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第二五五段 御前に人々あまた(その3)
それから二日ほどたって、召し使いの衣である赤い衣を着た男が、畳を持ってきて、
「これ。」という。
「あれは誰か。このような、人があらわに見えるところに入ってくるとは。」などと、不愛想に言うと、男は畳を置いて帰っていく。
「どこからのものか。」と問うと、
「帰ってしまいました。」と言う。
取り入れて見てみると、特別に御座という畳の様式に仕立ててあり、高麗端の縁の紋が鮮やかである。心のうちでは、定子様が下さったのであろうと思うが、やはりはっきりとはしないので、人を出して男を探させたが、見失ってしまった。
不思議なことだと思って笑っているが、使いの男がいないので、どうしようもない。もしも届け先を間違えていたのなら、放っておいても、また言いに来るであろう。定子様のあたりの者に問い合わせをしに参上したいけれども、やはりだれがわけもなく畳を贈ったりするであろうか。定子様がおっしゃったのであろうと思い、たいそう「おかし」。




