2話
この物語には妖怪に対する自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
※作者に教養がないためここで使っている外国語はAIで翻訳しています。
妖ノ郷へ戻った樹霧之介たちは今日あったことを整理する為に家で柚子も交えて話し始める。
柚子「それにしても不思議ね。12号がその子の場所が分かるなんて。」
風見「あいつの生まれ変わりだったりしてな。」
樹霧之介「4号を12号と言って撫でてました。それはあり得ません。」
風見「そうか?記憶を無くした時のあいつに雰囲気似てなかったか?特に、、」
樹霧之介「あり得ません!」
樹霧之介はそう叫んで立ち上がる。
風見「、、悪かったよ。」
樹霧之介「話は終わりました。僕はもう寝ます。」
樹霧之介は不機嫌そうにいつも寝ている家の裏に行ってしまった。
黒根「あいつがいなくなって7年か、悪かったな風見。あいつの話は、、」
風見「分かってはいたんだけどな。似たような奴がいたら気が紛れると思ったんだ。」
真琴「だけどあんな向きにならなくてもいいのにね。」
柚子「生まれ変わりって言葉が嫌だったんだと思うわ。それを認めるとあの人が死んだ事も認める事になるから。」
風見「そうか。次から気をつけるよ。」
柚子「ごめんね。図体は大きくなったけど、一部に関してはまだ子供のままなんだから。」
風見「これに関してはワイが悪かったんだ。笑って話せる事ではないと分かっていたはずなんだけどな。」
黒根「いつまでも引きずっていて良い事は無いんじゃがな。」
柚子「あなたは私の事いつまでも引きずっていたけどね。」
黒根「感情的になる事はそんなになかったじゃろ。」
柚子「それでもあの子には時間が必要よ。」
真琴「昔はあんなに怒る事なかったのにね。」
柚子「私たちがあの子を作った時、あの人の事待っていたからその時の想いがあの子に移っちゃったのかもね。」
風見「今はそっとしとくしかないか。ワイは帰るけど、また何かあれば呼んでくれよ。」
黒根「ああ、今日はありがとな。」
真琴「なら、私も。」
柚子「ええ、ありがとう。またお願いね。」
真琴「はい。」
真琴と風見が帰り、柚子と黒根も寝ようと家の裏に行くが樹霧之介はいなかった。
黒根「またあそこに行ったか。」
柚子「良いじゃない。好きにさせましょう。」
黒根「そうじゃな、わしらが止めれる事でもないからな。」
実は志乃がいなくなるきっかけを作ったディブクがいたであろう森は早い段階で見つけていたのだが、入るものの感覚を鈍くするうえに広く続いているので探索は進まず、今では樹霧之介もたまに行く程度なのだ。
そしてその樹霧之介は探すという行動をして自分はまだ諦めてないんだと気を紛らわす為に行っているような感じだった。
樹霧之介「、、12号。」
樹霧之介が呼ぶと木の筒から12号が出て来る。
12号「樹霧之介。やっぱり分かんないよ。」
樹霧之介「そうですか、あんなが事あったので今日こそはと思ったんですが。」
12号「僕も何であんな事思ったのか分かんない。」
樹霧之介「あんな事って何ですか?」
12号「、、何でもない。僕、しばらく人間の町に行きたい。」
樹霧之介「やっぱりあの子に何か感じたんですか?」
12号「答えられない。僕呼ばれてもしばらく出れないから。」
そう言って12号は木の筒に入って行ってしまった。
樹霧之介「あ、、まだ、見つかってないじゃないですか。何で、、みんな志乃さんを見捨てるんですか?」
それからしばらくして、樹霧之介は妖ノ郷に戻って寝ているとお昼頃に風見が樹霧之介を呼びに来た。
風見「樹霧之介、起きてるか?」
樹霧之介たち木霊は寝る時は木の姿になっていて表情が分からないので風見は昨日の事もあり、恐る恐る話しかける。
樹霧之介「風見?何かありましたか?」
風見の声で人の姿になった樹霧之介はいつも通りの様に見える。
風見「何度も現れたり消えたりする妖気を感じるんだ。絶対何かが悪さしてる。」
樹霧之介「なら止めないとですね。案内してください。」
風見「おう。」
樹霧之介と風見は妖ノ郷を出て、見晴らしの良い高い木の上へと移動する。
