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第二二五段 社は(その4)
(唐土の御門のこの国の御門に対する難問、その一)
つやつやとまるくかわいらしく削ってある二尺〈(約60センチ)ほどの木を、
『この木の本と末はどちらか。』と問うていらっしゃった。まったく知りようがないので、御門は思し召し患っていらっしゃる。中将は気の毒に思って、親の所に行って、
『これこれのことがあったのです。』と言うと、
『それならば、ただ、流れのはやい川に行って、立ったままでその木を投げ入れると、くるりと回って流れていく方を、末としるしをつけて送りなさい。』と教える。
中将は、御門のところに参上して、自分が知っているような顔をして、
『私がやってみましょう。』といって、人々を伴って木を川に投げ入れると、先にして流れる方に末としるしをつけて送られたところ、本当にそうであったのだ。
(木は、先端の方が密度が高く、重いので、そちらを先にして流れるのだから、これで正解。この親、賢いなあ。)




