4話
この物語には妖怪に対する自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
※作者に教養がないためここで使っている外国語はAIで翻訳しています。
トラックが校庭に突っ込んだ日、小学校では集団下校となり真生はいつもとは少し違う道を通ることになった。
そこは古いアパートや人気の無い公園などがある細い道だった。
そしてそのアパートのドアの前に人の姿を見つける。
その人は黒髪を腰まで伸ばし、黒いワンピースを着ていて不気味な雰囲気を漂わせていた。
真生はその人の事が気になったが、他の人が気にしてない事からあれは自分にしか見えていない、人ならざるものだという事は分かった。
だがなぜ気になるのか、あれは何なのかまでは分からず、次の日から真生は1人でその道を通って帰る事にした。
次の日もその次の日も同じアパートの前にいるが少しずつ場所は移動している。
何処か行きたい場所があるのか、何故少しずつしか移動しないのか、真生は気になって毎日観察してみる。
日曜日には真琴が来て包帯を取ってもらうがその事は話さなかった。
そして休み明けの帰り道、その黒い女性はいなくなっていた。
そのまま帰れば良かったのだが、真生は気になり少し周囲を探す事に。
するとアパートから少し離れた細い路地に車が止まっており、その横にあの黒い女性が佇んでいた。
いつも俯いて見えなかった顔は前を向いて何か一点を見つめている。
何を見ているのかと真生は車に近づくとそこには頭から血を流し、倒れている女性と血のついた角材を持ち、息の荒い男性が車の影にいて、真生はヒッという声を上げてしまった。
それに気づいた男性は取り乱し、真生に襲いかかって来る。
逃げようとするがランドセルを掴まれ、口を手で塞がれて車に押し込まれてしまう。
暴れる真生に男性は車の中に置いてあるガムテープで口を塞ぎ、手足にも巻くと座席に寝転がされる。
次に犯行で使ったと思われる角材と遺体を車に詰め込み、人気の無い公園に車を走らせ、その間ずっと何か独り言をぶつぶつ言っていた。
男性「クソックソクソクソ。どうしてこうなった。全部あの女が悪いんだ。俺を何処までも追い詰めてやるなんて言うから。償う?俺は何もしていないって言うのに何で責められなきゃならないんだ。それに女だけなら風呂場に放置すれば事故で片付けられたのに、何で子供がいんだよ。」
何の話をしているのか分からないが苛立っている事だけは分る。
そして公園に着くと人がいない事を確認して遺体を布に包むと男性はそれを持ってアパートの一室に入って行く。
そこはあの黒い女性が最初にいたドアの所だった。
男性がいない間に何とか逃げ出せないかもがいてみるが、何重にも巻かれたガムテープは子供の力ではびくともせずただ体力を消耗するだけで終わった。
男性は布を持って戻って来てその布を真生の上に被せる。
その時にキラリと光る、行く時には持っていなかった何かが見えた。
車は発進し、真生を何処かへ運んで行く。
目的地に着いたのか車は停まり、男性が布を取った時には日が落ち始めていた。
着いたのは静かな工場だった。
機械があり、木材が積んであるが動いておらず、従業員もいない。
男性は真生を持ち上げて扉の鍵を開けて入るとそこは事務室だろうか、本棚や机や椅子が並んでいるが本棚はスカスカで机の上には何も無い。
真生は床に転がされ男性は何処かに電話をかけている。
男性「理由なんていいだろ。工事を少し早めて欲しいだけだ。こんな場所一刻も早く無くしたいんだ。」
電話相手「ですが急に明日と言われても、、」
男性「一部だけでも良いんだ。少しずつ始めてくれ。」
電話相手「、、分かりました。空いている重機を確認してみます。」
電話の声が大きく、それだけ聞こえた。
その電話が終わるとアパートから持って来た光る何かを取り出す。
それは青い錠剤の入ったシートだった。
男性はそこから一つ錠剤を取り出し真生に近づいて来る。
