最前線③
ひときわ遅れてダストハイブからの増援部隊の装甲車が到着した。
後部ゲートが開き、タツヤが飛び降りる。周囲を素早く見渡しながら、部隊の指揮を執る眼帯の男のもとへ駆け寄る。
「デザートホーク、到着致しました!」
グラディエーターはタツヤの背負うスナイパーライフルを見て即座に判断を下す。
「今は狙撃よりも掃射に回って欲しい!スナイピングは後回しだ!デザートホーク、機銃部隊と合流してくれ!」
「了解!」
タツヤは即座に、前線に展開された重機関銃へと駆け、上空を飛び交う昆虫型のランバートに向けて掃射を開始する。銃口から吐き出される火線が空に網を張り、次々に敵を撃ち落としていく。
一方その頃、街の外れ。
ヒデユキは愛車の傍らで優雅に腰を下ろし、携行コーヒーをすすっていた。まるで戦場のただ中に居るとは思えない静けさが、その姿にはあった。
突如、耳障りな羽音と共にランバートが彼に襲い掛かる。が、その直前でランバートの身体が爆散する。吹き飛んだ肉片は黒く焼け焦げ、それも、まるで高熱のレーザーで焼き貫かれたような孔が空いていた。
ヒデユキは再びコーヒーを一口、静かにすする。
戦場では、2台のバイクが暴風のように駆ける。
ウロボロスを駆るユウキの脚には、新兵器"ブラッドブーツ"が装着されていた。爪先と踵に走る刃に血液を流し、敵を蹴り砕くたび、朱色の閃光が大地を走る。彼の両腕にはブラッドグローブを改良した"ブラッドナックル"。血の力で強化されたその拳は、ぶつかるたびに爆裂音を響かせて敵を粉砕していく。
「手応えがねぇなぁ!!もっと気合い入れて来いやぁぁ!!」
狂気じみた叫びを上げるユウキに呼応するように、タケミカヅチを駆るナツキも戦場を疾走する。バイクの上から跳躍し、刃を振り抜くたびに昆虫型ランバートの甲殻が両断され、青い鮮血と火花が舞う。
「ちょこまかと飛び回りやがって!!切り落として地面とお友達にしてやんぜ!!」
2人の型破りな戦い方に前線の兵士達は唖然とする。それでも、何とか戦いについて行こうと奮戦する。
機銃による援護を担うタツヤは、その狂乱の中にも冷静さを保ちつつ、乱戦の要所に向けて正確な援護射撃を繰り出す。
照準器の中でもバカ2人の動きが捉えられていた。
「…あれじゃ軍人じゃなくて蛮族だよ…ユウキは軍人じゃないけど」
重機関銃と前線攻撃部隊の交錯が、戦場のバランスをわずかに取り戻していく。
ヒデユキは肩の力を抜きながら、ふと天を見上げる。
「さて、そろそろ…こちら側の“最終兵器”も来る頃だろう 」
その目には、未だ燃え尽きぬ静かな闘志が宿っていた。




