五話、魔怪人としての完成
〔ダークローズ本部〕
アスナがダークローズに降ってから三ヶ月が経った。
油断をしないアナスタシアはアスナを確実に完成させるためリング1では手駒を増やす作業だけをさせリング2の侵攻作戦に使うと言うやり方をしていた。
その間にも洗脳深度を深める作業が繰り返され現在カプセルの中に入るアスナは後一回で魔堕石を破壊しても洗脳が解けないと言う状態となっている。
「これでこの子は完成よ、実力的にはまだまだアーリアに劣るけれど奴等にとってこれでこの子は強大な脅威として固定される」
何せ洗脳を解いても意味はなく敵のままなのだ。
こうなってしまった時点でアスナはもうリング1にとって恐ろしい敵でしかない。
「本当お父様の手際には感心するしかないよ」
アイシアは勝つ為に全く油断しない父の手際に感心するしかない。
こんな父の跡を継ぐのは自分もかなり頑張らないといけないなと思う。
「あなたは私の子よ、だから大丈夫しっかりと私の後を継げるわ、さて、最後の洗脳を開始しましょうか」
アナスタシアは最後の洗脳工程を行うためのスイッチを押した。
するとヘッドギアが稼働しアスナに対しての最後の洗脳が開始される。
これ以降アスナがカプセルに入るのは体のメンテナンスを行う時と更なる身体強化を行う時のみとなる。
「ねっ!お父様!終わったらすぐにアスナを奴等のところに連れて行って良いわよね?奴等の絶望してる顔が見たいんだぁ…」
アイシアは言い終わった後クスクスと笑う。
「うふふ良いわよ、希望なんてないって教えてあげなさい、それと私とアーリアも行くわ、ダークローズの首領として敵に挨拶をしておかないとね?」
アナスタシアはそう言うと三つ目と四つ目のリング間転移装置を娘に見せた。
「お父様とお母様も来るんだ!楽しみ!」
親子が会話をしている間にもアスナの洗脳は進行しやがてカプセルに入る前は97%であった洗脳深度が100%となった。
これで脳内の魔堕石を破壊してもアスナの洗脳をとくことは不可能となった。
「完成だわ、やがて我が組織最強となる存在がね、さぁ出て来なさい?私のアスナ」
「もうお父様?アスナは私のお嫁さんになる子なんだから、私達の!だよ?」
アイシアは頬を膨らませ言った。
「うふふごめんなさい、私達のアスナ?起きなさい」
アナスタシアがアスナを起動させた。
アスナはカプセルから降り立つとアナスタシアの前に行き片膝を着く。
「あなたの洗脳が完全な物となったわ、これで奴等が何をしようともあなたの洗脳が解けることはない、気分はどうかしら?」
アナスタシアは二度と洗脳が解けなくなった事に対してのアスナの感想を問う。
「そんなの決まっています、最高の気分です」
アスナは頬に手を当てながら今の自分の状態を最高の気分だと評した。
「そう、良かったわ、さぁ奴等の元に行くわよ、完全に希望なんてないって教えてあげましょう」
「はーい、あはっ…楽しみです…」
アスナはこれから起こることを想像して邪悪に笑う。
「そうね」
アナスタシアとアーリアとアイシアもアスナと変わらないくらい邪悪な笑みを浮かべる。
四人は頷き合うと装置を使ってレイアール家に向かった。
〔レイアール家〕
レイアール家に来るとどうにか魔堕石を取り除く方法をアリシア達は必死になって探していた。
アスナはその様子を見てニヤリと笑う。
「どーもぉ、無駄な事をしてる皆さん、今日は吉報があってここに来たよ」
「アスナ…」
アリシア達は何を言われるのか察した顔を見せる。
何故ならアナスタシアはそれをする為にアスナを自分達の前に姿を現せなかったのだと容易に想像出来るからである。
「私のねぇ?洗脳深度が100%になったの、これがどう言うことか分かるぅ?」
アスナは可笑しくて仕方がないと言った様子でクスクスと笑いながら話す。
「もう二度と洗脳は解けない…?」
「そう!人間や魔族が取れる方法ではね!あっはははは!!!!!!この三ヶ月無駄な研究をしてたみたいだけど、意味なかったね!あはっ!!!!!!」
アスナは邪悪に笑いなんとかしようとしていたアリシア達を嘲笑う。
「そんな…」
「ふふっこれで私は永遠にあなた達の敵なの、私を止める方法は私を殺す事だけ、だからさぁ?ちゃんと殺し合おうねぇ?楽しみにしてるよぉ?」
アスナはここまで言って主人の背後に回った。
「ふふっもう一人のアスナの主人である、名をアナスタシアと言うわ、あなた達を滅ぼす存在よ」
アナスタシアは腕を広げながら自己紹介をした。
「くっ!!」
アスナを完全に取り戻せなくした憎き敵をアリシア達は睨む。
「アナスタシア様をそんな目で見るなんて許されない事だよ?それになんで立ってるの?跪け!」
アスナはアリシア達の態度を見て怒り魔力でアリシア達を跪かせた。
「ありがとうアスナ、生意気な愚か者共の態度を正してくれて」
アナスタシアはそう言ってアスナの髪を優しく撫でた。
アスナは彼女に頭を撫でられて尻尾を揺らして喜ぶ。
「うふふ、良い顔をしているわよ?あなた達、その顔を見られただけでもアスナを手に入れた価値があるわね」
アナスタシアもここまで言ってクスクスと笑った。
「暫くはアスナはこちらの世界では手駒を増やして行く作業だけをさせるからあなた達と戦う事は少ないでしょうけど、十分な数の手駒を得たらあなた達と遊ばせてあげる、その時に簡単に死なないで頂戴ね?あなた達には私を長く楽しませるおもちゃになって欲しいから、それじゃまた会いましょう?」
アナスタシアはニヤリと笑うとアーリアを伴って姿を消した。
「ふふっ、アナスタシア様が言った通りいっぱい遊ぼうねぇ?みんな、そして最後に死んでね?約束だよ?」
アスナは楽しげに言ってから転移してアイシアと共に去って行った。
「お婆ちゃん…どうしよう…」
希望がないそんな状態でどうすれば良い?フィオは涙を流しながらアリシアに聞くしかなかった。
「アスナ自身をどうにか出来ないのなら世界をどうにかするしかないわね…」
「それって?」
「世界改変の力を作るのよ、そうしてアスナが魔怪人になったと言う事をなかった事にする、それしか私達に出来る事はないわ…」
「世界改変…」
フィオはそんな方法を取るしかない程に自分達は追い詰められたのだなと思うしかなかった。
悪堕ちはここまで行ってこそと言いきります!




