道③
緊張した面持ちのタツヤが、一歩前に出て口を開く。
「……我々は、世界解放戦線の兵士です。ランバートの討伐中にターゲットを見失ってしまい、この街の方へ向かっていくのが見えたので……手がかりを求めて、ここに……」
言いながら、自分でも声が震えているのがわかった。目の前の男が“人間”であると分かっているのに、それでも自然と呼吸が浅くなる。心臓が早鐘のように鳴っている。
しかし——
「ダストハイブのか!? そうかそうか!!」
ヒデユキは突然、破顔した。
「これも何かの縁だ。いいぞ、何でも聞いてくれ!」
上機嫌に笑うその表情は、さっきまでの“恐怖”を一瞬で裏切るような温かさだった。
ナツキが眉をひそめながら、恐る恐る問いかける。
「……ユウキが言ってた、“ドゥンドゥン”ってのは何すか?」
ヒデユキは一瞬「あぁ」とうなずき、軽く笑った。
「ドゥンドゥン、というのはな。我々の中では“支配者”を意味する言葉だよ。
もっとも、私は別に支配だとか、そういうことには興味が無いのだがね……ただの呼び名さ」
その台詞を聞いて、ユリがズバンと鋭く突っ込んだ。
「違うでしょ!!ランバート!! 私たちが追ってる“トカゲの奴”のことを聞くんでしょ!!」
ヒデユキは少し首をかしげた。
「……トカゲ?」
眉間にしわを寄せ、記憶の引き出しを探るような仕草。そして、すぐに思い直したように頷いた。
「……何かの参考になるかは分からないが、一応、君たちには見せておくべきかもしれないな」
そう言うと、彼はゆっくりと仏像の横へ歩き、両手を仏像の脇へ差し入れた。
まるでダンボールを持ち上げるかのように、仏像をひょいっと持ち上げる。
その下には、石造りの階段。外からは完全に隠された、地下への道が現れた。
「……着いて来なさい」
その一言を残し、ヒデユキは階段を降りていく。
あっけにとられたナツキが、仏像の前へ進み、同じように持ち上げようとする。
「……うおおおおッ……っのぉおおお……!!」
顔を真っ赤にし、全身の筋肉を総動員して引き上げようとするが、仏像はピクリとも動かない。
「……何してんだ、早く行くぞ」
呆れたように、タツヤが階段の入り口で振り返った。
「……クソ、マジでおかしいだろ……」
ぼやきながらも、ナツキも階段を降りていく。地下には一体、何が待ち受けているのか…。




