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第二八〇段 三月ばかり物忌しにとて(上)

 三月ごろ、物忌をするために、ほんのひととき人の家に行った。すると、植えられた木も頼りない中に、柳と言って普通の柳のように優雅ではなくて、葉が広がって憎らしく見える木を、

「柳の木ではないようだ。」と言うと、

「こういう柳もある。」などと言うので、


さかしらの 柳のまゆの ひろごりて 春のおもてを 伏する宿かな

(こざかしく、柳の萌え出でた()(芽)が広がっていて、女の()が面を伏せる(恥じて下を向く)ように、春の面を伏せる(面目を失う)宿であることよ。優雅でないこと。)と見えた。


(日ごろ、優雅な庭を見つけている清少納言は、優雅でない庭がお気に召さなかったようです。)

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