道①
ユウキはソファの背もたれにもたれかかり、足を組みながら煙草をふかしていたが、ふと目を細める。
「……ランバート、ねぇ。あの金属みてぇな光り方するバケモンのことか?」
タツヤが一瞬息を呑み、ナツキが身を乗り出す。
「お、なんか知ってんのか?」
しかしユウキは首を横に振り、肩をすくめる。
「いや、知らね。……だけど、“あの人”なら……」
不意に、彼の何かがよぎったように思えた。
「ちょうどいい。ナツキ、お前に紹介してぇ人が居る」
その言葉には明らかに“他の二人には言ってない何か”が含まれていた。ユウキはちらりとタツヤとユリを見やり、小さく舌打ちする。
「……成り行きだからしょうがねぇか」
そう呟くと、ユウキは背もたれから体を起こし、ボロボロになった赤黒い"ブラッドグローブ"を嵌め直す。
擦り切れた黒革に、幾つかの古びた縫い目。過去に何度も激しい戦いを潜り抜けてきたそれは、彼の“生き様”そのもののようだった。
「“ヒデユキ”さんって人がいる。この街じゃ、ちょっとした伝説だ」
ホタフーキがすかさず言葉を挟む。
「父さん、すごいんだよ!“死にかけたアニキ”も、“俺”も助けてくれたんだ!」
「今はこの先の寺院跡に居る。俺らの命の恩人さ」
そしてユウキは、ゆっくりと玄関の方へ歩き出しながら片手を上げる。
「行くぞ、ナツキ。…お前らも来るんだろ?」
ユリとタツヤに対しては、明らかに“ついで”のような扱いだった。




