風に③
乾いた荒野を切り裂くエンジン音。
そして、爆音と共に2台のバイクが宙を舞う!
「ヒャッハー!!俺たちゃ無敵の”旧血トリオ”だぜぇぇぇぇ!!」
ナツキが叫ぶその声は、まるで終末の雑魚キャラそのもの。
“トリオ”という言葉に、ホタフーキの胸がじんわりと熱くなる。
(……俺も、仲間なんだ…!)
その瞬間、ユウキが豪快にバイクをウィリーさせる。
「落っこちんなよ!!」
後ろに乗るホタフーキに声を掛けると、ウィリーさせたままバイクを走らせる。
「う、うおおおおおっ!?」
地面ギリギリの後頭部、ホタフーキは必死にしがみつきながらも風を切る感覚に目を輝かせる。
だが、その刹那。
ズゥゥゥッ、と地鳴りが走り、視界の先に“巨大な口”が現れる。
バクンッ!!
大地を抉りながら姿を現したのは"アリジゴク型"のランバート。
地を走るバイクに向けて不気味な目をギラつかせ、甲殻を軋ませながら咆哮を上げる。
「なんだよこいつ!?」
ナツキが咄嗟に叫ぶ。
ユウキとナツキはバイクをドリフトさせながら一時停車。
土煙の中、睨み合う三人とアリジゴク。
「ケッ!人のアソビにアヤ掛けようなんざ…いい度胸してんなぁ虫野郎!」
ユウキがニヤニヤと笑う。敵と対峙しているにも関わらず、その顔はまるで新しいオモチャを買ってもらったばかりの子供のようにキラキラと輝いている。
「テメェの頭ぶった切って、HG住宅の門に飾って終末のデートスポットに変えてやンよォ!!」
アクセルを空ぶかししながら挑発するナツキ。
しかし、ホタフーキの一言で2人の威勢に変化がもたらされる。
「け、けど二人とも…武器は…?」
間。
2人は顔を見合わせ、一旦冷静になる。
「あっ」
アリジゴクが再び地中に潜り、地響きを立てて接近する。
「と、とりあえずズラかるぜ!!」
「お、おうよ!」
二台のバイクが爆音とともに加速し、砂煙を巻き上げながら荒野を駆ける。だが、アリジゴクも驚異のスピードで2人を追う。
「ナツキ!お前のカウルに“簡易血刀”仕込んである!使えるか!?メーター横にボタンがあるだろ!?」
ユウキはナツキのバイクのカウルを指差しながら聞く。
「素晴らしい仕事してんじゃねーか!!多分、なんとかなる!!」
ナツキはメーター横に付けられた刀のマークのボタンを押す。
ジャキン!!という金属音と共に、両側のカウルから薄い刀身が展開された。
「ワタナベのオッチャンの血刀の話聞きながら、家で作ってみたんだ!!細くて軽ぃが斬れ味は保証付きだぜ!」
そのとき
ドドドドッ!!と、突如アリジゴクが地面を破って三人の間に割り込む。
「――ッ!!」
覚悟を決めたホタフーキは、ユウキのバイクの後部から跳び降りるを
ブラッドグローブに血液を送り込み、アリジゴクの顔面に取り付くと同時に拳を叩き込む
ガギィッ!!という音と共にアリジゴクの顔がのけぞり、奇声を上げて怯む。
「今だぁ!!」
ナツキが両サイドの簡易血刀を引き抜く。
二本の刀を逆手で構え、アリジゴクの首関節に目掛けてバイクから飛び降りる。
「オラァァァァァァァッ!!」
ゴギャッ!!と金属を裂くような音を立てながら、アリジゴクの頭が宙を舞う。
バイクは勢いよく地面を滑っていくが、ユウキの作った頑丈なカウルによって大きな破損は無かった。
「ナイス俺のバイク!!そしてよくやった、ナツキィ!!」
ホタフーキが振り返り、二人を見て破顔する。
「すっげぇ!!…アニキたち、やっぱサイコーだよ!!」




