Episode 28 ルカ様からわたしへ向けての✕✕。完全にキレたアレクシス様は⋯⋯
放課後の寮部屋。机を囲む三人──アレクシス様、ルカ様、お義兄様──の間に張り詰めた空気が漂う。
ルカ様は少し前に出て、わたしの目をまっすぐ見つめる。
「……エル、ずっと伝えたかったことがあります」
アレクシス様が腕を組み、眉間にしわを寄せる。
「ルカ……お前、また距離詰めすぎだぞ!」
お義兄様も立ち上がり、鋭い声で。
「俺もエルの側にいる。ルカ、やめろ!」
だが、ルカ様は動じず、静かに一歩踏み出した。
「……もう、言葉だけじゃ伝わらないんです」
そして――その瞬間、ルカ様の手がそっとわたしの頬に触れ、唇が彼女の唇に重なった。
わたしは驚きで目を見開き、体が一瞬硬直する。
(……えっ……!?)
ルカ様は少し強引に唇を重ね、甘くも熱い力を込める。
そして、離す。
「……すみません。でも、これで分かってくれるはずです」
アレクシス様は怒気で顔を真っ赤にし、拳を握りしめる。
「ルカ……っ、ふざけんな!」
お義兄様も机に手をつき、低く唸る。
「ルカ、お前……! エルに何してる!」
エルは心臓が激しく跳ね、目に涙が浮かぶ。
(……ルカ様……こんな……どうして……)
ルカ様は再び、わたしにキスをする。
唇を離したルカ様は、静かに微笑み、額を軽くわたしに寄せる。
「……さあ、これで分かりましたか?」
わたしは混乱しつつも、心の奥で熱く甘い感情が渦巻くのを感じる。
その横で、アレクシス様とお義兄様は、怒りと嫉妬で火花を散らしている。
放課後の寮部屋は、甘くも危険な三つ巴バトルの真っ只中である。
ルカ様がわたしの唇を離した瞬間、放課後の寮部屋は静寂に包まれた――と思ったのも束の間。
アレクシス様の金色の瞳が、怒りと熱情で燃え上がる。
「……私が黙ってると思ったか?」
次の瞬間、アレクシス様がルカ様の横をすり抜け、わたしの前に立つ。
「エル、私も――っ」
そして、ためらうことなく、ルカ様の残り香もまだ唇に残るエルに、自分の唇を重ねた。
ルカ様の時とはまた違う、力強く熱い感触。
エルは目を大きく見開き、体が一瞬固まる。
(……えっ、アレクシス様まで……!?)
ルカ様は横で眉をひそめ、唇を噛む。
「……ちょっと、待ってください……」
しかし、アレクシス様は完全に押し切る勢いで、唇を離さない。
「……私は、私の気持ちを伝えたいんだッ!」
その間にもお義兄様が腕を組み、険しい表情で睨む。
「……俺も黙って見てると思うなよ、エル!」
放課後の寮部屋は、一瞬にしてルカ様vsアレクシス様vsお義兄様、わたしを巡る三つ巴バトルの舞台と化した。
わたしは心臓が張り裂けそうに高鳴り、頬が熱くなる。
(……どうしよう……もう、わたし……パニックよ……っ!)
甘くも危険な三つ巴の戦い――放課後の静かな寮部屋は、今まさに恋と嫉妬の嵐に飲み込まれつつあった。




