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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その12)
定子様の乗った御輿はとうに二条の宮に入られて、部屋のしつらいも終わり、座っていらっしゃった。
「清少納言は、ここにまず、来るように。」とおっしゃったので、西京の相や右近などの若い女房が、参上する人ごとに見るのだが、私の姿はなかった。車から降りるとそのまま、乗っていた四人ごとに参上して、定子様の御前に侍るのに、
「おかしなこと。どうしているのか。」とおっしゃっておられたのも知らないで、いる限りの女房がすっかり降りてしまってから、やっと見つけられて、
「こんなに、そなたのことをおっしゃっていらしたのに、なぜこんなに遅く。」と言いながら、私を引き連れて参上する様子を見ると、いつのまに長年ここにお住いのようにしていらっしゃるのかと、たいそうおもしろく思う。
「どういうわけで、このように探させるまで姿を見せなかったのか。」と、定子様がおっしゃるのに、どうとも申し上げないでいると、一緒に乗っていた人が、
「どうしようもないことなのです。最後の車に乗った者が、どうやって早く参上することができましょう。この最後の車さえ、ほとほと乗れそうもなかったのですが、御厨子が気の毒がって、ゆずってくれたのです。最後は、明かりも暗くて寂しいことでした。」と、笑いながら申し上げる。