樹霧之介「いましたか?」
風見「うーん。また妖気隠したな。」
樹霧之介「さっきまで頻繁に動いてたならまた動きます。待ちましょう。」
風見「そうだな。」
妖気は感じないが異常がないか確かめていると学校のチャイムの音が聞こえてきた。
その方向を見ると小学校があり、休み時間なのか校庭にぞろぞろと子供たちが出てきているところだった。
風見「妖気を感じた。行くぞ、樹霧之介。」
風見が声をかけるが樹霧之介はボーッと一点を見つめている。
風見「樹霧之介!」
大きな声で呼ぶと、樹霧之介は風見が何かを話していた事にやっと気がつく。
樹霧之介「すみません。何でした?」
風見「妖気を見つけた。あっちだ行けるか?」
樹霧之介「はい、行きましょう。」
風見が指差す方向には住宅地があり、行ってみると人がどこかにぶつかったり、つまづいて転んだりしている。
そしてその様子を上から見てキキキッっと笑い声に似た鳴き声を出すものがいた。
樹霧之介「あいつですね。」
風見「小さいがいけるか?」
樹霧之介「これが届けば良いんですが。」
そう言って樹霧之介は小さな木の玉をそれに向かって投げるが軽く躱される。
風見「すばしっこいな。」
それは黒く小さな体をしていて電柱の間を飛び回っている。
樹霧之介「電柱が木であれば簡単なんですが。」
風見「飛ぶやつ相手なら真琴にも声掛ければ良かったな。」
大体の妖力の多い妖怪は空中に浮かぶことができるが風見はそこまで妖力が多くなく、樹霧之介は地に根付いた木の妖怪である木霊である為、妖力はあるが飛ぶことができないのだ。
樹霧之介「そうですね。今からでも連絡してくれますか?」
風見「分かった。樹霧之介は?」
樹霧之介「見失うわけにはいきません。追いかけます。」
風見「気をつけろよ。」
樹霧之介「はい。」
それから樹霧之介は見失わないようにと少しでも近づく為に屋根を伝って追いかけるが危険を感じた黒い妖怪は高度を上げて逃げて行く。
しばらく追って行くと家が少なくなり、道路に出てしまった。
幸いにもまだ見失ってはいないが黒い妖怪は一台のトラックの上を飛んでいる。
トラックの窓は開いており、運転手が鼻歌を歌いながらスピードを出していて、黒い妖怪がその窓から飛び込むと運転手の顔に張り付いてしまった。
運転手は急に前が見えなくなったことでパニックになり、ブレーキを踏もうとしてアクセルを踏んでしまい、しかも猛スピードで走るトラックの前方には小学校の校庭が見える。
幸いにも校庭の周りには木が生えており、樹霧之介は校庭へ侵入する前にその木の枝を伸ばしてトラックを止める事には成功したが、トラックが衝突する前に運転手に張り付いていた黒い妖怪はトラックから飛び出し、樹霧之介に飛び付いた。
すると樹霧之介の視界は真っ暗になり、バサバサという音と共に離れる感覚はあったが視界は暗いままだった。
視界を奪われた事により動けなくなりその場で座り込んでいると声が聞こえる。
真琴「樹霧之介大丈夫?何があったの?」
樹霧之介「その声、真琴ですか?」
近くにいるのにキョロキョロする樹霧之介に異常を感じて顔を覗き込むと樹霧之介の目は真っ黒に染まっていた。
真琴「その目どうしたの!?」
樹霧之介「妖怪を追いかけてたら顔に張り付いてしまって、それから何も見えないんです。トラックは?怪我人はいませんか?」
黒根「お主が止めてくれたおかげでトラックと衝突した者はいなさそうじゃ。運転手も意識はあるみたいじゃったし、近くにはあいつのおる派出所もある。後は任せよう。」
樹霧之介「父さんも来てくれたんですね。」
黒根「まあの。不自然な木の枝はわしが直しておく、一度妖ノ郷へ戻ろう。」
樹霧之介「ですがさっきの妖怪放っておいたらまた同じ事しますよ。」
風見「それなんだけど、さっきよりも妖気が弱くなったんだ。多分樹霧之介にかけた術で妖力使ったんじゃないか?しばらくは悪さできないよ。」
樹霧之介「それなら良かったです。一度作戦を練り直しましょう。」
真琴「それより治療が先よ。」
黒根「じゃが、それは呪いのようじゃ。それを解くにはかけたものを倒すか解呪せねばなるまい。」
