Episode 23 今は誰が中心?
アレクシス様、ルカ様、そしてお義兄様。
三方向からの視線と圧力に、完全に挟まれているわたし。
さらに、その場にはエノリス様もいて、端からこの騒動を冷静に見守っている。
彼女はどうすればいいのか、オロオロするばかり。
「……誰が中心か分からない状況⋯⋯」
エノリス様が呟く。
わたしは頭を抱えた。
(エノリス様まで冷静に分析しちゃってる……わたし、完全に板挟み……!)
アレクシス様がわたしに近づき、低く囁く。
「……エル、俺とだけ話してくれ」
しかしルカ様も穏やかな微笑みで手を差し出す。
「……私も、ほんの少しだけで構いません」
お義兄様は慌てて割り込む。
「え、俺も……えっと……!」
教室は一気にカオス状態に。
三人の熱い視線と囁き、わたしのとエノリス様はパニック。
背後からカツン……カツン……と、ヒール音。
振り向くと――ハイアス先生が両手を腰に当て、鋭い目で全員を睨んでいた。
「……ちょっと待て。何やってるんだオメーらァァァ!!」
三人は瞬間的に萎縮。
でも視線はわたしから離さない。
わたしは思わず心の中で叫ぶ。
(もうっ……誰も落ち着いてよぉぉぉっっっ!!)
アレクシス様がわたしの手をそっと握り、ルカ様が静かに隣に寄る。
お義兄様も必死にアピール。
エノリス様は一歩引きつつ、他の教師を呼びに行くか悩む。
ハイアス先生は両手を広げ、威圧。
「……全員、静かにしろ! ここは教室だ、戦場じゃねぇ!」
教室内は甘さと緊張、そして完全カオスが入り混じる。
机はわずかにずれ、ペンや紙が飛び、三人の視線と声がエルの心臓をバクバクさせる。
エルは頭を抱えて思う。
(……どうしよう、順番に話すなんて無理……!)
エノリス様は冷静に小声でエルに囁く。
「……落ちついてください、エル様。順番を考えるんじゃなくて、状況をコントロールするといいんですよ」
わたしはエノリス様の言葉に少し心を落ち着け、暴走状態の三人とどう向き合うか決意を固める。