男性「声は出すな。出してもどうせ外には聞こえない。」
そう言って真生の上半身を起こして壁に背中をつけ、口に貼ってあるガムテープを取ると口にさっきの錠剤を入れて口を閉じさせる。
男性「毒じゃない。呑み込め。」
その声は冷たく、命令に従わないと殺される。
そう思えた。
だが人を殺す場面を見てしまったのだ。
最終的には殺されてしまうだろう。
逃げるためにもこれは飲んではいけないと躊躇っていると鼻も塞がれ息ができなくなる。
男性「呑め。」
その言葉に怖くなって呑み込んでしまう。
男性は真生の口の中を確認して再度口をガムテープで塞ぐ。
何の薬か分からなかったがしばらくすると意識が朦朧とし、瞼が重くなってくる。
体の力が抜けて壁に寄りかかっていたが床に倒れ込んでしまう。
それを見ていた男性は真生のガムテープを全て取り、観察する。
男性「痕は、少しついているがこれくらいならすぐ治るだろ。これなら事故に見せかけられる。」
その言葉を聞いて真生はこのままだと殺される、逃げないと、そう思うがガムテープは無いのに体が思うように動かない。
そのまま意識を手放してしまった。
もう起きる事はないかもしれない。
そう思っていたが、朝日が窓から差し込むと真生は目を覚ます。
男性はいないが窓は高く、ドアも鍵がかかっているのか開かず、助けを呼ぶために声を出してみるが返事はない。
しばらくすると車のエンジン音が聞こえて扉が開くがそれは助けではなく、あの男性だった。
男性「だから叫んでも助けは来ないんだ。無駄な事は止めろ。」
真生「誰にも話さないから、お家返して。」
男性「それをどう信じろと?」
真生「何で、こんな事するの?」
男性「お前があんな時間にあんな場所にいるからだ。お前が悪いんだ。」
真生「違うもん。人を殴ったおじちゃんが悪いんだ。」
バシンッ。
真生がそう叫ぶと男性は真生の頬を力を込めて殴った。
男性「うるさい。お前に何が分かる?俺の事を何も知らないくせに生意気な事だけ言いやがって。お前もあいつらと同じだ。」
痛みか恐怖からか、真生の目からは涙が溢れていた。
男性「泣けば何でも解決すると思うなよ。どいつもこいつも俺が謝っても泣いて許さないだの、覚えておけだの、、クソッ!」
椅子に座ると時間を気にしながら落ち着きなく独り言をぶつぶつ言っている。
真生は怖くて部屋の隅で固まることしかできなかった。
男性「ああ、打った痕が見つかったらどうするんだ。どうせ下敷きになるから見つからないだろうが、遅いな、早く来いよ。」
そして日が上り、昼のチャイムが遠くから聞こえると男性は真生を見て立ち上がるがその男性の後ろに人影が見えた。
それはあのアパートにいた黒い女性で、女性はいつの間にかドアの前であのアパートにいた時のように俯き、佇んでいた。
そしてそれは徐々に近づいて来ている。
男性「そろそろだ。」
男性は見えていないのか女性を気にせずにまたあの青い錠剤を取り出すと真生の口に近づけるが、今度こそ殺されると思った真生は口を閉じ、首を振って抵抗する。
たが押さえ込まれて無理矢理喉の奥へと入れられると呑んでしまった。
朦朧とする意識の中、念の為ともう一個錠剤を押し込まれ、それも喉を通っていく。
そんな真生をしばらく観察してから男性は鍵もかけずに部屋を出て行った。
しばらくして重機の音が聞こえてきたので今なら声が届くのではないかと声を出そうとするが力は入らない。
体も思うように動かず、意識を保つのもやっとだ。
おまけにあの女性は真生のすぐ側まで来て真生の顔をじっと見てくる。
真生は気づいていた。
この女性は人が死ぬ所に現れてその人の死を観察するものであると。
真っ黒な髪から除く目は不気味で真央の死をまだかまだかと待っている様な気がする。
そして遂に重機が建物を壊す音が聞こえてきた。
その音はどんどん近づき、真生のいる部屋の上の方にある窓からパリンという音が聞こえた。