???「何?誰か呪われたの?」
樹霧之介たちが話していると猫又を連れた警察官が話しかけてきた。
真琴「陽葵。調査はいいの?」
陽葵「今調査中だよ。だから目撃者に事情聞こうかなって。」
黒根「普通の人間にはわしらは見えておらん。サボっているようにしか見えんぞ。」
陽葵「ここは陰だしすぐ戻るから大丈夫。それで何があったの?」
樹霧之介「住宅地で悪戯していた蝙蝠の妖怪を追いかけていたらトラックの中に飛び込んで、多分運転手の視界を奪ったんだと思います。」
黒根「視界を奪うのであれば野衾かのう?」
樹霧之介「野衾はムササビじゃないんですか?」
黒根「ムササビも蝙蝠も両方いるんじゃ。蝙蝠だと時間が経てば別の妖怪になるからムササビの野衾が多くてお主にはそう説明したがの。」
陽葵「あれ?樹霧之介の目が黒くなってる。呪われてるってそういう事?解呪しようか?」
樹霧之介「え、あ、大丈夫です。山姥さんにしてもらうので。」
元巫女の山姥は解呪などの術に詳しいのだ。
陽葵「何で?帰るとしても目が見えなかったら不便でしょ?」
ハラミ「お前、前に焔さんの解呪しようとして封呪符と間違えて呪滅符使って消滅させかけたの忘れたのか?」
陽葵「だって似てるんだもん。もう間違えないよ。」
陽葵の足元で陽葵の式神であるハラミが文句を言っている。
樹霧之介「どちらにしても霊力は僕たち妖怪には毒になります。気持ちだけ受け取っておきますね。」
陽葵「うん。分かったよ。」
真琴「それにそろそろ行った方がいいわ。あの人たち、陽葵を探しているみたい。」
陽葵「え?あ、本当だ。怒られる前に行くね。」
黒根「後始末させてすまんな。」
陽葵「大丈夫。これが私の仕事だから。」
そう言って陽葵は行ってしまった。
真琴「この状態の樹霧之介を動かすのは危険よね。山姥さんには紐声環で連絡して来てもらいましょう。」
黒根「そうじゃな。」
真琴が山姥に紐声環で連絡すると山姥はすぐ来てくれるようでそれまでその場で待つ事になった。
だが今いる場所には事故で野次馬が集まって来たので静かな場所に移動する事にしたが、目の見えない樹霧之介は真琴に手を引かれて恐る恐る移動する。
黒根「視界を奪われて動けんくなるなんて、意外と視覚に頼っておったんじゃな。」
真琴「どういう事?」
黒根「わしら木霊は元々木で目が無いから周りを確認する時は気配を頼りにすることの方が多いんじゃ。」
樹霧之介「ですがそれは動かなくて良いから見る必要もないんじゃないですか?」
黒根「そうでもないぞ。真琴、わしの目を紙で塞いでくれんか?」
真琴「良いけど、無理はしないでね。」
黒根「このくらいなんて事ない。ほれ、樹霧之介、木の玉持っておるじゃろ一つ渡せ。」
樹霧之介「あ、はい。」
樹霧之介は木の玉を一つ取り出し、それを黒根が受け取ると伸ばして木の棒に変える。
真琴「何するつもり?」
黒根「ここは妖ノ郷からはちいっと遠いからの。山姥が来るまで時間がかかる。ほれ、樹霧之介お主も杖を持たんか。」
樹霧之介「え?」
黒根「こんならわしから行くぞ。」
そう言って黒根は木の棒で樹霧之介の頭を軽く叩く。
樹霧之介「痛いです。」
風見「樹霧之介から玉取る時もそうだったけど見えてないのによく分かるな。」
黒根「このくらいなんて事ない。」
樹霧之介「父さんは木でいることの方が長かったから簡単なんです。」
黒根「確かにそうかもしれんがわしにできるならお主にもできるはずじゃ。」
樹霧之介「でも、、」
黒根「見えないからって諦めるのか?お主が見えてなくても地面はあるじゃろ。道もあるし、わしもおる。」
樹霧之介「ですが障害物も見えません。」
黒根「別に良い。躓き、ぶつかればそこに何があるかは分かる。どこに何があったか、それでどうなるか学びながら立ち上がることさえできればな。」
樹霧之介「ならもしも、進んだ先が取り返しのつかない場所だったら、深く這い上がれないような穴だったらどうすれば良いんですか?」
黒根「そうならんようにわしがおる。不安なら相談せい。」
真琴「私も、いつでも手を引くわよ。」
風見「ワイだって、手伝うさ。」
樹霧之介「ですが、今は誰も志乃さんを探してくれません。」
