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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その5)
定子様の母君、高階貴子様も渡って来られた。御几帳を身近に立てさせて、新しく参上した女房には姿を見せられないので、気詰まりな心地がする。その周りに集まっている方たちは、一切供養の日の装束や扇をどうするかについて話し合っている者もいる。また、競争しあって、
「私は、どういたしましょうか。ただ、あるもので済まそうと思いますわ。」などと言って、
「まあ、いつもそういうのね。(本当は、新しく仕立てているのでしょ。)」と、憎まれている。夜に退出するものも多い。装束や扇の準備にために退出するので、それを縮めさせることはおできにならない。
貴子様は、毎日渡っていらっしゃり、夜も居られて、姫君たちもそのままいらっしゃるので、定子様の御前には、いつも人がたくさんいて、大変にぎやかでよい様子である。
宮中からのお使いも、毎日参上する。




