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僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強の配下たちと共に超大国を創る  作者: 瀬戸夏樹


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第176話 急襲と偽装撤退

 悪鬼達は500名ほどで固まって野放図に休んでいた。


 木の根っこやカタパルトのような攻城兵器に背を預けて昼寝している。


 その様はすっかり油断していて、敵襲を受けるなどとは夢にも思っていないようだった。


 自分達が優勢だから安全だと思っているのかもしれないし、500名もいるから守りには充分だと思っているのかもしれない。


 あるいは勢力圏だからよもやいきなり襲撃を受けることもないと思い込んでいるのかもしれなかった。


 ノアは少し迷った。


 弓矢は向かってくる敵に撃った方が有効である。


 近付きながら撃つのはあまり得策ではない。


 とはいえ、眠っている敵を襲撃しないというのも変な話だった。とりあえず手勢の1000騎のうち30騎で襲撃するように命じた。


 そうして敵が反撃してきたら全軍で迎え撃つのである。


 30騎はなるべく敵に衝撃を与えるために雄叫びを上げて、土煙を上げながら近づいていった。


 効果は絶大だった。


 悪鬼達は突然の敵襲に仰天して、飛び起き凄まじい速さで駆けてくる敵を過大評価して逃げ出した。


 中には怒って反撃してくる者や呑気に眠り続けている者もいたが、威力の高い弓矢を手に入れた騎兵達はあっさりとそれらの者を殺していった。


 ノアが本隊を引き連れて駆けつけた際にはすでに居残った悪鬼も討ち取られていた。


 そうして後には攻城兵器だけ残ったので、破壊作業に移る。


 木でできたものはすぐに燃やせたが、もう少し頑丈な金属でできたものは破壊するのに骨が折れた。


 攻城兵器を使って攻城兵器を破壊したり、その過程でバラバラになった金属を使って破壊したりした。


 短時間のうちに金具でバラバラにするのにも限界があった。


 土を掘って埋めることも検討した。


 そうして解体作業を続けているうちに悪鬼達が援軍を引き連れてやってきた。


 だいたい2000体くらいの悪鬼が仲間からの救援要請を引き受けてやってきたようだ。


 悪鬼達は攻城兵器がバラバラに破壊されているのを見て怒り狂った。


 隊列も組まず遮二無二殺到してくる。


 ノア達は解体作業を一旦中止して、馬に乗り撤退する。


 悪鬼達のほとんどは徒歩だったので、追いつくことはできず、投擲攻撃をしてきた。


 大きめの岩石や丸太、あるいは解体された攻城兵器の残骸を投げつけてくる。


 飛んできた石はノアの頬も掠めて、ヒヤリとする。


 投擲された物体に馬達が驚いて(いなな)き声を上げ、あわや錯乱しそうになる光景もいくらか見られたが、騎兵技術の高い鬼人達は「どうどう」と声をかけたり、手綱を引いたりして落ち着けた。


 経験の足りない鬼人や一人で馬を落ち着けるのに難儀している者がいれば練達の騎兵が近くに駆け寄って馬に声をかけたり、手綱をとったりして落ち着けた。


 馬から落下したり馬が負傷してダメになったりした者達は他の鬼人の馬に二人乗りするなどして助け合った。


 そうして悪鬼達の投擲攻撃が届かない位置まで逃げると、一転ノア達は弓矢で反撃した。


 悪鬼達の図体は大きく、怒りに任せて何も考えずに追いかけて来るので、弓の得意な鬼人達は簡単に矢を当てることができた。


 アークロイ製の威力・射程が長く、取り回しもいい弓矢は悪鬼達の頑健な体・巨大な体躯を一撃で貫き、命を奪っていく。


 それでも悪鬼達は数に任せて追いかけて来るが、その度にノア達は距離をとって、程よく引き離したところで射殺(いころ)していく。


 流石に初めての実戦だったこともあって、実際の戦場での殺気や圧迫感、命のやり取りに身を竦めて手元を狂わせる者もいないではなかったが、弓矢の優秀さや戦術の優秀さもあって、集団でのパニックを起こさずに敵を引き付けることに成功する。


 そうして、予定通り敵を待ち伏せポイントまで引き付ける。


 この時には戦いの騒ぎを聞きつけて駆けつけた悪鬼の集団は、5000にまで数が膨れ上がっていた。

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― 新着の感想 ―
偽装撤退といったら島津家の釣り野伏せですね!
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