表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/89

初陣④

ついに、タツヤはナツキの傍へとたどり着いた。


地面に這いつくばるナツキが、目を細めて呟く。


 「…ったく。いつもなら俺に“むやみに突っ込むな”とか言ってる奴が…何してんだか」


タツヤは、そんな言葉に苦笑を返す。


「文句なら帰ってから聞くよ」


口元に笑みを浮かべて、銃口をランバートに向ける。


「ま、帰る頃には…僕は君の命の恩人なんだけど?」


ユリの声が通信機越しに再び届く。

「タツヤ、後方から味方が接近中!もう少しよ!」


その時、ランバートが地響きを伴って咆哮する。

重金属が悲鳴を上げるような音。体をくねらせ、全身の外殻を震わせて敵意をむき出しにする。


タツヤはその異形を真正面から見据え、ライフルを構える。


「“ダチ”が世話になったな!!」


「……カッコつけてんじゃねぇよ、メガネくんがよ…」


ナツキがふっと笑う。

血を吐きながらも、どこか安心した顔だった。


ランバートが咆哮する。

その巨体が繰り出す爪撃が、タツヤの頬をかすめて砂埃を巻き上げる。

一撃でももらえば、死。


それでもタツヤは、引かなかった。

恐怖を噛み殺し、視線を逸らさず、真正面から敵を見据える。


「……すげぇな、ナツキ。訓練だとしても、こんな事毎日やってたら気が狂っちゃうよ……」


至近距離から、ライフルの最後の一発を撃つ。


発射音と同時に、ランバートの頭が仰け反る。

しかし、倒れない。…届かなかった。


ランバートが勝ち誇ったように咆哮を上げる。

その音が、まるで「お前の武器は尽きた」と嘲笑っているかのように聞こえた。


タツヤはフーッと息を吐くと。

ここまで自分を支えてきた“相棒”を静かに地面に置き、腰のホルスターからリボルバーを引き抜いた。


「……ナツキみたいには出来なくても!」


叫びと共に、タツヤは駆け出す。


真下から突き上げる尾のドリル攻撃。

その刹那、タツヤは地面を蹴って跳躍し、命を刈り取る軌道をギリギリでかわす。


着地と同時、銃の引き金を引く。


ズドォン!


衝撃音が響き渡ると、ランバートの頭部に肉が削れるような傷が刻まれる。


一発、また一発。

五発目を撃ち終えたとき、ランバートの動きが鈍る。


残弾…一発。


タツヤは呟く。


「……終わりだ」


ズガァン!


最後の一発。マグナム弾の砲声が、戦場を貫いた。


弾丸はランバートの頭部中央を正確に貫通する。

歪な顔面からは無数の肉片吹き飛び、ランバートの巨体が崩れ落ちる。


耳が痛くなるほどの沈黙。

轟音も、咆哮も、振動も、何もかもが途切れた。


タツヤは膝をつき、肩で息をしながら地面に手をついた。


背後から聞こえる、ナツキのかすれた声。


「…やるじゃん」


 タツヤは、小さく笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