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第二五六段 関白殿、二月十日のほどに(その3)

 定子様が、関白道隆様とお話しされているときに、内裏より式部の(じょう)なにがしという者が参上した。御文は大納言である兄君の伊周様が受け取られ、道隆様に奉られる。包みを紐解かれて、


「とても中身が知りたい御文ですね。中宮様がお許しになれば、開けて見ましょう。」とおっしゃると、奇妙なことだと思われたようである。(とんでもない!見られては大変。)


「恐れ多いことですから。」と言って、定子様に差し上げられて、

(定子様をからかわれただけのようですね。)

受け取られたのだが、御文を広げられることもなく、そのまま使いの者をおもてなしなさるご用意をなさっているのは、めったにないすばらしいご様子である。


 (すみ)()から、女房が敷物を使いの者に差し出して、三、四人が御几帳のもとに座っている。


「あちらに参って、禄のことを申しつけましょう。」と言って道隆様が立たれた後に、御文をご覧になる。御返しは、紅梅色の紙にお書きになるが、定子様の御衣と同じ色合いに色つやが輝きあっていて、ここまで心遣いをなさる方はいらっしゃりますまいと、自分しか知らないということが残念に思われる。


 

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