新世界へ①
戦いから1週間の月日が経った。
ナツキの治療は順調。R.W社の医療技術が背中を貫いた傷さえもあっという間に塞ぎつつある。
ベッドの上で身を起こしながら、ナツキはドヤ顔。
「な?これが根性よ!どっかのヒョロガリと違ってタフなんだよ!」
ユリは呆れながらもリンゴを剥く。
…この世界では高級な"本物のリンゴ"、ナツキの大好物でもある。
「うんうん、そうだね」
ユリはにこやかな表情ではあるが、真面目に話を聞いていないのだろう。適当な返事がそれを物語っている。
タツヤはいつも通りのナツキの軽口にツッコミを入れようと思ったが、流石に怪我の心配の方が勝った。
「治ってきたのは良いけど、調子に乗るとまた穴あくぞ」
--
ナツキの治療の後、3人はダストハイブの食堂へと向かい、朝食が出てくるのを待った。
そして、笑顔のP.Jが胸を張って持ってきた朝食は…合成肉をベースにした、謎の赤黒い物体
「今日は鉄分強化食、旧時代の“レバ刺し”を再現したんだ。ゴマ油と塩でどうぞ」
皿の上にはドロッとした赤い肉片のようなゼリーと、透明な小皿に入った調味料。3人の表情が微妙に引きつる。
ユリはそれを恐る恐る口へ運ぶ。
「……なんとなく鉄っぽい味……」
タツヤは一瞬表情を顰めるが、何かに納得したのかうんうんと頷く。
「でも、ゴマ油と塩がちゃんと美味いな」
ナツキは合成レバ刺しを飲み込むと、ハァとため息をついて言った。
「……この味、知ってる…殴られた後の唾の味だ」
P.Jは感動の余り手を叩く。
「おぉ、それはつまり再現成功だな!」
--
P.Jが3人を案内しながら説明する。
「今日は”血税”納付日。旧世代人の血液は重要資源。最優先対象だよん」
ナツキは何故か少しニヤついている。
よく見ると小綺麗な格好に身なりを整えており、何処か鼻息は荒い。
「採血と言えば美人看護師だろ? 白衣…巨乳…優しい声!!」
P.Jは呆れながら言った。
「…今から血を抜くのに、何を膨らませてる」
ナツキは真剣な表情で言う。
「夢と希望だよ」
しかしタツヤは見逃さなかった。明らかにナツキのズボンの"一部分"も膨らんでいる事を…。




