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七話、勇者エレノア

〔ハイビスダス王国〕


恐ろしいスピードでダークローズの侵攻が進み既に半数の国がその支配下に置かれその国々の中で魔人の量産が行われている中。


一人の少女が立ち上がった。


「勇者エレノア様…どうかあの二体の悪魔を倒して下され…」


悪魔とはこの世界の侵攻を行っている中心的な二人アスナとアイシア。


二人はこの世界でまだ侵攻を始めて二日しか経っていないのに恐るべき悪魔として扱われている。


「報告です!新たに10の国が落とされました!」


兵が新たに10の国が落とされたと報告した。


既に様々な国に侵入しており内部から魔人化を進めて行っているダークローズのやり方は非常に厄介だ。


何故なら侵攻スピードが早すぎる二日でたった今70%の国が落とされてしまったのだから。


「報告ありがとうございます」


勇者エレノアは報告してくれた兵に感謝した。


「ふぅん、君が勇者エレノアかぁ?」


そうしていると突然室内に邪悪な魔力が溢れた。


アスナとアイシアがこの国に現れたのだ。


同時に無数の魔人が次々と転移して来る。


「やれ」


アスナは冷酷な顔で腕を振るいこの王城内にいる女を全て魔人化させろと魔人達に命令した。


魔人達は上位種であるアスナの言う事を素直に聞き次々と内部にいる者達を魔人化させて行く。


「くっ!やめろぉ!!」


エレノアが斬りかかって来た。


アスナが相手にしようとするがアイシアはアスナの頬にキスをする。


「もぉ、次は私が戦うって約束でしょお?」


アイシアはそう言うとエレノアの剣をアスナに変わり受け止めた。


「はいはい、なら待ってるよ」


アスナは近くにあった机に腰掛ける。


「あーそうだアイシア、それ使えそうだし、私達の手駒にするよ、だから殺さないでね」


「はーい」


アイシアはニヤリと笑うとエレノアと斬り結び始めた。


「くっうっ!!」


勇者と呼ばれ何度も何度も世界を守って来たエレノアでもアイシアの苛烈な攻めには全く着いていけない。


そしてその表情からしてアイシアは明らかに手を抜いている。


「つまんないなぁ、勇者がいるって雑魚どもが言うから会いに来たのにこの程度ぉ?ねぇ?アスナ?こんなのいる?」


アイシアはエレノアを蹴り飛ばして下がらせてから振り返った。


「手駒はいくらいても良いからいるよ、ちゃんと魔人にしてね」


アスナは殺すなよ?とアイシアと目を合わせ伝えた。


「はぁい、私のお嫁さんは心配性だなぁ?こんな雑魚いらないと思うんだ…」


「はぁぁ!!!」


エレノアはアイシアが話している間に力を溜めておりそれをアイシアに向けて一気に放った。


「おお!?」


アイシアはその一撃で油断したままに攻撃を受け上半身が消し飛んだ。


「ああー…もう何してんの…」


アスナは今日の夜はいつもと立場を入れ替えてお仕置きだなと思いつつ机から飛び降りた。


「やってくれたね?君、私の旦那様を傷付けるなんてさぁ?許されない事だよ?」


目の前の女はかなり怒っているエレノアにはそれが分かった。


アスナは心からアイシアを愛しているそのアイシアを傷付けたエレノアにはそれ相応の報いを受けてもらわなければならないのである。


「はぁ…行くよ?」


怒るアスナは地面を蹴ると一瞬でエレノアの目の前に現れると顔を蹴り飛ばす。


「!?!?」


その一撃で顔がなくなったかと思ったエレノアだがまだ顔がある。


痛みでわけが分からなくなりつつもエレノアは剣を振るうがアスナは冷酷な表情を見せながら避けエレノアの顔を殴り上げた。


剣を使わず格闘戦で攻めるアスナ。


アイシアの身体を吹き飛ばした分徹底的に痛め付けてやると言う考えがエレノアにも伝わった。


「さっきは手駒にすると言ったけどこのまま殺してやる、覚悟しなよ?」


アスナはそう言うとエレノアが反撃出来ない程のスピードで連続して殴り続けエレノアは力なく地面に横たわる。


「雑魚が」


アスナは冷酷な表情のままエレノアの顔を踏み付ける。


「あのぉ…アスナさーん?そのくらいにしてあげよう…?」


身体が治ったアイシアはアスナの肩に触れエレノアを殺すのはやめようとアスナに言う。


「…ダメだよ?アイシア、こいつはあなたを傷付けたんだから死ななきゃ」


「もう…」


怒るアスナを抱き寄せたアイシアは唇を奪う。


「んん!?」


「はぁい落ち着いて、こいつは使えそうなんだから魔人にするよ」


「…分かった」


アスナはムッとしながらも魔瘴石を作り出しエレノアに触れさせた。


すると魔瘴石はエレノアに吸収されエレノアはあっという間に魔人になった。


「…とんだご無礼を」


エレノアは俯き顔を青くしながら言う。


大幹部であるアイシアの身体を吹き飛ばしたなど殺されても仕方のない事なのだ。


「もう良いよ、私達の役に立ってくれたら許してあげる」


「はっ!如何様にも私をお使い下さいませ!」


「ふふっ」


(ボロ雑巾のように扱い最後には捨ててやるよ)


アスナはニヤリと笑みを見せながらエレノアを利用し尽くすと決めた。


勇者と呼ばれている少女すらあっさりとダークローズに降ってしまうそれほどにアスナとアイシアの力は強力なのである。


現状この二人に勝てる力を持つ者は存在しておらずしかもそれ以上の力を持つアナスタシアとアーリアもいる。


現在のダークローズの力は圧倒的だと言えるだろう。


「さぁエレノア、これからあなたをメインにしてこの世界を完全にダークローズの支配下に置く、その力私達のために使え、良いな?エレノア」


「はっ!」


エレノアは忠実に返事をしアスナとアイシアのために働くと誓う。


アスナは彼女から背を向けるとアイシアの方を向く。


「後あなたは油断してエレノアに負けたんだし後でお仕置きね?」


「ひっ!」


アイシアは逃げ出そうとするがニコリと笑うアスナはその腕を掴みこの城の中にあるベッドルームにアイシアを引きずり込んで行くのであった。



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