"血"の武器④
ユリが手に取ったのは、コンパクトな小型マシンガン。
漆黒のフレームに細やかな凹凸が設けられたその銃は、旧時代では"MP7"と呼ばれたモデルをベースに、現代の素材と技術で再設計されたものだった。
取り回しの良さと反動の軽さ、そして連射性の高さ。これにより"敵を倒す"よりも"味方を援護する"ことを重視した武器設計となっている。
「……これ、タツヤやナツキくんを援護するにはちょうどいいかも」
ユリは銃を胸元に添えるように抱きながら、ぽつりとつぶやいた。
その表情には、戦うことへの決意と、仲間を守るという意志が見える。
続いて手に取ったのは、掌に収まるサイズの白い楕円形の機械。それが静かに羽音を立てながら浮かび上がる。
「こちらはR.W社最新型ドローン"リリィ"です。医療支援と戦術支援の複合モデルです」
と、ワタナベが補足する。
「このドローンには自律型AIが搭載されており、戦場における負傷者の状況を即座にスキャン。必要な応急処置キットを小型コンテナから投下するほか、以下の戦術支援も可能です。
高輝度フラッシュライトでの敵の視界を撹乱、熱感知撹乱用粒子を周囲に散布し、熱源反応で索敵するタイプのランバートや敵勢力への撹乱、位置マーカーの送信により味方の戦術移動を補助…。
専用のヘッドセットデバイスと連動させる事で視線による操作が可能です」
タツヤやナツキが突撃・狙撃を行う間、ユリはこのドローンを活用し、後方から味方の安全を支える役目を担う、と言った想定だ。
ユリがドローンに指をかざすと、静かに光るランプが彼女の体温と生体反応を認識し、低く電子音を鳴らした。
「なんか、小動物みたいで可愛い…。よろしくね」
そう呟くと、ドローンはピッ、と鳴いて、まるで返事をするように空中でくるりと一回転する。
モニター室でそれを見ていたマントマンが、感心したように口を開いた。
「彼女、見た目はおっとりしてるけど……あれは”支援特化の戦術家”の目だな」
ワタナベも頷く。
「単独で火力を出す装備じゃない。チームとして勝つことを意識した選択だ」




