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第二五五段 御前に人々あまた(その4)
その後、二日ばかりたったが、間違いだったと取りに来ることもなく何の音沙汰もないので、疑いようもなくて、左京の君のもとに、
「これこれこういうことがありました。そのような様子を見られましたか。ひそかにその様子をお知らせください。そんな様子は見られなかったのならば、こうしてお願いしたことは、黙っていてくださいませ。」という使いを送ると、
「非常に隠しておられたのですよ。ゆめゆめ私が伝えたと、後にでも言わないで下さい。」と返事があったので、やはりそうであったのかとおもっや通りであったのが「おかし」と思って、文を書いて、ひそかに定子様のいらっしゃる所の高欄に置かせたのだが、使いの者があわてて、そのまま落としてしまい、御階のもとに落ちてしまって、定子様のもとには届かなかった。
(郵便屋さんも、メールもなかった時代、手紙は届くとは限らないものでした。清少納言に帰ってきてほしくても、二度ももものを送るわけにもいかず、紙だけでは足りないだろうと、畳をこっそりおくっている定子、黙っていてねと左京の君に言われたのに、こうして書いてしまう清少納言。「おかし」)




