている悪魔である自分達と共に世界を支配する様子はきっと素晴らしいものであろうと考え立ち上がった。
「ミスラ王国の聖女の元に行くよ、今回は侵攻じゃないから三人でね」
「やったー!」
アイシアは遊べる!と嬉しそうな顔を見せる。
「はっ!」
エレノアは何度も肩を並べた聖女をご主人様達に捧げる事が出来ると思い興奮を隠し切れない顔を見せた。
〔ミスラ王国〕
アスナ達は聖女が住まう大教会にやって来た。
「案内して」
アスナは聖女の元に案内するように言う。
「はっ」
エレノアは忠実にアスナ達を聖女の元に案内し始めた。
「…」
アスナはこの国にも魔人を忍ばせているはずと思い気配を探るが反応がない。
「魔人の気配がないね」
「だね」
アイシアも魔人の気配のなさに気付いたようだ。
「彼女の魔の気配の探知能力は確かなものです、彼女が魔人を駆除したのでしょう」
「ふぅん、やるね」
アスナは自分の部下を消した聖女にならば減らした分自分の配下になって働いて貰わないとなと思う。
「着きました、ここです」
「ええ」
アスナが扉を開けると同時に浄化魔法が飛んで来た。
「敵の気配を素早く感知し待ち伏せして攻撃、やるね、優秀だ」
浄化魔法はアスナに命中したがダメージはない。
魔怪人としての強靭な身体を持つアスナにとって弱点属性であってもダメージにはならないのだ。
「くっ…あなた達はこの世界の侵攻を行っている者達ですね…」
聖女アイシャはアスナ達を睨み付ける。
既にこの世界の女性の半数以上を魔人に変えたアスナ達は憎むべき敵なのだ。
「うんそうだよ、今日はあなたを私の配下に加えるために来たんだ」
「誰がなるものですか!」
「ううん?あなたはなるよ?私のようにね?」
エレノアは警戒するアイシャを見て邪悪に笑いながら近付き仮面を外して素顔を見せた。
「そんな…」
勇者エレノアが魔人になった姿を見たアイシャは絶望した顔を見せる。
この時点でこの世界に希望などないと分かってしまったからだ。
「アスナ様、彼女との戦闘は私にお任せ下さいませ」
「うん、良いよ、あなたに任せる」
「はっ」
エレノアは胸に手を当てて頭を下げアイシャの前に立つと剣を引き抜いた。
「さぁ?楽しい楽しい戦闘を始めましょう?早く私に負けてアスナ様にその身を捧げなさい」
「私は…私は!絶対に負けません!」
かつて肩を並べて戦った勇者と聖女。
片方は堕ち切った邪悪な存在となりもう片方は堕ち切った勇者を殺すと決め迎え撃つ。
この世界最後の希望とも言える聖女の最後の戦いが始まった。