天井が自分の上に降ってくる、そんな想像が頭をよぎる。
時間は遡り、お昼前に起きた樹霧之介は真生の事を調べようと真生の通う学校へ来ていた。
授業をしており、全生徒が教室にいるはずなのにどの教室を探しても真生の姿が見当たらない。
前の事件のこともあり、もしかしたら病状が悪化したのかもと真生の家に行ってみると家の前にはパトカーが止まっており、玄関のドアの前には長い黒髪にワンピースを着た女性が立っていた。
樹霧之介はその女性に心当たりがあった。
死の近い人が住む家の前に立つ女性。
その女性自体は何もしないが、死の気配に引き寄せられてその場に姿を表す妖怪だ。
その女性の妖怪は話す事はなくその場にいるだけなので樹霧之介はその妖怪を無視して庭に回り、リビングにいる警察とその家の人の会話を盗み聞く事にした。
刑事1「それでは昨日から帰っていないんですね。」
女性「はい。学校に連絡したら既に下校したと。」
刑事1「その時に地元の警察と捜索して何も見つからなかったと。」
女性「はい。」
刑事1「他に行きそうな心当たりとかはないですか?」
女性「真生の友達の家にも連絡しましたが来ていない、見てないと言われました。」
刑事1「お宅の旦那さんは菓子工場の社長さんでしたよね。身代金目当ての誘拐の線も見ているのですが、何か不審な電話や手紙なんかは見てないですか?」
女性「いいえ、何も、、いっそのことそんな連絡でもあればまだ安心できるんですが、もし何か事件や事故に巻き込まれていたらと思うと、、」
刑事1「安心してください。私たちが全力で真生ちゃんを見つけますから。」
女性「ですが、この前も首に包帯を巻いて帰って来て、理由を聞いたら何でもない、オシャレだって言ってずっと付けているんです。」
刑事1「そうでしたか、、その包帯いつ頃から巻いていましたか?」
女性「1週間ほど前、友達と肝試しに行くと言って仲の良い女の子と出かけた日でした。勿論その子の家にも電話しましたが知らないと。」
そこまで聞くと樹霧之介は木の筒から12号を呼び出す。
樹霧之介「12号、もう一度真生という子を探せませんか?昨日から行方不明みたいなんです。」
12号「うーん。分かんない。人間の事なんだから陽葵に聞くのは?」
樹霧之介「そう言えば地元の警察と探したとも言ってましたね。行きましょう。」
だが樹霧之介が交番に行くが陽葵はおらず、警察官は1人だけだった。
樹霧之介「まだ見つかってないなら捜索に出ているのが普通ですよね。」
12号「探してるなら名前呼んでるはずだよ。風見ならその声辿って陽葵見つけてくれるんじゃない?」
樹霧之介「そうですね。紐声環で来れるか聞いてみましょう。」
樹霧之介が風見に通話を繋ぐとすぐに出る。
風見「どうした?」
樹霧之介「手伝って欲しい事があるんですが今時間ありますか?」
風見「大丈夫だぞ。」
樹霧之介「風見は陽葵さんの声分かりますよね。」
風見「ああ。」
樹霧之介「今子供を探してるはずなので見つけてくれませんか?」
風見「分かった。樹霧之介は今何処にいるんだ?」
樹霧之介「交番の前です。」
風見「分かった。すぐ行く。」
そして風見と合流して陽葵を探しながら真生の家の近くに移動すると黒い女性の姿がなくなっていた。
12号「あの妖怪いなくなってるよ。」
風見「何かいたのか?」
樹霧之介「死ぬ人の家に現れるという黒い女性がいたんです。」
風見「いなくなったのならいいじゃないか。」
樹霧之介「いえ、あの妖怪は死が近づくと本人の側に行きます。家の前にいた方がまだ生きているという証拠だったんです。風見、時間は無いですが妖怪の妖気追えますか?」
風見「任せろ!」
風見は家の前に残っている妖気を頼りに樹霧之介と道を走って行くと大きな機械音が聞こえてきた。
それは重機の音で建物を壊しているようだ。
風見「おい、まずいぞ。妖気はあの建物からだ。」
樹霧之介「まだ妖気がするなら間に合います。急ぎましょう。」
風見「分かった。」