黒根「、、そろそろ潮時かの?」
真琴「そうね。野衾を退治してから全員で話しましょう。」
樹霧之介「何を?」
真生「あれ?昨日のお兄ちゃん、座り込んで大丈夫?事故で怪我したの?」
真琴「あ、えっと、名前なんだっけ?」
真生「真生、篠原真生だよ。」
黒根「篠原?」
樹霧之介「何か思い当たる節でもあるんですか?」
黒根「あ、いや。何でもない。」
真琴「それにしても真生ちゃん。もう学校来てるの?首は痛くない?」
真生「うん。お姉ちゃんが手当てしてくれたから痛くないよ。」
真琴「それなら良かった。けど念の為見せてくれる?」
真生「うん。」
真琴が包帯を取ってみると既に痣は薄くなってきていた。
真琴「若いからかな?治り早いね。」
真生「そうなの?」
真琴「うん。これなら少し早めに包帯取っても良いかも。」
真生「良かった。結衣ちゃんも他の子たちも私が近づいたら離れちゃって、遥馬くんなんて今日休んでるし、治ればまた話せるようになるかな?」
真琴「そっか。昨日怖い思いをしたものね。大丈夫。また話せるよ。」
真生「うん。」
黒根「それで一応ここは学校の敷地内ではあるが、少し離れたこの場所に何しに来たのかな?」
真生「じじょーちょーしゅ?っていうのに呼ばれて警察の人に見た事話して来たんだよ。何処にいたとか聞かれて直接案内したんだ。それで戻る途中でお兄ちゃんたち見つけたの。」
黒根「お主も校庭に出ておったのか。昨日の今日で災難じゃったの。」
真生「今日は教室にいたくなかったから。それでお兄ちゃん、おめめ怪我したの?大人の人呼ぼうか?」
樹霧之介「大丈夫です。今治せる方が来るので。」
真生「あ、痛。」
真琴「大丈夫?やっぱり首まだ痛む?」
真生「ううん。ちょっと頭が痛くなっただけ、いつものことだから。」
黒根「昨日もそれで調子悪そうだったの。」
真生「これはすぐ治るから平気。」
黒根「もしかしたら妖力酔いかもの。」
真琴「妖力酔い?」
黒根「妖力に敏感な者が妖力に当てられて頭痛や目眩という症状が出る事があるんじゃ。いくらか妖力に慣れれば治るんじゃが、、」
先生「真生ちゃーん。どこー?」
真生「あ、先生呼んでる。」
真琴「じゃあね。痣が無くなる頃に一度あなたの家に行くわ。」
真生「うん。あ、その前に。」
真生は先生の方へ行こうとしていたが急に振り向き、樹霧之介の額にキスをする。
真生「良くなるおまじない。」
そう言って行ってしまった。
それからすぐに山姥が到着する。
黒根「わざわざすまんの。」
山姥「それで誰が呪いをかけられたって?」
樹霧之介「え?あれ?見えます。」
黒根「時間で解けるものだったのかの?」
山姥「その可能性もあるが、一応見てみよう。」
風見「それかさっきのおまじないが効いてたりしてな。」
山姥「おまじないとは何のことだ?」
樹霧之介「何でもありません。時間が経ったから見えるようになったんです。霊力は僕たちには毒です。あんな子供が呪いだけを霊力で消すことなんてできるはずありません。」
山姥「弱いからこそできたのかもしれないがな。」
黒根「そう言えば昔はあいつの実験台にされたな。あいつが霊力の量を調整できるまで何度も痛い思いをさせられた。」
山姥「何だ。あいつが妙に妖怪に対して霊力の扱いが上手かったのはそんな事していたからなのか。」
樹霧之介「志乃さんも同じ事できたんですか?」
黒根「あ、いや。少し思い出したんだ。そうだ、あいつはいつも手を添えておった。」
樹霧之介「いいですよ。無理に違う場所言わなくても。」
山姥「何かあったのか?」
真琴「ちょっとね。」
樹霧之介「それより野衾です。また悪戯する前に捕まえますよ。」
黒根「どうやって捕まえるつもりじゃ?」
風見「妖気も今は感じないから場所も分からないぞ。」
樹霧之介「あいつに飛びかかられた時、何か皮膚が震えた感じがしたんです。蝙蝠って高周波を出しながら飛んでいるんですよね。これ、誘き出すのに使えませんか?」
黒根「何をするつもりじゃ?」
樹霧之介「風見、音も操れますよね。」
風見「何すればいいんだ?」
