"血"の武器③
訓練施設に響く電子音とともに、訓練エリアの床が開き、3人の目の前に最新の戦闘機材が現れる。
マントマンとワタナベはその様子をモニター越しに見守っていた。
「さて、我らが兵器たちの"通過儀礼"の時間ですねぇ」
「彼らの反応を見るのが楽しみだね。…初回は戸惑うだろうけどね」
2人の言葉通り、3人の手元では早くも騒がしい光景が広がっていた。
それぞれの腕に装着された"ブラッドグローブ"が低く唸り、微細な針が皮膚に接触する。チリ、とした感覚。だが痛みではない。
「……っ、なんだこれ、痛くないけど、なんかゾワゾワする」
タツヤが手首を軽く振りながら眉をひそめる。
ユリも指先を見つめながら頷く。
「掌がゾワゾワ〜ってする遊びあったよね……なんだっけ、忘れちゃったけど。アレに似てる……」
一方ナツキはというと、両手を広げたままじたばたと動き始める。
「血吸われてんの!?これ、血吸われてんの!?」
掌をのぞき込み、右へ左へ跳ね回る。
「落ち着け。リミッター入ってるし、吸いすぎないように自動制御されてるってワタナベさんが言ってただろ!」
タツヤが呆れ気味に言うが、ナツキは
「それでも怖ぇよ!」と返した。
モニター室、ワタナベが肩を震わせて笑いを堪えながら言った
「まあ、初回は皆様こうなります。慣れれば“血が通ってる安心感”がクセになりますよ」
グローブの感覚に慣れてきた頃、訓練エリア内に装備ラックが現れ、その中から自分好みの銃を選ぶようにとワタナベから言われる。
タツヤが手に取ったのは、旧時代の"L96"風のスナイパーライフル。
無骨だが洗練されたシルエットの銃に、R.W社製の最新電子スコープ"ホークアイ"が搭載されている。
照準にはAI補正機能と風力測定、温度変化への自動適応まで盛り込まれていた。
そして、腰のホルスターに納めたのは2.5インチの"コルトパイソン"風リボルバー。
短銃身に収まった口径の大きい6発のマグナム弾。一発の威力は“外せない理由”を物語っていた。
「ボルトアクションとリボルバーか。……古臭くてロマン重視に見えるだろうな」
だが、タツヤの目に迷いはない。
砂漠地帯…この地における最も過酷な環境で求められるのは、“確実に動作する武器”だ。
自動装填式の銃は、砂塵で不調をきたすリスクがある。メンテナンス性、耐久性、信頼性。
合理を追い続けた結果が、この古き戦術だった。
「オートマチックは便利だけど、不調で死んだら元も子もないからな」
そうつぶやいたタツヤに、ユリが思わず微笑む。