工場に2人が着くと工場部分が壊され始めていた。
風見「この中だ!」
風見は工事と隣接した建物を指差すが出入り口であろうドアの前には廃棄物が置かれ、開ける事ができそうにない。
樹霧之介「他に入れそうな場所は、、」
風見「早くしないとここも壊されるぞ。」
その時樹霧之介は少し上の方にある窓を見つけ、近くの廃材から枝を伸ばして割るとそのままその枝を伝って中に入る。
中には倒れている真生とそれを見つめる黒い女性がいたが、黒い女性は樹霧之介が現れると同時に消えていった。
消えたという事はもう死ぬような事は起こらないか、既に死んでいるかのどちらかなので樹霧之介は急いで窓から降りて真生に駆け寄り、抱き上げる。
すると真生は樹霧之介の顔を見て声を絞り出す。
真生「き、りの、、」
そのまま気絶してしまったが息をしている事に安堵したのも束の間、重機の音が大きくなってきた。
風見「早くしろ!」
外から風見の焦った声が聞こえる。
窓から出るためにさっきの枝を操って足場を作って外に出ると重機に向かって早くこっちも壊せと真生のいた建物を指差す男性の近くに黒い女性の姿が見えたが無視して工場を出て行った。
樹霧之介「風見、陽葵探せますか?」
風見「任せとけ。だがそいつ大丈夫なのか?」
樹霧之介「あの女性が消えてからも生きています。警察も動いてますし、陽葵に預ければ大丈夫でしょう。」
風見「そうか、だけどさっき探した時いなかったから少し遠い場所にいるかもしれないぞ。」
その時ミニパトの中に陽葵が乗っているのが見えた。
1人で情報収集しているらしく他には誰も乗ってないので道路の横から手を振るとミニパトは樹霧之介の近くで急ブレーキを踏んで止まった。
陽葵「樹霧之介、どうしたの?」
樹霧之介「丁度良い所にいましたね。」
陽葵「私今から不審な車の目撃情報確かめに行くとこなんだけど。」
風見「そんな事よりこいつ預かってくれ。」
陽葵「そんな事って行方不明になった子供が、、子供!?その子もしかして今探している真生ちゃん?」
樹霧之介「はい。工場の事務室らしき場所に閉じ込められていました。」
風見「しかもその工場壊されていたんだぜ。樹霧之介が助けなかったら死んでたかもしれないんだ。」
陽葵「そんな事になってたの?真生ちゃんは無事?」
樹霧之介「僕が行った時は意識あったんですが、、」
風見「起きないんだ。早く病院に連れて行ってくれ。」
陽葵「分かった。詳しい話は車の中で聞くから樹霧之介と風見も乗って。」
樹霧之介「はい。」
陽葵はサイレンを鳴らしながら病院へミニパトを走らせ、樹霧之介はその間に真生の家で見た黒い女性とそれを追った話をした。
陽葵は真生を病院に連れて行き、樹霧之介たちは真生を陽葵に任せて妖ノ郷に帰って行った。
柚子「あら、樹霧之介おかえり。」
黒根「あの子の事は分かったか?」
樹霧之介「それが、、」
樹霧之介は今日あった事を詳しく柚子と黒根に話す。
柚子「今回、助けられて良かったわね。」
樹霧之介「ええ。ですが調べるどころじゃなくなってしまいました。12号も今回は真生ちゃんの場所が分からないと言っていましたし。」
黒根「なら違うんじゃないか?ディブクも出てきたんじゃ、そっちを調べてもよかろう。」
樹霧之介「ですが、いつもお兄ちゃんと呼んでいたのに死にそうな時に名前を呼ぶでしょうか?」
柚子「そんな時だからこそ混乱していつもと違う事を言ったりするものよ。」
黒根「それにそれができるのはあいつの記憶があった場合だけじゃ。700年以上の記憶を普通の人間が保持できるわけがない。生まれ変わっていたとしても記憶は消えておるはずじゃ。」
樹霧之介「そうですよね。それで父さんたちは篠原という名前の心当たり、思い出しましたか?」
黒根「まだじゃ。せめて何をしている家系か分かれば良いんじゃが。」
樹霧之介「そう言えば真生ちゃんのお父さんは菓子工場の社長さんらしいですよ。刑事さんたちが話していました。」