樹霧之介たちは野衾が最初に悪戯をしていた住宅地へ移動して風見が釜を鳴らして野衾と同じような高周波を出す。
するとすぐに野衾が現れ風見を見つけ、突撃して来る。
真琴「本当に来た。」
黒根「じゃが怒っているようじゃ。これは仲間というより縄張りを荒らされたと思っていそうじゃの。」
樹霧之介「姿を現してくれたのならどちらでも良いです。真琴、お願いします。」
真琴「ええ。」
真琴が紙を飛ばすと野衾はそれを躱してまた電柱の上に逃げようとしたが電柱には樹霧之介があらかじめ木の玉を仕掛けていたので樹霧之介はその木の玉から枝を伸ばして近づいた野衾を捕まえ、動けなくなったところで真琴が硬いの文字を付与した槍型の紙を野衾に突き刺すと白い煙となって消えた。
黒根「ご苦労じゃったの。さて、家に戻ろうと言いたいところじゃが、その前に行きたい場所がある。」
樹霧之介「何処ですか?」
黒根「行けば分かる。」
黒根は樹霧之介たちを連れてディブクのいた森へと移動する。
樹霧之介「ここに何かあるんですか?」
黒根は黙って森の奥の方へと移動すると声が聞こえる。
???「あれ?おじさんどうしたの?」
樹霧之介「雫、何でここに居るんですか?」
雫「あ、樹霧之介。」
黒根「雫はこの感覚を鈍くする術の解析をしとるんじゃ。」
樹霧之介「何で?いつからですか?」
黒根「雫はここが見つかってからずっと調べとる。」
樹霧之介「何で僕に言ってくれなかったんですか?」
雫「気付いてないかもしれないけど樹霧之介、あの人の話すると暗い表情になるからよ。」
樹霧之介「え、あ、ごめんなさい、、」
雫「別に謝って欲しいわけじゃないわ。霧が関係している事が分かってから私なら無効化できるんじゃないかって、樹霧之介がいない時を狙ってここに来てたのよ。」
樹霧之介「そうだったんですね。それなのに僕は何も知らずに、、」
雫「まあ、私も全然知らない術で諦めようと思った事もあったわ。」
樹霧之介「ですが雫は今も来ています。」
雫「そりゃそうよ。私たちに何も言わずに勝手に悩んで、勝手にいなくなったあいつに一言言ってやらないと気が済まないわ。」
樹霧之介「ですがいなくなったのは僕のせいです。」
雫「それは本人から聞いたの?取り憑いた悪霊の言葉でしょ。それを信じるの?」
樹霧之介「ですが、それが本当に志乃さんの本音だったら、本当に僕たちの前からいなくなりたいって思っていたらどうしたらいいんですか?」
雫「だったら潔くお別れを言うわ。」
樹霧之介「雫はそれで良いんですか?こんなに苦労して、お別れなんて、、」
雫「私が許せないのは、お別れもお礼も謝罪も何も言えずにいなくなる事よ。逆に聞くけど体が現世にあるのにあの人が本当に成仏できてると思ってるの?悪霊に取り憑かれたままで苦しんでいないって言い切れるの?」
樹霧之介「そんなの、、」
雫「助けたいとは思わないの!?」
樹霧之介「助けたいです。ですが本当に成仏してたら?」
雫「今のままじゃどうなっているかも分からないでしょ。」
樹霧之介「そう、ですね。そうです。僕にも何か手伝える事はありませんか?」
雫「ここではないわ。」
雫は食い気味にキッパリと言う。
樹霧之介「、、そうですか。」
雫「だから樹霧之介はあの人が守っていたものを継いで守っていればいいの。その為に真琴と風見は妖ノ郷に多くいるもの。」
樹霧之介「そう言えば最近一緒に出動するのって、、」
真琴「今の樹霧之介は放っておけないもの。」
風見「ワイは特定の人間は探せないからな。せめて樹霧之介の役にはたちたかったんだ。」
黒根「焔は別の場所で手掛かりを探しておるし、茂蔵は故郷の山で大将とその側近の助っ人をしながら狸たちから情報を集めてくれとる。」
樹霧之介「諦めてたのは僕だけだったんですね。」
真琴「まあ、私たちは実際に聞いてないから実感が湧かないの。陽葵からも聞いたけど浜名瀬さんがそんな事言うなんて信じられないもの。」
???「だったら直接言おうか?」
急に響いた声の方を向けば木の上に志乃の体を乗っ取ったディブクがいた。
その姿はいつもの狩衣ではなく、厚手のシャツに革のコート、ワークパンツと革のブーツを着けており、髪は高い位置で結ばれていた。
