表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/89

戦場②

巨体に纏うは黒鉄の鱗。翼は霧を裂き、雷鳴のような咆哮が戦場を揺らす。

その“龍”の姿に、全兵が言葉を失った。


「……撃て!! 全員、撃てぇぇっ!!」


誰かの叫びが引き金を引かせた。

マシンガン、アサルトライフル…ありとあらゆる兵器が一斉に火を噴く。


「……効いてねぇ……!? 全然、効いてねぇッ!!」


龍は悠然と舞い、喉奥から赤く灼けた“熱”を漏らす。

次の瞬間、熱線が地面を薙ぎ払う。

その場にいた何人もの兵士が、叫ぶ間もなくただ蒸発する。


その絶望的な光景を前に、ハーミットはただ、立ち尽くしていた。

歯がガチガチと音を立て、膝が笑う。


目の前に龍が降り立ち、爪が彼を貫こうと振り下ろされる。


「危ないっ!!」


怒号と共にそこに飛び込んできたのはグラディエーターだった。咄嗟にハーミットを突き飛ばし、自らはその爪を真正面から受け止めた。


一瞬の衝撃。


グラディエーターの片目が、頭蓋ごと抉られる。


「ッ……ぐ、うぅ……!」


呻き声を上げながらも、彼はハーミットに目を向けた。


「……逃げろ……!」


その声に突き動かされ、ハーミットは走り出した。

足がもつれる。視界が揺れる。涙が滲む。


「助けて……!死にたくない……ッ!!」


だが、龍はすぐさま追いつき、牙が背後から迫る。


「あああああああああッ!!」


視界が赤黒く染まった。

何かが“千切られた”感覚。

自分の腰から下が…無い。


焼けた骨の匂い。吹き出す血の味。


「あ、あ…あ……」


遠のく意識の中、彼は見た。

突如として現れた一人のスキンヘッドの大男が、龍の喉元に拳を突き立てた瞬間を。


龍は悲鳴を上げる。

雷鳴のような咆哮が、弱々しい吐息へと変わっていき、その巨体はやがて地面へと崩れ落ちた。


スキンヘッドの男は無言で歩き寄り、血まみれのハーミットに膝をついた。


「……救えなかったか……すまない」


祈るように手を合わせると、龍の亡骸を軽々と持ち上げ、闇の中へと歩き出した。


--


現代…ダストハイブ司令室。

R.W本社から帰還していたマントマンは、持ち帰った資料の束を手にしながら虚空を見つめていた。


「…疲れてんのかな、柄でもなく居眠りなんかしちゃったよ」


その顔には、わずかに汗が滲んでいた。


握る拳が震えている。

それが、恐怖なのか、怒りなのか…彼自身にも分からなかった。


「…変な夢だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