黒根「菓子、甘味、、そうか、あの茶屋の名か。」
樹霧之介「茶屋ですか?」
黒根「あいつがいつも通っている飴屋があったんじゃ。」
樹霧之介「今度は飴屋ですか?」
黒根「同じ人の町には長くいないあいつが定期的に通っておったんじゃぞ。他にも飴屋はあるのに毎回そこに行っておった。」
樹霧之介「そこが好きだからじゃないんですか?」
黒根「確かに美味かったが、定期的に行くほどでもなかった。その近くにある茶屋の方が美かったくらいじゃ。」
柚子「だけどそこの茶屋のお菓子はそこの飴を使っていたみたいよ。」
黒根「そうじゃったのか?」
柚子「ええ、気になってそこに行く前にビワを食べさせた事あるんだけど、買い付けに来ていた店主と話しているの聞いたの。」
樹霧之介「それでその飴屋が篠原だったんですか?」
黒根「いや、茶屋の方じゃ。」
柚子「ええ確か、篠原茶舗という名前でしたね。」
樹霧之介「どういう事ですか?志乃さんの行きつけの飴屋ならともかく、その茶屋には志乃さん行ってないんですよね。」
柚子「店主とは親しそうに話してたけど、店舗の方には行かなかったわね。」
黒根「何話してたんじゃ?」
柚子「たわいもない世間話ね。定期的に通っている以外特に何もなかったから忘れてたわ。」
樹霧之介「それでそれが真生ちゃんと何か関係あるんですか?」
柚子「もしかしたらその子孫かもしれないけど、志乃とは関係なさそうね。」
樹霧之介「もったいぶってそれですか?」
黒根「すぐに思い出せないくらい薄い記憶だったんじゃ。許せ。」
樹霧之介「別に怒ってはないですが、正直拍子抜けです。」
柚子「まあまあ、樹霧之介も疲れたでしょ、今日はもう寝ましょうか。」
樹霧之介「はい。」
そして次の日の夕方、陽葵がハラミを連れて樹霧之介の家にやって来た。
陽葵「樹霧之介いる〜?」
樹霧之介「お疲れですね。」
陽葵「もう、書類書き直し、書き直しでやっと通ったんだよ。本当あの先輩口だけはよく動くんだから。」
ハラミ「いやいや、言っている事はまともだぞ。あれをそのまま出して上層部から大目玉喰らうのお前だからな。」
柚子「これでも飲んで落ち着いてね。」
ちゃぶ台に突っ伏している陽葵に柚子は湯呑みを一つ差し出す。
陽葵「柚子さんのお茶は癒されるんですよね。いただきます。」
黒根「それで何があったんじゃ?」
陽葵「誘拐事件自体は樹霧之介のおかげで解決したよ。樹霧之介と別れた後のことを話そうと思ってね。気になってたでしょ。」
樹霧之介「助かります。真生ちゃんは無事ですか?」
陽葵「うん。頬に打撲痕があったけど他に外傷はなし、気絶してたのも睡眠薬飲まされて眠っていたみたいで夕方には目を覚ましたよ。」
樹霧之介「僕のことは言いましたか?」
陽葵「いつも通り言ってないよ。真生ちゃんにも口止めしたし、真生ちゃんは自力で脱出して道路で倒れていたところを保護したって言ってある。」
樹霧之介「ありがとうございます。」
陽葵「それから、真生ちゃんから事情を聞いて樹霧之介が言っていた工場に行ったんだけど、そこの工場は私が配属された直後に死亡事故を起こしていた所でさ、また私が元現場監督に事情を聞いたんだけど、ずっと挙動不審でしかも後ろには黒い女性がいたんだけど、あれ大丈夫なの?」
黒根「そいつ自身は何もせんから心配するな。それでその男の周りで他にも人が亡くなっているんじゃないか?」
陽葵「真生ちゃんから黒い女性を探してたら女の人が殴られていたのを見たって聞いたよ。」
黒根「それで連れ去られたんじゃな。」
樹霧之介「今真生ちゃんはどうしているんですか?」
陽葵「元気だけど念の為入院して明日何もなければ退院だよ。真生ちゃん怖かったはずなのにちゃんと見た事話してくれてね。殴られた女性の遺体もアパートから見つかったし、工場で凶器の角材と血のついた布も見つけられた。淡々と話してて、こっちとしては助かったけどちゃんと感情出せてるのかな?」
柚子「まだ緊張しているだけかもしれないわ。家に帰れば緊張も解けるわよ。」