樹霧之介「志乃さん!?いえ、ディブク。何故出て来たんですか?」
ディブク「お前らの言う志乃という奴はもういない。諦めろ。」
雫「そんなので諦めれるわけないでしょ。」
ディブク「なら目障りなお前らを消すしかないな。」
ディブクは斧を持って雫に襲いかかるがそれは風見の風の盾で止められ、その隙に真琴が紙で動きを止めようとするが斧で引き裂かれ止めることはできない。
黒根「樹霧之介!木の根で奴の動きを止めるんじゃ。」
樹霧之介「はい!」
樹霧之介は言われた通り木の根でディブクの足を絡め取るがそれも斧で切られてしまう。
黒根「もう一回じゃ。今度は腕を狙え。」
樹霧之介「でも志乃さんの力であれば利き手じゃなくても切られますよ。」
黒根「いいから。」
樹霧之介「分かりました。」
樹霧之介は木の根でディブクの両腕を狙うが片腕しか捕まらない。
片腕が自由なままであればまた切られてしまうそう思ったが、ディブクに巻き付いた木の根は黒く染まり切ろうとした斧を弾き返す。
樹霧之介「これ父さんの。」
黒根「これくらいはできるようになっとる。甘く見るなよ。さあ樹霧之介、もう片方の腕も封じるぞ。」
樹霧之介「はい。」
ディブクはまた斧を振り上げると木の根が巻き付いている腕に振り下ろす。
黒根「強度は昔と変わらん無駄じゃぞ。」
また木の根を切ろうとしたと思っていたがディブクは自身の腕を切り落として木の根の拘束から逃れると森の奥へと逃げてしまった。
点々と続く血の跡を追うため、樹霧之介が走り出そうとするのを黒根は肩を掴んで止める。
樹霧之介「何で止めるんですか?今なら捕まえられます。」
黒根「いや、この森は分からんことが多い。ここの木は操りにくいじゃろ、まだ他にも何かある証拠じゃ。」
樹霧之介「ですがあいつ、躊躇なく志乃さんの体を傷つけたんですよ。」
黒根「大丈夫じゃ。」
樹霧之介「また治るとしても酷いですよ。自分の体じゃないからって。」
黒根「あいつも昔はよく似たような事はしておった。」
樹霧之介「余計駄目じゃないですか!」
黒根「まあ、それは置いておこう。ここにあいつがいると分かっただけでも収穫じゃ。」
樹霧之介「、、そうですね。」
風見「なあ、おやっさん。この腕から妖気を感じるんだ。あいつ、、」
黒根「あいつは元々半分妖怪みたいなものじゃ。霊力があるよりそっちの方が都合が良かったんじゃろう。それにあいつが霊力を使えれば雫の首は今頃、体とおさらばしてたじゃろうな。」
雫「そうね。霊力が使えれば風見の盾無効化してただろうしね。」
樹霧之介「父さん、ディブクは何をしたかったんでしょうか?」
黒根「さあな。じゃがこれからは邪魔が入る可能性がある。ここには1人で来ん方が良い。」
雫「そうは言っても、術の解析はまだ掛かるわよ。」
黒根「感覚さえ狂わなければいけるんじゃがな。」
樹霧之介「解除するだけなら力ずくでできると志乃さんは言ってましたけど、、」
雫「その話本当?」
樹霧之介「はい。何か気になることありました?」
雫「これを解除するには大元となるものを叩かないといけないの。浜名瀬さんはそれが分かっていたのよ。」
黒根「それか大元に繋がる手掛かりか、大元に辿り着くまで何か、森を切り開くつもりじゃったかもな。」
雫「本当に力ずくなのね。」
黒根「まあ、これはあいつも好んで使いはしないがの。」
真琴「何をするつもりだったのか知らないけど、聞くにも浜名瀬さんはいないのよね。」
雫「12号なら何か知らないかしら。ずっと側にいたんだし。」
黒根「式神の契約で思考も少しは共有しておったはずじゃから可能性はあるの。」
雫「なら早速12号と話しましょう。何か手掛かりがあればここでの作業も減らせるわ。」
樹霧之介「ですが12号はしばらく人間の街に行くと言ってそれから姿を見ていません。」
雫「何で?」
黒根「とにかく一度戻ろう。また奴が来るかもしれん。」
樹霧之介「そうですね。」
樹霧之介たちは一度樹霧之介の家に戻り今後の事について話し合う事になった。
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