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テンプレ異世界はバグばかり?ポンコツ女神と示談から始まるデバッグ無双  作者: ニャルC


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第8話:ミントのパンガイア大陸リブート計画3

アイリスが弟の肩に手を置くと、王子はしっかりとした足取りで一歩前へ出た。

「わかりました、姉様。ラムさん、行きましょう。あちらの部屋に、珍しい外国の文物があるんです」


王子はラムよりも少し背が高い程度だが、騎士のような所作でそっと手を差し出す。

ラムは引きつった笑顔を「不安そうな幼女」のパッチで覆い隠す。

ラムはさっきの庇護欲ハックの幼女ムーブをした以上、押し通すしかない。

王子の手に小さな手を重ね、しずしずと別室へ連行されていった。


ミントは感心したように言う。

「エスコート?かわいい紳士様ね。背伸びしている感じが、天然の可愛さ」

ラムのあざとさと違ってーーいやあれは生存戦略だから天然?わからなくなった。


アイリスは首肯する。

「自慢の弟よ。だから巻き込みたくないの」

「巻き込みたくないーーあぁ」

馬車襲撃事件の動機の可能性として、後継者争いのテンプレ展開が予想される。

年若い弟を担ぎ出す勢力がいて、王女は骨肉の争いを避けるため、実績が欲しいはず。

こちらは権力の混乱で文明が停滞すると困る。利害は一致。


龍人族ドラゴンを仲間に引き入れるなんて。さすがはミントさんね……あんなに愛らしい姿ですもの。

正体を知っていても、つい甘やかしてしまいたくなるわ」

ラムの庇護欲ハックは王族にすら有効らしい。


「仲間……そうですね。互いの利害が一致したため、契約を結びました」

誤射で撃ち落としたことは言う必要はない。


アイリスが愉快そうに笑う。

「契約、ですか? ふふ、ミントさんらしい。ドラゴンを連れた英雄が、

力で従えるのではなく、『契約した』なんて初めて聞いたわ」


ミントは持参した簡素な仕様書をテーブルに広げて、本題のプレゼンテーションを開始した。

「提案があって参りました。現在の物流は陸路のみ。

そこに『海路』というインフラを加え、冗長化したいと考えています」


アイリス王女は、聞き慣れない単語を頭の中で翻訳するように瞬きをした。

「物流は国家の血管、それは理解しています」

ミントは畳み掛ける。

「陸路で問題、例えばスタンピードなどがあっても海路の物流がある、これが冗長化です。

船の建造費用はこちらで全額負担します。成功すれば名誉は王女とシェアされる。

悪いディールじゃないでしょう?」


王女が眉根を寄せた。

「タダより高いものはありません。美味しい話には裏があります。ミントさんの要求は?」

「このプロジェクトを王女公認として承認し、船に国旗を掲げる許可をください」


王女は少しの間、沈黙してミントを見つめた。

その瞳は、先ほどラムや弟を可愛がっていた時とは違う、一国の王位継承者としての冷徹な色を帯びている。

「なるほど、反対する保守派の対応ですね。あと海路には赤道の無風地帯がありますよ」

「問題ありません、むしろご褒美です」

ミントは即答した。


圧倒的な自信、そこには確固たる論理的裏付けがあるのだろう。

王女は小さくうなずいた。

「承認します。……ただし、こちらからも一つ、条件を出させてください」

 

お約束とミントの感想

・生活魔法、飲料水や火種を出す魔法を一般人でも使える:一見便利そうだけど、文明の停滞の原因

・世界は単一大陸:文明が単一化されて、これも停滞の原因だね


デバッグ・チャットログ

ミント:この世界の住民、魔法っていう便利すぎる解決策に依存しすぎね。

傷を治すのも、水を作るのも、全部「魔法」だけ。これじゃあ、医学も工学も基礎研究が進むはずがないわ。

ガイア:ええー、でもファンタジー世界で「剣と魔法」って普通じゃない? みんなそれで満足して暮らしてるんだし。

ミント:その「普通」の文明の中で、外部の刺激なしに近代化に成功した割合は?

ガイア:うっ……。私、概念的な存在だから、あんまり細かい数字には弱くて……。

ミント:魔法に頼らない独自の進化を遂げた別大陸の文明との衝突でもあれば期待できたんだけど、この世界、単一大陸でしょ? 逃げ場も比較対象もない。……ええと名前は、パン「ガイア」大陸でしたっけ?

ガイア:そうよ! 私の名前を冠した、私の愛する大陸なんだから。……なによ、ネーミングに不満がある?

ミント:不満というか、構造的な欠陥ね。魔法という「資源の呪い」と、競合不在の「モノカルチャー(単一文明)の呪い」。この合わせ技で、文明の進歩が完全に詰んでいるわ。

ガイア:……「呪い」とか「詰んでる」って言わないでよ! だから貴方を呼んだんじゃない。

ミント:わかってるわよ。物流で物理的に世界を繋ぎ直してやるから、見てなさいな。

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