第二二五段 社は(その7)
御門は、この中将は素晴らしい人だと思われて、
『褒美にはどのようなことをするべきか。どのような位をもらうべきだと思うか。』とおっしゃると、
『決して官位をいただきはしません。ただ、年老いた父母がこのようにどこかに失踪しておりますのを探し出して、都に住まわせることをお許しください。』と申し上げると、
『それは、まったくたやすいことだ。』と言って、ゆるされたので、たくさんの親が、生きて喜ぶことは、たいそう素晴らしいことであった。中将は、大臣になられたということである。
そうしてこの中将は神になられたのであろう、この明神のもとに詣でた人のところに、夜現れておっしゃっとことは、
七曲に わがれる玉の 緒をぬきて ありとおしとも しらずやあるらん
とおっしゃったのだ。」と、人が語って聞かせたのだ。
蟻通神社のホームページには、『はるか昔、ここ紀州田辺に外国の使者がやってきました。その使者は、「今から出す問題を解いてみよ。もし解けなければ日本国を属国にしてしまう。」といいました。そして、持ってきたホラ貝(七曲りの玉とも)を出して、その貝に一本の糸を通すことを命じました。
わが国の神々は、この難問にたいへん頭を痛めました。その時、ひとりの若い神さまが前に進みでて、
「私がホラ貝にその糸を通してみせましょう。」といって、貝の口からどんどん蜜を流しこみました。蜜は貝のなかの複雑な穴を通りぬけて、貝尻の穴へと流れだしました。そして、この若い神さまは蟻を一匹捕らえて糸で結び、貝の穴から追いこみました。すると、蟻は甘い蜜を追って複雑な穴を苦もなく通りぬけました。蟻の体には糸が結ばれていますから、ホラ貝には完全に糸が通ったのです。
これを見た外国の使者は「日の本の国は、やはり神国である。」と恐れ、その知恵に感服して逃げ帰りました。日本の神々は、たいそう喜んで「わが国にこれほどの賢い神がいるのを知らなかった。」といって、その若い神さまの知恵をほめました。このことから、蟻によって貝に糸を通したこのお宮の神さまを、「蟻通しの神」と申し上げるようになりました。今では日本第一の知恵の神とあがめられています。』とありました。清少納言が聞いた話とは、少し違います。まあ、中国の皇帝が、日本にこのような使い送るはずはないので、あくまで説話です。




