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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その27)

 法会(ほうえ)がはじまって、一切経を、蓮の花を赤く作った物に一部ずつ入れて、僧侶と一般の人たちが一緒になって、上達部、殿上人、地下、六位その他の者までそれを持って渡っていく。その様は、たいそう尊い様子である。列を正して仏道の周りをまわる大行道(だいぎょうどう)、仏事の終わりに死者の冥福を祈るための念仏である回向(えこう)が行われる。


 少し待って、法楽の舞楽などをする。それを一日中見ていると、目もだるく苦しい。


 宮中からのお使いで、五位の蔵人が参上した。本当にめでたいことである。


「『お供をしてこちらにお連れ申し上げよ。』と、一条天皇からのお言葉です。」と言って、この蔵人は帰ろうとしない。定子様は、


「まず、一条の宮に帰ってから、そのあとに参りましょう。」とおっしゃるが、また、右小弁(うしょうべん)が参上して、道隆様にも御消息(しょうそく)があったので、

「それでは、仰せに従って帰りましょう。」ということで、ここから直接参内されることとなった。

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