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初陣⑤

救助ヘリがナツキの前に降り立つ。


先輩兵士のタケシに抱えられたナツキは、血まみれで呻きながらも…騒がしかった。


「いてぇぇぇぇ!!頼む!どうせ運ばれるんなら痛くてもいいから…美人でキョニューのお姉さんがいい〜!!こんなオス臭ぇゴツゴツの胸板なんか嫌だぁぁぁ!!」


「うるせぇよ!」

額に青筋を浮かべつつ、しっかりとナツキを担ぎ続ける。その背に砂埃が舞う。


タツヤはその姿を見送りながら、ふっと笑う。

さっきまで張り詰めていた胸の奥に、確かな安堵が広がっていた。


「お疲れ様」

ユリが歩み寄り、冷えた水筒を差し出す。その水が、タツヤの火照った頬を心地よく冷やす


 「……生きてる。僕たち、生きてるんだ」


タツヤは空を見上げた。赤く染まる"終わった世界の空"からは、昼間なのに星が見えるような錯覚すら覚えた。


--


崩れかけた高層ビルの屋上。

マントマンが双眼鏡を構え、遠くで救助される三人の様子を見ていた。


「やれやれ……まだ“遺物”が居るんだねぇ」


意味深な言葉をつぶやいたその瞬間、背後の瓦礫から何かが跳ね起きる。


先ほど倒されたはずのサソリ型ランバートと同種の個体が瓦礫から起き上がる。

ガンメタリックの外皮から覗かせる赤い目は、確実にマントマンの姿を捉えている。


だが、次の瞬間。


ブシュッ


何かが閃き、ランバートの頭部が一瞬で切り落とされた。


その巨体は糸が切れたように崩れ落ち、地面に叩きつけられると完全に沈黙した。


マントマンはゆっくりと、胸元のナイフホルダーに刃を収める。


「……参ったなぁ。ちょっとコレは、予定外だぞ〜」


口元には、笑っているとも困っているともつかない、曖昧な表情が浮かんでいた。

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