陽葵「それならいいけど、ちょっと浜名瀬さんを思い出させる子だったんだよね。」
樹霧之介「本当ですか?どこらへんが似てますか?」
陽葵「まあ、多分気のせいだよ。雰囲気似てるかな?くらい。よくある事。」
樹霧之介「そうですか。」
陽葵「、、樹霧之介、あの子の周り調べていたの?」
樹霧之介「少し、気になることがありまして。」
陽葵「そう、なんだ。私には教えれない事?」
樹霧之介「僕も気になった程度ですし、確実性のない情報なので言うことでもないですよ。」
柚子「まあ、それで1人の女の子の命が助かったんだから良いじゃない。」
陽葵「それもそうだね。また詳しい事分かったら私は教えてあげるね。」
樹霧之介「別に意地悪で教えてないんじゃないですよ。」
陽葵「分かってる。だから私が手伝える事があれば呼んで。業務抜け出して駆けつけるから。」
樹霧之介「せめて有休くらい取ってください。同僚に迷惑かかりますよ。」
陽葵「だって有休取りにくいんだもん。抜け出す方が早い。」
黒根「まあ、今回のような事もこれからあるかもしれんからな。お主の力を借りる事になると思う。その時は頼むぞ。」
陽葵「うん。」
それから数日後、犯人が自供したので陽葵は事件の詳細を語ってくれた。
始まりは数年前に起こった事故だった。
劣化が原因で木材を加工する機械のノコギリ部分が外れて暴走し、死傷者を出してしまったのだ。
そして原因は元現場監督が作業を急がせ、マニュアルを無視した運用をしていた事だった。
そして亡くなった従業員の奥さんに会いに行った元現場監督は保身のための言い訳ばかりで事故の詳細も曖昧、謝罪の言葉もないために奥さんは誠意が足りないと追い返した。
そして稼ぎ頭を失い、慰謝料も支払われずにパートで食い繋ぎ、ボロアパートに住む事になった奥さんは精神を病んでいたところ、元現場監督の姿を見つけて言い争いに発展、逆上した元現場監督は車に積んであった角材で奥さんを殴り殺し、その現場をたまたま見ていた真生が誘拐されたのだ。
その後、元現場監督は事故に見せかけるために奥さんを風呂場に放置、その際に奥さんが服用していた睡眠薬を見つけて真生も工場の解体に巻き込まれた事故に見せかけて殺す計画を立てたらしい。
陽葵「どれも杜撰で調べればすぐ分かるのにね。」
黒根「何かあれば即自身の保身に走る人間みたいじゃし、表さえ隠せれば良いと考えたんじゃろう。」
陽葵「だけど樹霧之介がいなかったら真生ちゃんも死んでたかもしれないし、お手柄だよ。」
樹霧之介「風見も頑張ってくれましたよ。」
陽葵「風見さんにもお礼言っといて。」
樹霧之介「はい。」
陽葵「そろそろ休憩時間終わるから戻るね。」
樹霧之介「はい。わざわざありがとうございます。」
そうして話す事を話して陽葵は戻って行った。
樹霧之介「結局、志乃さんについては分からずじまいですか。」
黒根「7年経っておるんじゃ、今更急いだって変わらんじゃろう。」
柚子「それに少しずつ進んでるんでしょう。見逃す事があるかもしれないんだからあまり急ぎすぎないでね。」
樹霧之介「そうですね。ですが次はどこから調べましょう?」
柚子「気になっているなら真生ちゃんのお見舞い行って来たら?」
樹霧之介「ですがこのまま妖怪が見えなくなるまで距離置いた方がよくないですか?」
黒根「今回も妖怪を追って事件に巻き込まれた様じゃしな。」
柚子「それなら私が会いに行ってもいいかしら。」
樹霧之介「今言ったこと聞いてました?」
柚子「ええ。その前に一度だけ会ってみたいの。樹霧之介がそんなに気にするその子に。」
黒根「まあ、12号もしばらく近くにいたみたいじゃし、一度くらいじゃ変わらんじゃろ。」
柚子「樹霧之介、案内してね。」
樹霧之介「分かりましたよ。」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
次も読んでくれたら嬉しいです。




