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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その8)

 道隆様がいらっしゃったので、寝乱れた朝顔でお会いするのは時外れ(日が昇ってしおれた朝顔と同じで、季節も合わず)で失礼であろうと局に下がろうとする。いらっしゃるとすぐに、


「かの桜が無くなってしまったな。どうしてこのように盗ませてしまったのだ。眠ってばかりいてだらしがない女房達であるよ。そんな者たちであるとは知らなかった。」と驚いたようにおっしゃる。


「そうでございますが、『我より先に』と思われたようですよ。(どなたか起きていらっしゃったようです)」


桜見に 有明の月に 出でたれば 我より先に 露ぞおき(置き・起き) (忠見集)


と言ったのを、すぐに聞きつけられて、世の他の者はまず、出てきて見つけることはあるまい。才女と名高い宰相の君か清少納言でなければ見つけることはあるまいと思っていたのだよ。」といって大いに笑われた。


「きっと殿のなさったことであろうと思ったのに、清少納言は春風のせいにしたのですよ。」と、定子様もお笑いになるさまは素晴らしい。






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