生きていく覚悟①
初回の適正検査により、タツヤとナツキにもコードネームが与えられた。
そして、訓練に慣れて来た3人は先輩兵士との合同訓練という名目で、数人ずつの班が敵ユニットの殲滅を目指す実戦形式の訓練に参加していた。
ユリは背後の高台から、援護射撃を行っている。
「……っ、左に回って……」
小声でつぶやきながら、冷静に狙いを定める。だが、あくまで支援に徹するのが今の彼女の役目だ。
味方のラインが崩れないよう、注意深く弾数と残弾位置を管理している。
その下方、廃ビルの影に身を隠しながら射撃していたタツヤは――
「ボーッと撃ってんじゃねぇ"デザートホーク"!!動け!撃ちながら射線の管理をしろ!!」
「っ、はいッ!!」
背後から飛んできた先輩兵士の怒号に、思わず姿勢を崩す。
焦って反応するも、敵味方問わず飛び交う弾幕を前に足がすくんだ。
だが、彼の動きが止まったその刹那――
「うるせええええええええッ!!」
前方の瓦礫地帯から、ナツキが雄叫びを上げて飛び出してきた。
異様な疾走感。まるで重力が緩んでいるかのような軽やかさで、敵に一直線に突っ込んでいく。
「"ハービンジャー"…いや、ナツキィィィィィィィ!!!それ以上行ったら、また“死”ぬぞォォォ!!!」
背後から追うのは、ナツキのゲロ仲間…仮想空間訓練は百戦錬磨の先輩兵士、タケシ。
額に青筋を浮かべ、喉を潰さんばかりの叫びを上げている。
「うるせぇぇぇ!!ゲロで社会的な死は逃れられなくてもなァ!!この世界じゃ、生き残った奴が勝者なんだよォ!!」
ナツキは狂気と紙一重の叫びを上げながら、すれ違い様に落ちていた鉄パイプを掴むと、勢いのまま敵の頭に叩きつけた。
金属音と共に、仮想の血飛沫が弾ける。
「……アイツ……また自分の限界超えてる……」
タツヤが思わず呟くと、ユリが額の汗を拭いながら通信機越しに呟いた。
「タケシさん……相当苦労してるわ…」
「“苦労”ってレベルじゃない……」
二人のから見える限りの最前線、ナツキが次の敵に突っ込みながら鉄パイプを片手に叫んでいた。
「今日死ぬかもしれねぇからこそ!!俺は!!全力で生きる!!」
「そうじゃねぇ!!作戦行動を乱すんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」と、タケシの怒声が続く。
訓練終了後、ナツキとタケシは訓練所の隅で仲良く"虹色の何か"を吐き出していたのは言うまでもない。




