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僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強の配下たちと共に超大国を創る  作者: 瀬戸夏樹


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第174話 流鏑馬大会

 ディーシュ族の流鏑馬(やぶさめ)大会はアークロイ大公の御前で開催された。


 集まってきた弓取に自信ありの勇者達は、日頃から鍛えてきた騎射スキルを大公に見せようと熱心に競い合ってくれたため、大会は予想以上に盛り上がった。


 当初のルール「二百メートルの間に的を三つ射抜く」ではまったく勝負が付かなかったため、急遽的を六つに増やした。


 中にはパルティアンショット(馬に乗りながら後ろ向きに矢を射つ)を披露する者までおり、その技術の高さに加えて身のこなしのしなやかさまで見せてくれる者もいた。


 普段会わない村同士の者達の間でも交流したり、意外な人物が弓矢の名手だったりして、当のディーシュ族の兵士達もこれほど騎射の素質持ちがいたのかと驚くほどだった。


 そしてディーシュ族の者達はアークロイ製の弓矢の威力に驚く。


 その扱いやすさ、威力、射程の長さ、耐久力、どれをとっても一級品だった。


 総じて大会は非常にハイレベルになり、互いに競い合い刺激し合ったため、大会中に腕を上げる者もおり、新たな騎射の名人を多数輩出した。



ディーシュ族の資質現在値

─────────────────────

   a b c d e f g h i j

─────────────────────

騎戦:B↗︎ C↗︎ B↗︎ C↗︎ C↗︎ D↗︎B↗︎ C↗︎ B↗︎ C

射撃:C↗︎ C↗︎ B↗︎ C↗︎ C↗︎ D↗︎B↗︎ C↗︎ B↗︎ C

……

─────────────────────



(よしよし。みんないい感じに騎戦と射撃が伸びてるな)


 大会の開催は大当たりだ。


 これまで眠っていたディーシュ族の資質を大いに呼び起こしつつある。


 この分なら冬が明ける頃には優秀な軽騎兵が多数育っていることだろう。


 こうして大会では熱戦が繰り広げられ大盛り上がりのうちに終わった。


 ノアは優秀な成績を収めた者達を特別に表彰し、騎士の称号を授与した。


 ディーシュ族の勇士達もこの大会での勝利を神と新たな主に捧げて、大公に忠誠を誓った。


 ノアは大会の締めくくりに悪鬼からの脅威を思い出すよう呼びかけた。


 そして春に予想される悪鬼の侵攻に備えて騎射の腕前を磨かなければならないことを訴え、領主として必ずや馬と弓矢を用意することを約束し、里の防衛に希望をもって冬を越すように伝えた。


 ディーシュ族の新たな軽騎兵達は、新たな領主の自分達への期待の眼差しに感激し、そして期待に応えようと誓い合うのであった。




 ♦︎




 大会が終わった後もノアはディーシュ族の防衛策について有力者達と協議を続けた。


 防衛線の視察を終えたオフィーリアと内政の調査を終えたアエミリアが合流して、協議に加わる。


「お待たせいたしました」


「うぅぅ寒っ」


 オフィーリアがキビキビとした足取りで、アエミリアが体をブルブル震わせながら部屋に入ってくる。


「報告を」


「こちらがディーシュ族の里を取り巻く防衛線になります」


 オフィーリアが独自に作成した地図を広げた。


「目下、ディーシュ族の防衛線は脆弱と言わざるをえません。エルザからの報告が正しければ、防衛の頼りになるのはこのリグレス河のみです。この河川でさえ悪鬼達の大規模侵攻を受ければ、立ち所に崩壊してしまうでしょう。悪鬼達が複数の地点で渡河作戦を敢行すれば、領土を失うのは時間の問題かと」


「防壁として頼りになるのは()だけってわけか」


(ノア様……)


「それでオフィーリア、君の意見は?」


「は。弓騎兵で防衛するとなれば、河川を盾にするのがよいかと存じます」


「なるほど。確かに悪鬼達が河を渡ってくるところを弓矢で狙い撃てれば、こちらの犠牲を最小限にして敵の兵力を削ることができそうだな」


 ノアはオフィーリアの指し示す地図上の河川を見ながら言った。


「よかろう。敵が渡河できそうな地点は?」


「悪鬼が渡河できそうな地点はこの三つです」


 オフィーリアは地図上にバツ印を打っていった。


【渡河地点の地図

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/913007/blogkey/3618603/】


「ここを渡ってきたところを狙い撃つのがよろしいでしょう」


「みんなどうだ? この地点に弓騎兵を配置できそうか?」


 ノアがディーシュ族の有力者達に(はか)ると、彼らはすかさず意見を述べ始めた。


「この地点ならどこどこの村から近いからこれだけの数を見張りにつけられそうだ」とか「ここなら倉庫になりそうな施設が近くにあるから糧秣や弓矢を保管しておくのに都合がいい」とか、「ここにある施設は取り潰せば弓矢を製造し、戦地に送る拠点になる」とか、いずれも有益な情報ばかりだった。


 おかげで誰がどの防衛地点を担当し、誰がどこを守り、誰がなんの仕事をする責任者になるかといった諸課題が速やかに決まっていった。


「よし。防衛線についての会議はこれくらいでいいな。次はアエミリア。ディーシュ族の内政についてはどうだ?」


「うぅう。こんな感じです」


 アエミリアはまだ寒さが残るのか震えながら(とはいえ一番暖炉に近い席をちゃっかり確保していたが)、各地の税収高の実態や各村々から一日に運べそうな食糧や物資の量を記していく。


「よし。それじゃあ、我が軍の後背地はこの範囲とする」


 ノアは河川に囲まれた中でも税収の高い地域、重要施設のある地域、重要な道路のある地域を囲む。


【後背地の地図

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/913007/blogkey/3618604/】


「敵に河を渡られた場合は、この範囲だけは死守するように作戦を立てる」


 ディーシュ族の有力者達はしきりに感心する。


「おお。なるほど」


「こんな風に(いくさ)の進め方を決めるのか」


 その後も会議は円滑に進んだ。


 弓騎兵を活かした防衛戦術、撤退ルート、河を突破された際の対応、補給線の確保とそれぞれの配置などなど、軍事に纏わる諸々の事案について活発に議論を行い自然と最適解に辿り着く。


(なるほど。これがノア様の新しい能力か)


 オフィーリアはノアの意思決定スピードが速くなっていることに気づいた。


 そしてそれらが受け入れられるのも。


(すなわち組織の軸を見極める能力)


 すべてはノアが弓騎兵を軸にしたことを起点に決まっている。


(つまり組織の掌握スピード及び運用効率が飛躍的に上がる。これまでは軍を動かすのは将の統率力頼りだったが、これならノア様ががっちりハンドルを握った状態で、しかも半分自動で効率よく組織を動かすことができる)


 オフィーリアは頬を綻ばせる。


(ノア様、また領主として一つ立派になられましたな)


 その後、ディーシュ族は冬が明けるまでに三つの渡河地点を見張る騎兵を千騎ずつ用意する事が決まった。


 弓矢の訓練を怠りなくすることも。


 ノアはアークロイ製の取り回しのいい弓矢を春が明けるまでに用意して、ディーシュ族に配備する事を約束し、一旦クルック城へと戻る。


 アエミリアは冬が明けるまでにディーシュ族内で糧秣の手配などするよう居残りを命じる。


(なんで私だけ居残り……)


 アエミリアは寒さに震えながら書類仕事に忙殺されるのであった。

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