生きていく覚悟③
食後、皆はP.Jが改装した簡易浴場に向かった。
旧横浜地区は海が近いため、地下から水源を引き込み、入浴施設として利用できるようにしたという。
加えて、旧浄水施設の再稼働に成功したことで、今では比較的自由に水が使えるのだ。
昔ながらののれんがかかった男女別の浴場。
中は石造りの湯船と木のベンチ、鏡張りの洗い場が並ぶ、どこか懐かしい光景だ。
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女湯にて
湯船に浸かるユリは、そっと胸元に手を当てて、ぽつりと呟いた。
「……なんか……ちょっと、大きくなった気がする……」
蒸気の中で、ぽわんとした顔をしながら、自分の体を眺めている。
訓練での疲労が湯の温かさでじんわりと和らぎ、少しずつ現実感が戻ってくる。
「風呂は命の洗濯…って誰かが言ってたっけ…」
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男湯ではナツキが、湯船に浸かった瞬間…
「ふぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~ッッ!!極楽じゃァ~~~!!!」
頭にタオルを乗せ、オッサン顔でのぼせながら声を上げていた。
「…オッサンかよ……」
隣のタツヤが呆れたようにツッコむ。
「なんせ115歳じゃからのぅ~。前の世界じゃスーパーギネス級長寿だぜ?
"異世界おじいちゃん〜年金貰う前に異世界転生されちゃった〜"ってか!?ワハハハ!!」
「冗談なのか本気なのか分かんねぇ……」
風呂のドアがバンと開く。そこにはマントマンとP.Jの姿。
サングラスを外したマントマンは湯気の中でも輝いて見えるほど整った顔立ちで、肩から下げたタオルが妙にサマになっている。
そして綺麗な紫色の瞳…非現実のファンタジー世界から飛び出した王子様…まるで"作り物"ような完璧な見た目だった。
「ようー!調子はどう?」
マントマンが手を挙げ、ニコッと白い歯を見せる。
その姿に、ナツキが小声で唸る。
「…ムカつくほど顔整ってんなーアイツ……」
そしてP.Jは…なぜか海パンに浮き輪、そしてシュノーケルという出で立ち。得意げにラップのような物まで披露して見せた。
「Yo!Yo!俺はコックP.J!飯と海大好き!風呂場で潜る!残り湯洗濯!YEAH!」
「突っ込みどころしかなくて逆に言葉が出ないよ……」
風呂に入っているはずなのにどこか心が休まらないタツヤだった。




