4話 楽しい時間
私は5歳になった。
5歳までの間で分かったことは私の名前はエランドールという名前であること。
母さんの名前はアイリスであること。
母さんが火、風、水の魔法が使えること。
今住んでいる場所がアルトリア王国の森の中であること。
世界には8つの国があること。
この世界の言葉は前世とは違うが、何故だか理解ができるということ。
いや、それはわかったことといっていいのか…
あとはおとぎ話がありそれでわかったのが、創造神とそれに三柱神というのがいるということ。
この世界は創造神アランザウスというのが作ったとされていて、それを管理するための三柱神、祝福の女神ウラン、武神ヴェルボーグ、破壊神ドルバ。
これで世界は成り立っているという話である。
おとぎ話であるため実際とは違うだろうが、この世界にも信仰する神がいるということはわかった。
もっと続きの話もあるようだが、家にあったのは創造神が世界を作ったんですよっていうものしかなかった。
あともう一つあって、母さんが私の本当の母親ではないということだ。
母さんはエルフと呼ばれる種族であり、私は人族であるということだ。
私の耳がとがっていないためであった。成長して自分の耳を触ってわかったことでもある。
最初は成長したら変わるのかなと思ったけどそうではなかった。
でも実の母さんではないというのは関係ない。
今までの自分があるのは母さんが育ててくれたためである。
そして今日新たにわかることがある。
自分の魔法特性である。
母さんが言っていた。五歳になるとある石を持たせてその色の変化によって自分の特性がわかるというのだ。その石はアリアーダの石というらしい。
このアリアーダの石は初代聖女のアリアーダが見つけたことによってそう呼ばれることになったらしい。
教会で孤児の子たちの特性を確認するために沢山置いてあるようだ。
石は鉱山で発掘されるようで鉱山自体は教会の所有物らしい。
なので今日一緒に買いに行くことになっている。
教会自体は街の中だけでなく、町から外れたところにもあり、森から出た近くにもある。
いつもは森の動物たちと遊んでいるか、家の中で本を読んでいるかくらいしかできないが、たまに出かけるときは本当に楽しい。
「エラン、支度はできた?お靴はちゃんと履けた?」
「うん、母さん。ちゃんと履けたよ。紐もちゃんと自分で結べるようになったんだ」
「あらあら、エランは本当に優秀ね。5歳で靴の紐まで結べちゃうなんて」
「母さんくすぐったいよ」
母さんに褒められて頭を撫でられる。
非常に心地よい。
前世でもこんなに気持ち良いことなんてなかったな。
「母さん、早く行こう!」
「じゃあ行きましょうか」
そう母さんが言って家のドアを開け、3段ぐらいの段差を降りて母さんが鍵を閉めて降りてきた後一緒に手をつなぎ始める。きれいな手でとてもやさしい手だ。
森から出ると街道が見えてきた。
教会までは遠くはないと思うが私が歩くと少し時間がかかる。大人の足で30分ほどなんで今の私だと45分くらいであろうか。ゆっくり歩いていくこともできるが、この街道には馬車に乗った農家のユリックおじさんがそろそろ通る時間であろう。いつも街に行くため馬車に乗せてもらっている。
「母さん、ユリックおじさんそろそろ来るかな?」
「そうだね、そろそろ来ると思うわよ」
「ユリックおじさんが売ってるミルクおいしいよねー。夕飯はミルクを使ったしちゅうーがたべたいなー」
「あらあら、エランは食いしん坊さんね。まだ朝なのにもう夕飯の話をするなんて」
そんな話をしていて母さんはくすくす笑い始めた。
「ならユリックさんから牛乳を買わないとねー。帰りの馬車の時に売ってもらいましょうか」
「うん!ああ、夕飯が待ち遠しいなー」
そんな感じでゆったりした話をしていると、馬車に乗ったユリックおじさんが見えてきた。
「ああ、ユリックおじさんだ!」
そのまま元気いっぱい手を振ると、ユリックおじさんも手を振り返してくれた。
「母さん、久しぶりに馬車に乗れるね」
「そうね。あの馬車のお馬さんはエランにとてもなついているしね。エランはあのお馬さんと遊んでいると楽しい?」
「うんとても楽しいよ!」
「そう。じゃあ、今日も仲良くしましょうね」
「うん!」
そうして待っているとおじさんが近づいてきた。
荷台には大きな樽と箱が乗っている。
「おじさんこんにちは!」
「おう、坊主元気だったか!今日はどうしたんだ?」
「おじさん僕昨日で5歳になったんだよ!だから今から教会に行くんだ!」
「そうか!じゃあ今日はアリアーダの石を買いに行くんだな!」
「そうなんです。ユリックさん今日も乗せていってもらっていいですか?」
「おお、アイリスさんこんにちは!大丈夫ですよ!今から向かいますんで!」
この元気いっぱいなおじさんがユリックおじさんだ。
外に出ている時間が多いためかやや色黒い肌をしていて肩幅も広い。
顔の周りも濃い髭が生えている。
少し暑苦しいがとても元気で楽しいおじさんだ。
「ひひーん!!」
「うわ!くすぐったいだろタルク!そんなに顔を舐めないで!」
おじさんに似て元気いっぱいな馬がタルクだ。
私が近くにいるといつも遊んでくれる。
「本当に珍しいんだよな。タルクが俺以外のやつになつくなんて。結構気性の荒い馬なんだが」
「きっとエランがやさしいってことがわかっているんですよ」
くすくす笑いながら母さんがそういった。
そういえば私はいろいろな動物に好かれているな。
森の動物たちにも好かれている。
なんか幸せだな。
こんなに楽しい時間があるなんて。
「よしじゃあ荷台に座ってくれ。教会まで送るから。帰りは大体2刻ぐらい過ぎたところで通ると思うから、その時にまた乗っていきな」
「ありがとうございます。あと、お願いが一つあるのですがいいですか?」
「どうしたんだい?」
「エランが今日シチューを食べたいそうなんです。なので帰りにミルクを売ってくださいませんか?」
「ふむ・・・季節的にはミルクはまだ腐りにくいし売るのは構わんが、どうせなら帰りに馬車に乗ってうちの農場で新鮮なミルクを買って帰ったらどうですか?今日は時間もあるし農場からの帰りは送っていきますぜ」
「いいのですか?ご迷惑になりそうな気もするのですが・・・」
「いいんですよ。うちのカミさんもエランに会いたがっていたし、娘の遊び相手にもなってやってほしいんですよ」
「そうですか・・・ではお言葉に甘えてお願いします」
お!おじさんの農場に行けるのか。今日は楽しみが増えたな。
奥さんのカルラさんにも、娘さんのアリッサちゃんにも久しぶりに会いたい。
「やったーっ!!農場に行くの久しぶり!」
「おうエラン、うちの娘と遊んでやってくれ!」
「エラン良かったわね」
「うん!!」
「よし!じゃあアイリスさん、坊主荷台に乗りな!」
そう言われて私と母さんは、荷台から足を出すような感じで座った!
「おじさん、タルク、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
「おう!」
「ひひーん!」
そうして馬車が動き出した。




