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魔女①

ヒデユキサーキットのスタート地点。

アリサの操作するドローン映像に、赤く滲むような影が映り込む。それは、朽ちた団地の端で揺れるように佇むサソリ型のランバートの姿だった。


「ランバート!? バカな、こんな所にか!?」


ユウキが画面を見つめたまま叫ぶと、駆け出すようにウロボロスのもとへ向かう。


「タツヤ!乗れ!アイツが居るところまで走るぞ!!」


タツヤは、預かっていたナツキの血刀をしっかりと胸に抱えると、迷いなくウロボロスに飛び乗る。


タツヤが乗ったのを確認すると、ユウキはスロットルを思い切り開け、ギアを蹴る。エンジンが唸り、黒い機体が土煙を巻き上げながら飛び出して行った。


「中継ドローン、戦闘支援モードへ切り替え!」

アリサは中継用ドローンへ司令を送りながらユリに声を飛ばす。


「ユリちゃん!!ユウキくんをリリィでナビ出来る!?座標情報はリリィに送信済みや!!」


「りょ、了解!!」


ユリは一瞬たじろぎながらも、すぐに自身のバイザーへと視界を戻す。

画面にはマッピングされた廃墟と、ランバート出現位置、そしてウロボロスの進行ルートが表示されている。


「それと、リリィを操作したまま本部に連絡!!

二つのこと同時にやらなアカンけど……出来る!?」


アリサの問いに、ユリは一瞬だけ躊躇う。しかしすぐに、決意を宿した瞳で頷いた。


「や、やってみます!!」



--


爆ぜる瓦礫、金属音のような咆哮と風切り音。

ナツキは倒れたホタフーキを左腕で抱えながら、右手のハンドガンでランバートの頭部を正確に撃ち続けていた。


「チッ!!やっぱりマトモに通らねぇか!!」


厚い装甲が弾丸を跳ね返す。

顔面に集中して撃っているにも関わらず、表面が焦げる程度のダメージしか与えられていない。


「くそっ……!!」


ランバートの尾が再び振り上げられる。

ドリル状のその先端が、唸りを上げながらナツキ目がけて突き刺さってきた。



…ギリギリで回避。

肩を地面に打ちつけながら転がり、なんとか体勢を立て直す。


その時だった。


瓦礫の影から、風に揺れるスカートの端が覗く。

視線をやったナツキの瞳に、見慣れた姿が映った。


「シ……シアさん!?」


崩れた壁の隙間から、静かに現れる少女の姿。

ほんの一瞬、彼女はランバートの姿に目を見開いた。


その次の瞬間、ランバートのドリル尾が振り上げられ、狙いをナツキからシアへと変える。

瓦礫の山が尾の一撃で飛ばされ、軌道を外れた巨大なコンクリート片がシアの方へと飛んでいく。


「ッ!?危ない!!」


ナツキが叫ぶ。


シアの目前に、巨大な瓦礫が迫る。


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