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第二二五段 社は(その6)
(唐土の御門のこの国の御門に対する難問、その三)
その後しばらくしてから、七曲に曲がりくねっている玉で、中は穴が通っていて左右に穴が開いている、ちいさいものを奉って、
『これに綱を通して下さい。我が国の者は、誰でもできることです。』と言って奉る。素晴らしいと言われる細工の名人でも、綱を通すことができない。そこに侍る上達部たちも、
『そのようなことは知りません。』という。
中将は、また親の所に行って、
『このようでございました。』と言うと、
『大きな蟻を二匹つかまえて、腰に細い糸をつけなさい。それから、その先に、もう少し太い糸をつけなさい。そして、もう一方の穴の口に蜜をぬってみなさい。』と言う。
そのように御門に申し上げて、蟻を入れたところ、蜜のにおいをかいで、本当にあっという間に、穴のもう一方の口に出てきた。
そうして、その糸の通った玉を送った後には、日本は賢い国であると言って、その後には難題を出すこともしなくなったのであった。




