383/447
第二五四段 うれしきもの(その3)
あまり親しくない人が言った古い歌の、私が知らないのを、(直接その人に聞くことができないでいるときに)他の人から聞き出した時もうれしい。 後になって、何かの書物などに書かれているのを見つけるのも「おかし」。
「なるほど、こういうことであったのか。」と納得し、あのときこの歌を口にした人のことも、「おかし」と思う。
みちのくに紙(厚手の紙)や、白い色紙(手紙用の紙)ただの紙も、白くてきれいなものは、手に入れると嬉しい気持ちになる。
こちらが気恥ずかしくなるほど立派な方が、歌の上の句と下の句をたずねたときに、さっと思い出したのは、我ながらうれしい。平生なら覚えていることでも、また、人から聞かれるとさっぱりと忘れてしまってそのまま答えることができずに終わることが多いのだ。
(あるある。人が当てられた時には、分かるのに、自分が当てられるとさっぱり思い出せない授業中の質問の答え。)
急に必要になった物を探しているときに、誰かが教えてくれるのは、うれしい。また、今すぐ見なくてはいけない文などを探すけどなくしてしまって、いろいろな物を何度も見直しているときに、やっとのことで探し出した時は、とてもうれしい。
(これも、あるあるですね。見つかると、本当にうれしいです。)




