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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その16)
(いよいよ、寺に参る車に乗るため、歩いていく。)
御簾のうちには、定子様のお身内の女性が並び、この辺りには大勢の男性の御目がある。とりわけ定子様の御前で見苦しいとご覧になられることはやりきれないことこの上ない。体中から汗が噴き出し、整えた髪も逆立つような気持ちになる。かろうじて御簾の前を通り過ぎると、車の前に伊周様、道隆様が、こちらが恥ずかしくなるほど美しいご様子で、微笑みながらこちらを見ていらっしゃる。とても現実とは思えない。
だが、倒れもせずここまでたどり着いたことこそ、立派なことというべきか、厚かましいというべきなのか、と考える。
こうして全員が車に乗ったので、車を御門から引き出して、二条の大路に榻を立てて物見車のように立ち並べられたのは、大変おもしろい。人々も、そう見るであろうとわくわくする。四位、五位、六位の者たちがたくさん出てきて、車のそばに来て、女房達の車の装いをつくろったり、話しかけたりする。




