"血"の武器⑤
ナツキは目を細め、コンテナをじーっと眺めていた。
「……うーん、ないなぁ。気に入るヤツ」
ナツキが呟くと、マントマンはフッと笑った。
「やっぱりな。予想通りだ」
そのとき、ワタナベがモニター越しに別のコンテナを呼び出す。コンテナが開くと、そこには明らかに他とは異質な一丁の拳銃が置かれていた。
「そんなこともあろうかと…こちらをご覧ください」
"M92"をベースに異常なほど改造が施された拳銃だった。
バレルには特注のコンペンセイターが取り付けられており、連射後の銃口の跳ね上がりを最小限にする構造。
さらに特筆すべきは、トリガーからバレル下部にかけて内蔵された折りたたみ式ナイフ。
使用時には一瞬で展開され、銃口と平行する形で前方に突き出す。
旧世代人の血晶を含んだ特殊合金製で、刃で突き刺したまま発砲することすら想定された構造だ。
グリップはラバーと木材のハイブリッド。ナツキの手形を計測して作られた専用のフィンガーチャンネルが施されている。
ブリーガディアスライドと肉抜きされたリングハンマーにより、動作の確実性と軽量化も同時に実現している。
「コンペンセイターとナイフでフロントが重くなることで、リコイルが自然と下方向に逃げる。
突き刺してから撃ってもよし、斬りつけてから殴ってもよし。こんな素晴らしい銃で的を外すやつは、ホルスターにオモチャでも入れてろ!…って話ですよ」
ワタナベが自信満々にそう語ると、画面の向こうでナツキはピタリと動きを止めた。
そして真剣な目でその銃を手に取り、ぼそりと呟く。
「一生モノって感じするな〜」
一連のやりとりを横で見ていたユリが、小声でタツヤに話しかける。
「なんかさ、ナツキくんだけ妙に優遇されてない?ドローンもいいけど…刀とか銃とか…」
タツヤは銃の構造に見入るようにして、静かに答えた。
「いや……あいつが一番前に出るんだ。後ろの俺らが支援しても、あいつがやられたら終わりだ。だからこそ、万全にしてもらわなきゃ困る」
それを聞いたユリは、少しだけ目を丸くして、そしてふっと微笑んだ。
「……そうだね」




