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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その19)
朝日が華々とさし上っていくにつれて、水葱の花がたいそう華やかに輝き、御輿の帷子(張り巡らした布)の色、つやなどさえ格別である。
御輿の周りに綱を張って定子様が出ていらっしゃる。御輿の帷子が揺れているのを見て、渡しの髪が感動で逆立つようだ。感動すると髪が逆立つと人がいうのは、嘘ではない。私のような髪の質の悪いものは、この後は、この時逆立ったためだと言い訳できるであろう。
言葉を失うほど、威厳に満ち溢れる様子に、いったいどうやってこのような素晴らしい方の御前で親しくお仕え申し上げているものだろうと、わが身も優れているように思う。
御輿が通り過ぎると、車の榻を下ろしてあったのを、再び牛にかけ、御輿の後ろに続いていく気持ちの素晴らしく、趣深いことは言いようもない。




